日本のコミュニティの意見を反映した「Movable Type 5」記者発表会レポート

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2009年7月8日13時30分より大手町で行なわれている「Movable Type 5」記者発表会に参加しています。そのレポートをお届けします。

シックスアパート代表取締役 関信浩氏より本日の概要。

会見に先立ってタグを使いたい人には「#mt5press」「#mt5」を使ってください。実況中継するなど、自由にどうぞ。

手元にある飴は「シックスアパートの飴」です。食べたら美味しいです。

ブログはもともと個人の日記と認識されていた時もあった。企業がブログをする、ブログを使って行動的なことをするブロガーがいる、いろいろなことに使われている。ブログは開かれた誰にでも使えるウェブサイトの構築ツールと考えている。

企業のメディアブログも増えている。単純にニュースを出すだけでなく、記者が開設したり読者とコミュニケーションしたりブログが広く使われている。

そうした中でCMSとしての使われ方も広まっている。ブログツールとしてMTを出したが、市場の中では企業のCMSとして活用されている。

一方でTwitterなどのソーシャルメディアが広がりを見せている。先月のNYのカンバセーショナルサミットにいき、事例を多く見た。どのマーケティング担当者が口にするサービスはTwitter、Facebook、ブログであった。

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ブログがないとTwitterだけでは活用できない、という話もあった。今までSNSというと会員制で閉じた世界だったが、その他のソーシャルサービスが広がる中で、SNSという結びつきであったり、ブログのコンテンツであったりが広がっている。

FacebookがSNSをオープン化した。SNSもオープン化の道を進んでいる。そうした中で、ソーシャルの新しい道、アテンションの仕組みを実際に伝えたいコンテンツに結びつけるようなサービス、最終的に伝えたいコンテンツなどが、ソーシャルで再構築されたウェブを形作っている。

リーマンショックから広告モデルが壁にぶち当たっている気がする。単純な広告モデルでなく、課金のハイブリッドモデルが出てくるだろう。

われわれのビジネスモデルとしても、課金のソフトウェア、メディアの広告モデルのハイブリッドモデルである。自分たち自身も実施していく。それがシックスアパートの位置付けではないかと考えている。

シックスアパートの中核は、MT5やTPなどのブログをつくるためのプラットフォーム、実際にブログをつくるサービス、それを使って収益化するメディアという3つを柱としている。ウェブを使って個人、企業のために相互的なソリューションを提供する。

今回、発表するMT5も3つのパラダイムをサポートするソリューションとして位置づけている。

単独ではなく、パートナーと連携してよりきめの細かいサービスを提供していきたいと考えている。ProNet 約300社、約SOHO 100人。

MT5の歴史。

2001年10月 MT登場
2004年7月 MT3日本語版
・ビジネスブログの登場
2007年8月 MT4
・新世代CMSとして登場
2008年6月 CMS導入数で3年連続1位

MT5は2年ぶりのメジャーバージョンアップとなる。ブログ・CMSを超えた「ソーシャル・パブリッシング・プラットフォーム」に。CMSとしての機能をさらに強化。ライセンス体系を大幅に簡素化。ユーザ無制限版が105,000円。

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製品担当執行役員 金子順氏からMT5の説明。

位置付けはもともとブログという概念がないころから始まっている。簡単にウェブを更新したい。デザイナーとプログラマーのペアにより開発されたことから、デザイナーでも構築しやすいように、という側面も持っている。

さまざまな機能が追加され、ブログだけでウェブ制作にも使える、CMSにも応用ができるという話からさまざまなケースで使われるようになった。

頭の中でブログとして考える、ブログが起点のサイト設計をする必要があった。そこを実際のウェブサイトの構造にあわせられるようにしたのが一つの側面。

ウェブサイトを立ち上げるまでのステップの部分を一つの骨組みとしてまとめられると便利になるだろういうのも、進化の方向性の一つ。

カスタマイズ知識が高度化しており手軽に真似するのが難しい。これが改善点であるだろうと考えていた。

MTの潜在能力の何%を引き出せているか? 個人の知識やノウハウにかなり依存する。しかし日本にはコミュニティがあり、ネットで知識が共有されてきた。

日本のノウハウは世界でもトップクラスである。これほどあるソフトウェアに関してノウハウが蓄積されているのは、世界的にも珍しいのではないか。

これはアメリカ本社でも認識しており、企画段階からコミュニティメンバーにヒアリングをしている。機能追加にはかなりいかされているのではないかと自負している。

MT5のミッションは、コンテンツ管理の基盤はしっかりと完成させる。何らかの目的をもってウェブサイトが作られると思うが、そういう目的にあったウェブサイトを誰でも作れるようにするのがミッション。何でもできる、から、誰でもできる、に。

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MT5では見晴らしのいいウェブサイト管理ができるように。ドメイン単位でウェブサイトを作成できる。ウェブページやフォルダを直接つくることができる。

ウェブサイトとう概念が導入される。基本的にはドメイン単位だが、パスを含んでも良い。ひとつのMTに複数のウェブサイトを作成可能。サイトの構造にあわせてコンテンツやブログを作成することができる。

ウェブサイト単位で、複数ブログのコンテンツをまとめて表示、管理することが可能になる。ポータルサイトのように、トップページでまとめて表示するような機能。

テーマ=ウェブサイトのスケルトン(骨組み)を定義できるようにした。

・デザイン(テンプレート)の適用
・カテゴリやフォルダの追加
・ウィジェットの追加
・記事やウェブページの入力項目の拡張(カスタムフィールド)

