作家の井上ひさし氏が、肺がんで2010年4月9日に死去していたことが明らかになりました。ヘビースモーカーとして有名で2009年10月に肺がんが見つかり、抗がん剤治療を受けていました。
作家の井上ひさしさんが肺がんで死去によれば「笑いと社会批評を織り交ぜた戯曲や小説、エッセーを数多く発表、平和運動にも積極的に取り組んだ劇作家」と紹介されています。
上智大在学中に東京・浅草の劇場「フランス座」で文芸部員になり、執筆活動に。1964年放送開始の「ひょっこりひょうたん島」(共作)で注目を集め、72年に戯曲「道元の冒険」(71年初演)で岸田国士戯曲賞、小説「手鎖心中」で直木賞を受賞。
個人的には、小学生の時に読んだ「偽原始人」が印象的です。当時は、井上ひさしを井上ひさしとして認識せずに「面白いタイトルだから」と読んでいました。
「重いテーマを楽しく、易しくというのが井上さんの姿勢。庶民的で偉ぶったところがまったくなく、わたしたちの時代を代表する作家の一人」と阿刀田高氏。
心よりご冥福をお祈りいたします。
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渡辺美佐子さん主演の一人芝居「化粧」や「藪原検校」は海外でも高い評価を受けた。84年、自身の戯曲を上演する「こまつ座」を旗揚げ。広島で被爆した父と娘を主人公にした戯曲「父と暮せば」は黒木和雄監督で映画化もされた。
幼いころの戦争体験から、反戦・反核や憲法擁護で積極的に発言。2004年には作家大江健三郎さんらと「九条の会」を結成した。日本ペンクラブ会長も務め、言論や平和を守る運動の先頭に立った。
戯曲「しみじみ日本・乃木大将」「小林一茶」で紀伊国屋演劇賞と読売文学賞(戯曲部門)、「吉里吉里人」で日本SF大賞、読売文学賞(小説部門)。小説「腹鼓記」「不忠臣蔵」で吉川英治文学賞、「東京セブンローズ」で菊池寛賞など受賞多数。04年に文化功労者、09年に日本芸術院会員に選ばれた。