アニメーション監督の今敏氏が、膵臓がんで亡くなりました。オフィシャルサイトで遺書が公開され話題になっており、ぼくも読みました。いろいろな思いが頭をよぎり泣けました。
生きたくても、生きることができないという、現実。
ネタフルでも訃報を取り上げることはありますが、遺書を目の当たりにしたのは初めてです。死を迎える人が何を考え、どう行動したのか、いつか自分の順番が来ると分かっていても、簡単には理解することができません。
実は死は身近なところにあって、などと書くのはたやすいですが、それを実感する機会は多くありません。近しい人を見送っても、分からないことだらけです。
出来れば一目会いたい人はたくさんいるが(会いたくないのもいるけれど)、会えば「この人ともう会えなくなるんだな」という思いばかりが溜まっていきそうで、上手く死を迎えられなくなってしまいそうな気がした。回復されたとはいえ私に残る気力はわずかで、会うにはよほどの覚悟がいる。会いたい人ほど会うのがつらい。皮肉な話だ。
これを書いた人が、もういないなんて、思えない。
まだ46歳でした。心よりご冥福をお祈りいたします。
■関連記事
武蔵野美術大に在学中の1985年、漫画家としてデビュー。90年ごろからアニメ映画を手掛けるようになり、人情喜劇やサスペンス、ファンタジーなど幅広い作風で「パーフェクトブルー」や文化庁メディア芸術祭大賞受賞の「千年女優」などの作品を発表。ベネチアのコンペティション部門に出品された「パプリカ」(筒井康隆さん原作)は、現実と妄想が入り交じった世界を最先端の技術で描き話題を呼んだ。
2006年のベネチア国際映画祭に正式出品された映画「パプリカ」などで知られるアニメーション映画監督の今敏(こん・さとし)さんが24日死去した。46歳。北海道出身。