テーマとは、設定ファイルとデザインに必要なファイルの集まり。テーマをウェブサイトに適用することかできる。テーマは大きな枠組みとしてカスタマイズ可能。

テーマはプラグインとも連携する。テーマ適用時にMTから必要なプラグインを教えたりすることができる。

・フォトアルバムテーマ
・レストランテーマ
・製品カタログテーマ

更新履歴の管理機能が導入される。ブログ記事、ウェブページ、テンプレートの更新履歴を保存。

投稿画面のカテゴリー指定に応じて、カスタムフィールドの表示/非表示が可能に。ファイルをインポートし、コンテンツをまとめて取り込み可能。

新しい管理画面は、ネットブックなどの環境などに十分にカスタマイズができたりするような努力を続けている。

MT5は、コンテンツとデザインを連携、ウェブサイトの「テーマ(目的)」を最短で実現するツールとなる。

基本ライセンスは63,000円(1サーバ、5ユーザ)、サーバライセンスは126,000円(1サーバ、無制限ユーザ)。

MTユーザ向け特価として、基本ライセンスは21,000円(1サーバ、5ユーザ)、サーバライセンスは52,500円(1サーバ、無制限ユーザ)。

MT5は2009年8月上旬にベータ版が公開され、正式リリースは10月を予定。

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質疑応答。

Q:

MT4のプラグインのMT5での対応状況。MT4で作ったコンテンツをMT5で簡単にインポートできるのか。

A:

プラグインには二つのタイプがある。MTの機能自体を追加するもの。APIを使うものであり、引き続き使えることを想定している。

管理画面を拡張するものに関しては、管理画面を分かりやすくする、ということをしているので、修正が必要になるものもあると思われる。ただし、管理画面はカスタマイズしやすくしている。

コンテンツの引き継ぎはMT4からMT5はできると想定している。サポートプラットフォームに関しては、若干の変更があるかもしれない。

Q:

位置付けが変わったということだが、販売先や数はどのように変化するのか。

A:

基本的にはウェブサイトの管理として使われていることも多かったが、MT4と比べて販路、ユーザ数共に増えると考えている。

ProNetも400からさらに広くして行く予定。一年後には50%くらい増えるのではないか。それに伴い製品の販売も増えると期待している。

Q:

その他に予定されている機能で携帯電話のテンプレートがあるが、モバイルに対応するのか、入口の自動判別のようなものを実装するか。モバイルからの入力対応の予定は。

A:

MT4でもテンプレートの追加で実現可能だが、さらに汎用的なものとしたいと考えている。世界中のいろいろなデバイスにも対応したい、その基盤として考えている。日本の携帯電話に向けた細かいデザイン、という風にはならないかもしれない。管理画面に関しては、現状ではロードマップ的に近いところにはない。

パートナー企業にアイデアマンズがいるが、こちらで日本の携帯電話にきめ細やかに対応した製品がリリースされている。MTとバンドルした形でも提供している。シックスアパートとしては汎用的なものをグローバルに提供していく。これはMT5になっても変わらない予定。

Q:

アメリカで日本のコミュニティが活発と認識しているということだが、実際に日本のコミュニティの意見がMT5で取り入れられたものが知りたい。

ブログ以外の静的なサイトを管理したいという要望もあると思うが、それに対応していくロードマップはあるのか。

A:

実際にMTをどういうふうに利用しているか、かなり数多くヒアリングした。基本的なところからフィードバックがいかされていると思う。

細かいところでカスタムフィールドの表示/非表示など、具体的な意見として頂いたものがある。かなり現場の意見がMT5のコアになっていると考えている。

枠組みとしてウェブサイトを作る。徐々に静的なページを作って動かせるようになっている。既に公開されている企業のウェブサイトを徐々に移行できるような仕組みになっている。

Q:

MT5のパフォーマンス改善などはあるか? テーマを作るのはコミュニティやパートナーがつくるものなのか。シックスアパートが配るという施策はあるか。将来的に販売できるような仕組みをつくる予定はあるか。

A:

パフォーマンスはMT4でも継続的に取り組んだ。4.2ではかなり改善した。パフォーマンス改善は継続的に行なっている。MT5ではコアの部分では大きな変更はしていないので、現状では変わらないはず。ロードマップにおいてはより大規模なサイトを管理していくという、エンタープライズバージョンを投入する際に、何らかを含められれば。

テーマは自由に作れることが重要と考えている。デザイナー以外にも一般のユーザでもカスタマイズしてテーマとして書き出すことができる。テーマの制作として敷居が低くなっている。コミュニティとして共有しやすくなるような仕組みなどは構築していきたい。

サードパーティーの製品をわれわれ自身が販売するようなことも既にしているので、販売するということはあるだろう。現状では、やり方が決まっている訳ではなく、発展の仕方によってケースバイケースで。

Q:

CMSを企業が導入するときに、バージョンアップに対するモチベーション、需要はどのくらい高いと考えているか。

A:

これまでもバージョンアップがあったが、それが楽しい作業でないとうのは厳然としてあった。パートナーからすれば、柔軟にできるのでニーズは高い。エンドユーザからすれば、いいことばかりではないように見えることから、齟齬はあったかもしれない。

MT5ではライセンス体系の変更がある。無制限ライセンスを作ったので、価格面でのインセンティブになるのではないか。MT5にすることで、よりスピーディーに複雑な構築ができるし、さまざまなメリットがあり、バージョンアップについても今まで以上に促進されるのではないかと期待している。

Q:

MT5エンタープライズのリリース予定があるということで良いか? 具体的なスケジュールは決まっているか。

A:

MT4エンタープライズ、価格体系が行なわれている。MT5エンタープライズの日程はまだ。MT5が開発中のため。