
チェコのリトミシュルには、現在では“チェコのゴッホ”と呼ばれるようになったヨゼフ・ヴァーハル(Josef Váchal)という画家がいました。“チェコのゴッホ”と呼ばれた理由の1つは、死後に評価が高まったことが影響しているそうです。そして、そのヨゼフ・ヴァーハルの作品が展示されているのが、リトミシュルの中心から徒歩で少しだけ離れたところにある「ポルトモネウム美術館(PORTMONEUM)」です。
「ポルトモネウム美術館」はヨゼフ・ポルトマンという人物が住んでいた場所で、彼はアートや本が好きでたくさんのコレクションを所有していました。自分で書物を印刷することもあり、当時の有名なアーティストに挿絵を依頼するものの、決してお金持ちというわけではなかったので、ちゃんと支払いをしないこともあった‥‥というような人物だそうです。何かにつけて言い訳をし、タバコやお酒で支払うこともあったようです。
そのヨゼフ・ポルトマンが1913年、ヨゼフ・ヴァーハルに出会い、自宅のペイントを依頼します。ヨゼフ・ヴァーハルの絵は非常に特徴的だったため、決して有名な画家というわけではありませんでしたが。
「ポルトモネウム美術館」はヨゼフ・ポルトマンの所有していた一軒家です。
ヨゼフ・ポルトマンはヨゼフ・ヴァーハルと知り合い、自宅のペイントのためにプラハからリトミシュルに呼び寄せますが、実際に部屋をペイントしたのは1922〜1924年のことでした。
ヨゼフ・ヴァーハルによるペイントが行われているのは、1階の奥の2部屋です。
内容としてはオドロオドロしいというか、特徴的な色彩です。
オドロオドロしくも感じるのですが、神秘的でもあります。壁や天井には、オーナメントと踊る悪魔、化け物、ゴブリンなどの怪物以外に、聖書のシーンや占星術の兆しも描かれています。
こちらはその奥に位置する部屋です。
実際にはヨゼフ・ポルトマンが当時から著名な人物だったということもないようですし、ヨゼフ・ヴァーハルも生きている間には有名になることはありませんでした。
ヨゼフ・ヴァーハルの名前が広く知られるようになったのは、ホラチェックという人物が1991年にこの家を購入し、そこからプロモーションをしたことによるのだそうです。元々の才能に加え、敏腕プロデューサーの手が入ったからこそです。
ヨゼフ・ヴァーハルの現在は、個人崇拝の対象にまでなっていると言われているそうです。そのくらい強烈な絵なのですが、好き嫌いの別れる絵でしょうし、しかし熱心なファンがいるというのも頷けます。
ヨゼフ・ヴァーハルは絵描きであると同時に、本も書いていました。しかも、フォントも自分でデザインし印刷していたという、多方面への才能を発揮した人物でもありました。
ヨゼフ・ヴァーハル。
ヨゼフ・ポルトマン。
ホラチェック。
調べてみると複雑な環境で幼少時代を過ごし、都会を嫌うようになり、悪夢を見るようになり、それを芸術に活かすためにアーティストになったということです。「戦後、共産主義革命の後には完全に孤立。田舎に引っ込んで、世に知られずに辺鄙に暮らした」とも。どうしてあのような絵を描くようになったのか‥‥やはり生い立ちが影響していたようです。
もしも、ヨゼフ・ヴァーハルの絵に導かれるようなものがあるならば、チェコを訪れた際はぜひリトミシュルへ。
「ポルトモネウム美術館」の行き方・アクセス
>>Czech Republic – Portmoneum Litomyšl
住所:Chateau Information Center Litomyšl, Jiráskova 94
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