Google副社長デビッド・フィシャーが語る「オンライン広告ビジネスの現状と方向性」

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Google検索担当副社長マリッサ・メイヤー定例説明会【リアルタイム更新】に続き、今日はGoogle米国本社オンライン広告セールス担当副社長であるデビッド・フィシャー氏の記者説明会に参加しています。

デビッド・フィシャー氏は2002年からオンラインセールスとオペレーションプログラムを担当し、Googleの広告ネットワークを成長させた人物ということです。AdSenseのオンラインセールスチャンネル部門も統括しています。

この数日は北京、東京とGoogleにとって重要なマーケットを見て回っている。今日のアジェンダとしては、Googleの戦略などを説明し、王子田氏を紹介。

アドワーズは事業を起こす人たちをサポートするためにデザインされている。いわゆる情報を民主化することで、有益な情報を伝えることに重きを置いている。

私の役割としては、いわゆる個人事業主から大企業まで含めてサポートしている。アドワーズの特徴としては、個人事業主から大企業まで公平な場所を提供するのを特徴としている。

先日、アリゾナでカウボーイのブーツをつくっている93歳のおじいちゃんの広告主に会うことができた。想像してもらうと分かるが、このおじいさんが日本やイギリスに対してネットを通じてアクセスすることは想像できなかった。

今までの彼の広告戦略は、家畜に興味のある人に対して雑誌の小さな広告を出すことしかできなかった。数年前にアドワーズを利用することで、抜本的に自分の広告戦略が変わることを体験した。

いまアメリカや日本でカスタムメイドのカウボートブーツを検索すると、この人の広告が上位に表示される。

この広告主は世界でも大きなカウボーイ販売社と競争していて、それらよりも上位に表示され、このような広告主でも世界の大手と平等に競争することができる。

この93歳の広告主の心配は、今までのような発注があるのかどうかという心配ではなく、蛇口をしめることで抑制をしないといけないような状況になっている。

アドワーズの重要なことは、世界中のマーケットにターゲットすることができ、さらに関連性の高い広告を出すことで戦える。

アドワーズの素晴らしいことは広告主が成功するとわれわれにも利益があること。広告主とパートナーシップを結べるのが素晴らしい。

日本ではモバイルなどで進んでいて、Googleにも重要なマーケットになっている。日本においても、さきほどのような起業家をサポートすることは日本でも成功すると思っている。

Googleで重要なのは前を向くこと。日本ではまだ10年だが振り向くといろいろな成功を見ることができる。しかし、前を見ることが重要。そういう意味では、日本にはさまざまなチャンスがあると考えている。

日本では150万の中小企業がいると聞いている。そのごく少数がウェブやECのサイトを持っていると聞いている。このような企業はこれからどんどんモバイルやウェブに進んでいくことは容易に想定できる。

日本の全ての広告費を見ると30%がテレビで8%がインターネットで使われている。私の知っている限りでは、日本はインターネットに費やしている時間がテレビよりも多いという数少ないマーケット。

テレビとインターネットの広告費は差があるが、日本はインターネットユーザが多いので、もっとネットでのビジネスが拡大すると見ている。

そういう意味では日本のマーケットに興奮している。モバイルで成功した起業家と話したが、日本は新しいマーケットをリードしていると考えている。

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ここから日本の事例を王子田克樹氏が紹介。

日本での担当者である王子田克樹氏は、オンラインビジネスソリューション本部長として、Google AdWordsの広告主向け営業、および広告審査を担うオンラインビジネスソリューションを統括しています。

「AdWordsの楽しみ」について、の話。

小さな企業から大きな企業まで、アドワーズでビジネスを伸ばして楽しくなることが、自分たちも楽しい。

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大企業。

ディノス

調整するボタンをきちんと汗をかいて自分で一生懸命考えているタイプ。大企業では外に任せる場合もあるが、ディノスはGoogle Analyticsを活用して、自分たちのビジネスを高めていく意識が高い。

