2008年7月某実、埼玉のシングルモルト「ICHIRO’S MALT」で紹介した「イチローズモルト」を作った肥土(あくと)伊知郎氏を訪ね「秩父蒸留所」に大人の社会科見学してきました!
知り合いのつてを辿って肥土伊知郎氏と連絡が取れるという、なんともラッキーな展開でした。
池袋から特急レッドアローで約1時間半で秩父に、さらにタクシーで約30分くらいで「秩父蒸留所」に到着です。
肥土伊知郎氏に工場を案内して頂きながら、いろいろとお話を伺わせて頂きました。
ある意味では個人が立ち上げたウイスキー蒸留所ということで、どんなところか全く想像がつかなかったのですが、大きさ的には大きな倉庫といった感じでしょうか。
あまり人数が多いと案内できないと聞いていたのですが、確かにこれは大人数だと難しそう。だって、作業している横から、樽やポットスチルを見学させて頂くのですから!
こんなに間近に発酵しているところを見させて頂いたりして。
えーと‥‥
えーと‥‥
近過ぎ?
目の前でガンガン蒸留しているのですから、暑い訳です。
ミウラのボイラ。
いわゆる見学コースでなく、本当に現場を歩いているのです。こんな体験、滅多にできるもんじゃありません。
貯蔵庫には1,000樽、貯蔵できます。
一つ一つの樽が、我が子のようなものなのでしょうね。
記念すべき「No.1」の樽もありました。
以下、お話を伺った中から個人的に興味深かったところを抜粋しました。
・どんな樽を使っていくかという考え方
・全体の半分はウイスキーの古樽を使いたい
・残りはシェリー、ラム、バーボンなど個性がでやすいものを
・伝統的な蒸留所では決まった樽しか使わない
→伝統があるから
・秩父でなにが良いのか発見したい
→5年、10年後に自分たちのスタイルを確立したい
・いろいろな樽に挑戦しているところ
・日本、特に秩父は夏と冬の気温の差が大きく湿度も高い
・スロットランド、ケンタッキーでない独自の熟成をするはず
・秩父では秩父らしいウイスキーができるのがベスト
・日本全国からウイスキー作りに適した場所を探すのは難しかった
・自分が生まれた秩父は空気と水、自然が良いのは分かっていた
・さらに支援してくれる知り合いも多かった
・必然的に地元である秩父でウイスキー作りをすることになった
・キルン塔
・将来的にピートを炊きたい
・ピートも埼玉産のものを使用する
何よりすごいと思ったのは、肥土伊知郎氏の行動力とスピード感です。
・蒸留所をやろうと思ったのは2004年前半
・場所が見つかったのが2007年初頭
・2007年3月に契約、7月に着工
・免許がおりたのが2008年2月7日
・仕込みを始めたのが2月13日
・蒸留はその1週間後
・3月6日から毎日蒸留
思い立ってから、わずか4年でウイスキーの蒸留所を作ってしまったんですよ!?
しかも場所が見つかってから1年で免許取得、そして蒸留開始してしまうのです。ウイスキーにかける、その熱意たるや‥‥。
そもそも、日本でウイスキー蒸留所を建設しようと思う人がどれだけいるでしょうか。そしてそれを実現してしまうとは。
日本でウイスキー蒸留所を建設した経験のある人はいないので、肥土伊知郎氏が自分の経験を基に設計したそうです。
「いずれは大麦の栽培もしてみたい」と嬉しそうにお話しされていましたが、本当に実現してしまうかもしれませんね。そうすると、年間を通じてウイスキー作りに携わる生活ができそうです。
「秩父蒸留所」設立前夜、バーで夢を語りまくったのだそうです。バーで語りまくることで、いろいろなウイスキーを飲ませてもらい味を覚え、バーテンダーさんからもアドバイスを貰ったのだとか。
さらにはスタッフも、どこかのバーで「イチローズモルト」を飲み、ネットで検索して働かせて欲しいとやってきます。バーで知り合った人にデザインしてもらったり、ウイスキーを通じて「秩父蒸留所」は広がったのですね。
今回は素敵な機会を頂いて本当にありがとうございました。何より地元・埼玉に、ウイスキーの蒸留所があることを嬉しく、そして誇りに思いました。
この蒸留所のウイスキーが初めて、世に出て行くのは3年後になります。2011年が、今から楽しみで仕方ありません。「イチローズモルト」の物語は、まだ始まったばかりです。
最後に、夏休みにはスコットランドの蒸留所にウイスキーを作りにいくと、実に楽しそうに話す肥土伊知郎氏なのでした。
▼MALT DREAM(ベンチャーウイスキーのウェブサイト)
▼イチローズモルト クイーンオブダイヤモンズ 1985-2007 フレンチオーク コニャック
▼イチローズモルト 20年 スクエアボトル720ml 46%
▼【Ichiro’s Malt】イチローズ モルト23年 カスクストレングス
▼【Ichiro’s Malt】イチローズ モルト スケアクロウ 10年 40度 720ml(ブラックモルト)
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そういえば、私はまだ「Ichiro’s Malt(イチローズモルト)」を飲んでいません。埼玉県のバーでしか飲めないのでしょうか。(行かなきゃ!)