「LinkedIn」の日本展開についてデジタルガレージがマーケティング支援を実施するという発表が行なわれたばかりですが、日本担当のCatherine Porter氏と伊藤穣一氏を交えブロガーミーティングが開催されました。そのレポートをお届けします。
「LinkedIn」がどちらを向いているのか?
Catherine Porter氏から英語版についての説明。
サラリーを上げるとかハンティングだけのバリューを提供するだけではなく、ビジネスで必要な情報を得たり、提供したりできるのが「LinkedIn」のネットワーク。
「LinkedIn」は日本の市場を大事にしている。日本がイノベーションの国だから。「LinkedIn」でイノベーションの力を外に出していきたい。
日本の中で「LinkedIn」でいろいろなものを活性化していきたい。経済的な話もあるし、会社の競争力を示すようなツールになるかもしれない。
「LinkedIn」の成長を表している。1億人のユーザがいる。2010年に50%以上のユーザがアメリカ国外だった。インターナショナルなプロフェッショナルネットワークが作られたと感じている。
右側はマンスリーユニークユーザ。仕事を探すためだけで動いているのではなく、情報を探したりシェアする使い方が伸びている。
Identity:人々を繋いでいる、見つかる。アドレスブック オブ クラウド。情報が生きたツールになる。
Insights:例えばベンチャーキャピタルについての情報を得たい。シェアした記事を見られる。
Everywhere:デバイスとしてのエヴリウェアという考え方。モバイルだけでなく、APIやプラグインを通して、ネットワーク外でも情報を提供していく。
日本でどういった人たちが「LinkedIn」を使っているか。
「LinkedIn」で働いていて面白いのは、データ主導で作られているので、どんな情報がシェアされているか、誰が見ているか正確に分かるのが強みだと感じている。
「LinkedIn Labs」にのっているアプリを社内で募集する。
毎月、ハックデイを作っている。自分の好きな研究を経営陣に発表できる。1回あたり2分。面白いとLabsに入ってユーザに使ってもらうことができる。
「LinkedIn Today」誰が見ているかも可視化される。
「Signal」は莫大な情報の中から自分の必要な情報を探し出すプロダクト。会社名で絞り込みができたりする。「買収された会社の人たちが何をツイートしているか」
「Companies」を検索。
「LinkedIn」が日本でどうなるかというビジョン
デジタルガレージ伊藤穣一氏より説明。
ツイッターを始めとした情報のフィルタリング、外のメディアでのウィジェットなど、ある程度のクリティカルマスまでネットワークができると良いシグナルが出てきた。
「LinkedIn」は、慎重にネットワークを作ってきたので、時間はかかったがノイズの少ないネットワークが構築できている。
日本では目的地にしようとしたり、遊びを入れたり、ユーザをエンゲージメントだけを考えているサイトだと広告を売るだけになってしまう。そういう意味で「LinkedIn」が面白いのは、ユーザにポジティブインパクトを与えることを考え続けている。
「LinkedIn」はようやくクリティカルマスに到達した。日本ではビジネスSNSというが、ちょっと違うと思う。ネットワークやソーシャルグラフを使うが、やろうとしていることは全く違う。いかにユーザにバリューほ出すか、がポイント。
普通のサイトはバリューがなくてもいかにサイトから離れないか、という作り方をしてしまう。そういうのは長持ちしない。短期的なものだけ考えている。
「LinkedIn」はスタンスを崩さない、ロングタームなビジョンを持っている。シリコンバレーの唯一、大人な会社(笑)「LinkedIn」は良くも悪くも真面目な会社。
みんな撤退していく中で「LinkedIn」が日本に参入する、やるなら真面目にやりたい、本気でやりたいと考えている。
中長期的には「自分のキャリアは自分でコントロールする」というメッセージが重要と考えている。
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お二人の説明の後に、ディスカッションなどもさせて頂きました。それらも踏まえて以下、ブロガーミーティングに参加しての雑感です。
これまで日本に「LinkedIn」のようなサービスはあったのかというと、ビジネスSNSはあったものの、花開くというところまではいっていない気がします。
個人的には、日本でキャリアアップをゴリゴリと狙っていくという人がまだ多くないからなのかな、とも思いますが、転職サイトのニーズはあるので、それも若干違うのかな、とも。
それよりも、実名だったり、会社名を出しての参加に抵抗を感じる人が少なくない、という方が、ビジネスSNSが急成長しない理由としては妥当でしょうか。
ただし、今日の話を聞く中では「LinkedIn」は転職SNSではなく、あくまでも仕事の生産性を上げるためのツールである、ということでした。
日本では転職SNSと紹介され、そのイメージが根付いてしまっている感のある「LinkedIn」ですが、最近ではさまざまなツールが登場し、仕事をしていく上でのユーティリティとなっているそうです。
伊藤穣一氏が「仕事のプロダクティビティツール」と繰り返し説明していたのが印象的ですが、これまで思っていた「LinkedIn」はもう「LinkedIn」ではない、ということなのでしょうね。
例えば、ニュースをアグリゲートしてくれる「LinkedIn Today」のような機能がある訳ですが、自分に関係する業界ニュースをピックアップしてくれるような、アクセスすれば自分にとって価値ある情報を得られるという、ビジネスの情報収集のためのツールというのが、入口としては分かりやすいかもしれません。
これまで日本で広まっている「LinkedIn」のイメージとは全く違うものになりますが、その上で「自分のキャリアパスをより良いものにしていく」ために「LinkedIn」が力を発揮していくことになるでしょうか。
「LinkedIn」の売りになっている仕事の生産性を上げるツールというところは、やはり英語だと直感的に分かりにくいところがあります。Labsなどの機能も面白そうですが、同様です。日本語版の登場が待ち遠しいですね。