「Firefox 3.5」事前記者発表会レポート(US6月30日8時リリース予定)

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2009年6月29日にベルサール神保町で開催された「Firefox 3.5」事前記者発表会に呼んで頂きました。そのレポートをお届けいたします。

なお「有限責任中間法人Mozilla Japan」は、2009年7月1日より法人格が変更になり「一般社団法人Mozilla Japan」となるそうです。

スピーカー:
有限責任中間法人 Mozilla Japan 代表理事 瀧田佐登子氏
有限責任中間法人 Mozilla Japan マーケティング部 浅井智也氏

ゲスト:
慶應義塾大学 環境情報学部 専任講師 筧(かけひ)康明氏

近日、世界同時リリースされる「Mozilla Firefox 3.5」について、いち早く報道向けに製品概要が発表されるものです。

注意点、Firefoxロゴが変更になる。

代表理事 瀧田佐登子氏より挨拶。

素晴らしく晴れており暑い。この1年はブラウザ業界もいろいろ動きが会った。激戦区なってきていて、そんな中、Fx3.5リリースを迎える。リリース日時は最後に。

Fx3.5に対して思い入れが深い。5年前、1.0をリリースした時にプレスのみなさんとインタビューをした時に、こんなブラウザの独占市場にFxはシェアを何%狙うか?という質問を受けた。

その時に冗談まじりに笑いながら20-25でしょ、といったことを思い出す。記者は笑いながらすごい目標といった。その時は自分でも20%の壁ははるかかなたと思っていた。

しかし最近は20という数字が調査会社から出てきている。日本もようやく20%という数字が見えてきた、この5年をしめくくるいい時と思っている。

Fxをリリースのたびにソフトウェアをリリースするだけでなく、ウェブの世界に何を語りかけていけばいいか、メッセージをこめていた。1.0は独占市場に新たな可能性を示唆した。ブラウザの選択肢と技術革新というメッセージ。

1.5はオープンスタンダードの意義。シェアは数%という世界で、オープンスタンダードを説明しても理解されなかった。シェアの大切さを痛感した。しかしメディアが正しく伝えてくれたことで徐々にシェアを伸ばした。

2.0でウェブサービスが注目される。このあたりからライフスタイルががらりと変わる。ユーザが情報発信が当たり前にある。双方向のコミュニケーションも当たり前になる。

3.0、ちょうど1年前。ここで新たにプラットフォームというメッセージをこめた。ウェブアプリの普及を加速するんだ。このあたりから処理スピードが注目を浴びるようになる。

あるブラウザが最もスピードが速いというメッセージが出ると、他社もスピードを競うようになる。これはユーザにとっては良いこと。競争がお互いのプロダクトをよくしていった。

昔のようなブラウザ戦争はおこさない。これからは標準の上でクオリティのいいものを提供していく。速さ、安全であること、利便性、この3つはプロダクトにおいて当たり前の目指さなければならないこと。

そこで3.5という製品に、どのようなメッセージを託すのか。速いのは当たり前。クオリティも当たり前。どういう位置付けになるのか?

1年前に3.0をリリースしたとき、次のバージョンのコードネームは「Shiretoko」だった。必ず国立公園の名前をつけている。自分たちもあまり意識していなかった。3.5が「Shiretoko」となったときに、どうして国立公園の名前がついていくのかと紐解いてみた。

この10年、Mozillaは何を訴えてきたのか。今までを見つめ直すことをした。日本の知床という場所について調べてみた。オープンスソースのMozillaのマインドと知床の世界遺産を守り続けている人たちのマインドと似ていた。

私たちは3.5をリリースする前にもっとMozillaを知ってもらおうということで、ディスカバー知床というキャンペーンを開始した。

そこでは私たちはウェブの世界を取り戻す。彼らは自然の環境を取り戻すということで、お互いをもっとしってもらいましょう、と始めた。そこにはFxが歩んできた標準技術をもっとしってもらおうということも含んでいる。

「Firefox 3.5」は、ウェブの制約を解放
自由で創造性豊かなウェブを実現
真のオープンの追求

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浅井智也氏より「Firefox 3.5」の新機能について説明。

ウェブにはまだ制約がある。それをFx3.5で自由なプラットフォームを提供したい。

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特徴
・ウェブサービスを快適に楽しめるようにする
・高速化を継続する
・ユーザが安心して使えるブラウザ
・細部まで配慮された快適な操作性
・最新のウェブテクノロジーを次々と実装

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ウェブサービスを快適に楽しめるように

HTML5対応でビデオをJavaScriptで操作するデモ
ビデオの動いている部分を検出しグラフで表示するデモ
→リアルタイムでビデオを解析できる

HTML5のビデオタグ、JavaScript、マルチスレッドで当たり前になっていく。

位置情報を検出できる
・現在地を検出しWikipediaから情報を表示するデモ

HTML5 Video/Audio
・なぜOpne Videoをサポートするのか?
・H.264、AVCなどは多数の特許技術を含む
・GIFにはPNG、MP3にはVorbisが作られた
・ウェブを誰でも平等に使えるようにするために必要

なぜOgg Theoraか?
・Open Videoの中では最も有力な形式
・YouTubeなどより高画質
・低ビットレートではH.263より明らかに高画質
・高ビットレートではH.264と大差ない画質

