【パルスパワー】瞬間的な大電流でアニサキスを殺虫する方法が開発される

Puls fish 5

刺身などに含まれる生きたアニサキスを食べた際に、アニサキスがヒトの胃に刺入することによって引き起こされるアニサキス食中毒を防ぐのは水産業界の長年の課題です。

現在は加熱せずに殺虫する方法は冷凍に限られますが、熊本大学の研究グループが「パルスパワー」を利用してアニサキスを殺虫する方法を開発したと発表していました。

「パルスパワー」とは?

「パルスパワー」というのは、200V(もしくは100V)の電源から電気エネルギーを一旦コンデンサへ蓄積し、これらをマイクロ~ナノ秒レベルで取り出すことで得られる瞬間的超巨大電力のことだそう。

何やら怪しく見えてしまったのですが、パルスパワー – Wikipediaもあり、カメラのフラッシュや自動体外式除細動器などにも応用されている技術でした。

「パルスパワー」でアニサキスを殺虫

今回、熊本大学産業ナノマテリアル研究所と株式会社ジャパン・シーフーズらの共同研究グループが開発したのは、パルスパワー技術によって瞬間的に大電流を流すことにより魚身の内部にいるアニサキスを殺虫するという技術です(特許出願済み)。

ジャパン・シーフーズ工場でアニサキス殺虫装置のプロトタイプ機が完成して既に稼働しており、殺虫処理をした生食用刺身のサンプル出荷も2021年秋に予定されているそうです。

これまでは冷凍が必要だった殺虫が「パルスパワー」によるものになると、解凍品に比べ品質の劣化が少なく、チルド品に近い品質が保たれるそうです。冷凍表示も必要なくなるので、商品価値も向上します。

より美味しい刺身が食べられるのは消費者としては嬉しい限りです。実用化を進めるにはコスト面でまだ改善の余地があるということですが、期待したい技術ですね。

プレスリリース