中小企業でも小企業に近い企業。

メガジャパン

福岡の不動産屋。普通は駅前にあるが、メガジャパンはそういうところにない。そう考えたときにウェブだ、となった。社長自らがキーワードを調整しながら、この規模では大変成功している。客からの引き合いの9割はネット経由。

ガラス工房アイリス

アドワーズを使うことで、全国からガラス記念品の受注のほぼ全てをネット経由で。ガラス工房を持つという、夢をかなえることができた。ローカルなプレーヤーが日本全国をターゲットにビジネスしているケース。

横山竹材点

京都の老舗。4代目の若社長。当初はモールに参加しようと思った。予算は月に5万円くらいだが、実際には3万円くらいで済んでいる。東京など遠方からの客が増えた。現在は英語のサイトもあり、海外にビジネスを広げる準備をしている。国境を超えてグローバルなプレーヤーに。

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こうしたお客さんたちにアドワーズを提供できると、自分たちも元気が出てくる。それを日々の楽しみにしている。

93歳のおじいさんが大企業よりも上に出ている理由を捕捉。クオリティが高いというのにはクリエイティブも必要な要素だが、結果としてどれだけクリックされているのか。結果的におじいさんの広告が大企業よりもクリックされている。広告だけど大切な情報だと認識されている。

質疑応答。

質問:

決済の機能を持っているが、それと組み合わせて、これからネットショップを開きたいという人にトータルのソリューションを提供する予定はあるか。

回答:

「チェックアウト」はアメリカやイギリスで提供している決済機能になる。まだGoogleの中でも試験的なもので、世界中に広げるタイミングではない。

もう少し広い意味でどのようなソリューションを提供できるか説明する。ローカルビジネスセンターというものがある。サイトをもっていない起業家向け。Googleマップ上に情報を表示するソリューション。

もう一つはGoogleサイト。こちらはユーザがウェブサイトを使ってやりたいときに、簡単にサイトを作れるソリューションを提供している。

これらを利用した次のステップとして、アドワーズを用いてビジネスを拡大することができると思う。

もう一つ強調したいのは、Google Analytics。さまざまなタイミングで客が出て行ったかなどを分析することで、よりよいサイトをつくる手助けとなる。

紹介したソリューションは全て無料で提供している。Googleではより効果的にビジネスができることをサポートしている。

質問:

家具とインテリアの展示会にGoogleのブースがあった。ヨーロッパの人たちはアドワーズで家具が売れている。実際にIT系以外の展示会に出展することはあるのか。

回答:

さまざまな展示会やカンファレンスには出展している。アドワーズの一つの強みはいわゆるプラットフォームで、あらゆるビジネスに適用することができる。大きな機械から自転車や家具みたいなものまで、アドワーズは様々なところで使われている。

アドワーズを知らない人たちにリーチができるということで、様々なところに出展している。

日本の中でどの産業が特に、という計画は今のところないが、今の話にあったようにバーティカルでみるとほぼ全ての産業分類のお客さまがいる(王子田氏)。

ある意味では日本は携帯電話では進んでいて、世界で見ると例外になると思う。そういう意味では、日本はモバイルやスマートフォンが進んでいるので、日本での成功を世界に出していけると考えている。

ヨーロッパではiPhoneが出てGoogleサーチが50倍になったという事例がある。海外と比べると日本のスマートフォンのマーケットはまだまだだと思うが、Androidを利用することで、消費者により多くの決定権が与えられ、開発のチャンスが広がると考えている。

質問:

消費者向けだとヤフーの方が効果が高いと言われているが。

回答:

Googleの哲学はマーケットの1位だろうが2位だろうが同じものを持っている。一つ大事なのは、サーチの品質である。われわれの目的は競合というよりは、自社で品質の高い検索エンジンを作ることが、より消費者に使ってもらえると考えている。

日本の検索の品質については満足しているが、まだまだ改善できると考えている。まだまだ伸ばしていく余地はある。

Googleとしては一番の批評家は自分自身であり、それがユーザに受け入れられて改良に繋がっていくと考えている。