W3C Geolocation
・位置情報の通知機能

「創造性は自由から」

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高速化を続けるFirefox
・サーバにデータを預けずに自分のところで処理できる
・画像をJavaScriptでブラウザ上で処理する計算処理も高速化
・画像編集サイトも生まれる→新しいサービスが生まれる土台を提供

「ウェブだから‥‥なんて言わせない」

安心してブラウズできるツール
・プライベートブラウジングモードを搭載
・このサイトの履歴だけは残さないといった細やかな設定
 ・時間内の履歴を消去
 ・サイト単位で消去

「コントロール可能なプライバシー」

柔軟なセッション復元
・正常終了しなかった場合にもタブを復元
 ・Fx3.0でも搭載していたが3.5では確認を求めずに自動で復元
・タブを選んで復元可能
 ・開くとクラッシュしてしまうサイトを除外できる

ブラウザの改善も続く
・タブの切り離し
・ウィンドウの復元
・自動スペルチェック

スマートロケーションバー

「堅実なブラウザ」

最新のウェブテクノロジーを次々と実装

ウェブに必要な機能はどこか、を考えて実装している。

CSS3のダウンロードフォントを採用
・必要に応じてウェブサーバからフォントをダウンロードする
・1ピクセル単位でデザイナーが意図したものを再現できる

写真の色合い
・Fx3とFx3.5で違う
・意図したものが表示されるようになっている

テキストシャドウをサポート
・文字に影をつける
・これまでは文字をオーバーラップさせていた
・CSS標準の影付き機能
・マウスに追従して影を動かすこともできる

テキストを回転させる
ビデオを斜めに回転させる

デザイナーの表現力を高める
足りなかったものを補う
→それがFx3.5

CSS3メディアクエリー
・画面サイズに応じた表示の切り替えを実現

HTML5ドラッグ&ドロップAPI

「デザイナーに自由を」

ウェブの制約を解放し、新たなインターネットのプラットフォームになっていく

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慶應義塾大学 筧(かけひ)康明氏より「interFORest」キャンペーンについて。

ブラウザというものが高機能になってきた。インターネットと実世界の切り分けをする必要がないくらいに、ウェブブラウジングというのが確立してきている気がしている。そういったことについてMozilla Japanと研究をしている。

ディスカバー知床というキャンペーンの広がり、高まりを可視化することがプロジェクト化できないか、というところかできたのが「interFORest」というウェブアプリ。

インタラクティブなバナーを作成した。人をキャンペーンサイトに誘導するだけでなく、共感している人やブログにどうやって流れを還元していくか。双方向の流れをつくることができるバナーとしてキャンペーンをスタートした。

「Discover Shiretoko」キャンペーンサイトはハブになっている。

・成長するバナー
・双方向をつなぐバナー
・実世界とつながるバナー

キャンペーンサイトでバナーを貼ると、小さな木が現れる。個人のウェブからキャンペヘーンサイトに人がアクセスすると、枝葉が増えていく。その逆は根が生えていく。バナーは二つのサイトを結ぶ窓。

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・俯瞰ビュー
・クローズアップ
・図鑑ビュー

「Firefox 3.5」の灯へ

http://tomoshibi.mozilla.jp/

準備中

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質疑応答。

Q:

Firefoxのシェア、アメリカだと去年の5月の18%から1年で23%に伸びたがどのように分析しているか

マイクロフォーマッツは今後どうなるのか

モバイルFxは今後どうなるのか

A:

5月の統計でみると22〜23。要因はさまざまなあると思う。この半年くらいグローバルでの活動において、標準に重きを置いてきた。オープンに重きを置いてきたのが要因かな、と。(瀧田)

マイクロフォーマッツはサービスの展開は多くないが、次世代の技術の一つとして、マイクロフオーマッツそのものではないが、IEのウェブスライシーズのような形でウェブの情報をうまくコンピュータが解析できるようにしようという動きは始まっている。(浅井)

モバイルFxは現時点ではUIといったところも洗練されていっている。日本においては端末としてWM版が中心となっている。2〜3日前にリリースされたものがα2であることから分かる通り、まだ開発の途上。(浅井)

USで開発が進んでいるかの゛Nokia端末中心となっていて、それが一歩先を行っている。日本はそれをベースにベンダーがつくることは可能になっている。実機としてWMという話をしたが、日本の市場としてすぐ動く環境となるとWMが中心となる。日本で活性化できないか取り組みを始めているところ。(瀧田)

Q:

3.5のリリース時期は?

A:

現時点ではUS6/30早朝をリリース予定。8時前後。日本は7/1の深夜になると思われる。(瀧田)

Q:

プライベートブラウジングだがIEの場合はサードパーティーのセキュリティをオフする問題があるが

MSはプライバシー問題を優先したがMozillaは?

A:

サードパーティーのアンチフィッシングに対して何らかの振る舞いをすることは実施していない

プライバシーは当然重視している。URLを全て送りハッシュで検証する

追記:Twitterで質問があったので確認したところ、Safariと全く同じかどうかは分からないもののトラックパッドのマルチタッチに対応したということです。