ぼくの話し相手は本当にヒトなのだろうか?「AIの遺電子 Blue Age」を読んで #提供

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2015〜2017年に連載され話題になった「AIの遺電子」。その続編である「AIの遺電子 RED QUEEN」は2017〜2019年に連載され、第1作の前日譚が描かれる本作「AIの遺電子 Blue Age」はシリーズ3作目となります。

高度に発達したAIが人間と同じように暮らす社会。今となってはそれも夢物語とは言えなくなっているのではないかと思います。

※秋田書店より提供いただきました。

AIの暮らす社会はそう遠くない未来なのかもしれない

ヒトの心を持つAIが、人権を与えられヒューマノイドとして暮らす社会。果たして心とはなんなのか? 主人公はヒューマノイドを治療する専門医の須堂光(人間)で、研修医の頃の姿が描かれます。

いきなり「AIの遺電子 Blue Age」から読み始めても全く問題ありませんので、興味を持ったらぜひ読んでみてください!

ネタバレを含みますので、読みたくない人はここで離脱してください。





第1話からいきなり「心とは何なのか?」という問題が突きつけられる、無脳症の子供の話です。

生まれてくる我が子が無脳症であることが判明した夫婦に、須藤光から子供にヒューマノイドの電脳を移植する選択肢が提示されます。

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身体は我が子であるものの、電脳を移植された子供は果たして自分の子供なのかどうか。愛せるのかどうか。

子供の成長とともに、その答えは明らかになっていくのですが、そもそもヒューマノイドは人間ではないという前提もあるので、さらに問題は複雑です。「この子は誰なのだろう?」という思いがつきまとっても不思議ではありません。

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違法技術を使ったゲームにボンベという装置を使いダイブすると、リッチな体験と引き換えに、電脳をハックされたり、ウイルス感染する危険性があります。

思春期の子供にしてみれば、一昔前で言うなら好奇心でタバコを吸うくらいのものだと思うのですが、ボンベ使用によりウイルス感染し、大事な人の記憶を失ってしまう少女も登場します。

「感染者」は生きづらく、現代でいうところの薬物経験者が体験を語り合う互助システムのような組織もあります。

「感染者」というレッテルを貼られた少年少女には、明るい未来はあるのかどうか。子供が重大と思わずに、危険なことを手を伸ばしてしまうのは今も昔も、そしてこの先も変わらないと思うのですが、自覚できないままにウイルス汚染されてしまうというのは恐怖です。

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AIに懐疑的な人たち。なぜもっと力を持たせてもらえないんだ、本領を発揮できないのか、そもそもなぜヒトと同じように寿命があるのかと考えるヒューマノイドたち。

アニメでは「ソード・アート・オンライン」のように、仮想世界にダイブする作品が人気です。これも1つの夢物語だと思っていたのですが、自分がOculus Quest 2でVRChatに勤しんでいると、これはそう遠い世界ではないのでは、と思えてくるのです。

「AIの遺電子 Blue Age」の世界のように脳にインプラントして電脳で‥‥というのは、まだ時間がかかるかもしれませんが、人生の数分の一をVR世界で過ごすというのは、そう遠くない将来にもやってくるのではないかと思っています。

自分が老いても、ベッドの上から動けなくなっても、旅をしたり、会話したり、ほとんど今と同じような生活をVR世界で送れるとしたら、それは幸せなことだと思います。

「そうは言ってもCGの世界でしょ?」いえいえ、そういう方には、ぜひともVRChatは体験して欲しいです。臨場感がありますから。そういう体験をしていると、このAIが高度に発達している世界についても考えさせられます。

自分が会話しているアバターは、ヒトなのか? それともAIなのか? という世界は、すぐそこまで迫っているのではないかと。

ヒトでもAIでも関係ないというのであれば「AIの遺電子 Blue Age」で描かれるヒューマノイドかヒトかというのは問題ないかもしれません。

しかし、AIがなにか悪いことをヒトに示唆するような発言をしたらどうなるでしょうか。「AIの遺電子 Blue Age」にもボンベを使ってウイルス感染する若者が出てきますが、ウイルスに侵されたAIが、ヒトに良くないことを話して回る可能性はありえます。

自分が子供の頃は、AIがヒトと同等の知能を持つとうのは夢物語でした。しかし、昨今はそれも「実現できっこない」と切り捨てることはできない‥‥どころではなく、それ、すぐにやってくるかもよ、という世界になっています。

VRChatの世界には、既に高度なAIを実装したアバターが大量に徘徊していたりして!? あなたが会話しているのは、本当にヒトだと断言できますか?

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