2025年には75歳以上の後期高齢者が2,200万人を超えるそうです。要介護者は増えるものの、介護に関わる人は減っていくというのが実状です。
ぼくの父もまさにこの“団塊の世代”です。そして、自分自身も“団塊ジュニア”と呼ばれる世代になります。
母は既に亡くなり、今のところ父は元気に一人暮らしをしているので、介護のことは考えたことはなかったというのが正直なところですが、幸いなことに二世帯住宅なので、何かあれば気づきやすい環境ではあります。
しかし、50歳になった自分の体力が実感できるほど下っていくのを実感すると、父もいつまで元気なのだろうかと考えます。
義理の両親は健在で2人暮らしをしています。今は元気ですが、いつか介護の問題というのも出てくるはずです。クルマで往復できる距離ですが、頻繁に顔を出すのは現実問題として難しいものがあります。
最近は高齢者の見守りサービスも増えていますが、カメラ型や通報ボタン型というのは、仕組みとしてはお互いに不安を覚えるところがあります。
カメラはプライバシーが気になるし、通報ボタンではいざという時に押せない可能性もあります。
センサー型は1つの解決策だと思いますが、トイレの扉につけておけば解決でしょうか。ただ、それもやはりプライバシーが気になるところかもしれませんし、1日に何度も通知が届く可能性もあります。
というところで、アメリカのTellus社が開発し、ソースネクストが日本での販売パートナーとなった「POM(ポム)」の出番なのかな、と思っています。
もちろん家で暮らし続けたい
75歳以上の後期高齢者が2,200万人を超えるというデータを紹介しましたが、介護に関わる人は減っていく一方で、しかし高齢者の70%以上が高齢期を自宅で過ごしたいと考えているそうです。当たり前ですよね。
若い頃は「自宅の畳の上で死にたい」という話はピンと来なかったのですが、今は分かるようになりました。どこで暮らし、どこで最期を迎えるのかというのは、人の尊厳に関わる問題なのだと。
ぼくも仮に1人になったとしたら、自宅で一人暮らしを続けたいと思うでしょう。しかし、万が一のときには、何らかの見守りサービスがあると安心かな、とも思います。それは誰かに迷惑をかけないためでもあります。
プライバシーを尊重し緩やかに見守る
先日、Tellus社とソースネクストが協業する「POM」の記者発表会に行ってきました。
タニヤCEO兼共同創業者によると、Tellusのアイデアはケビン氏とスタンフォードで出会って始まったそうです。お互いに高齢の家族を介護した経験があり、安全に自宅で過ごせるテクノロジーが求められていると考えたのだそう。
なお「POM」は既にB2B向けで販売しており、日本全国の介護施設で稼働しているそうです。
(余談ですが、かつてEvernoteのCEOだったフィル・リービン氏が、Tellusに投資家・メンターとして関わっているそう)
「POM」は壁に取り付けるだけのデバイス
「POM」がどういう製品なのかというのは、動画が分かりやすいのでご覧ください。
「POM」は寝室の壁に設置するだけで使用できます。カメラは搭載されていないので、プライバシーの心配もありません。
「POM」は自動運転でも使用される高性能レーダー技術のミリ波レーダーを採用し、寝ている人の心拍数や呼吸数を計測します。もちろん、そこにいるのかどうか、ということも分かります。
家庭用の高齢者見守りサービスとしては、日本で初めてミリ波レーダーを応用した製品となります。
呼吸数と心拍数をレーダーで計測するとして、どのくらいの精度なのかは以下のグラフが示されした。
微妙な動きを計測し、心拍数を推定しているのだと思いますが、かなりの精度であることが分かります。
ちなみに「POM」は Peace Of Mind の頭文字だそう。
現時点では一人暮らしが対象
現在の「POM」は一人暮らしを見守るのがコンセプトのため、1人をモニターすることに特化しています。今後は高齢の夫婦、2人いるという状況にも対応していきたいとしていました。
気になったのは、犬や猫などペットはどうなのだろうかということ。タニヤCEOに質問したところ、小型の動物なら問題ないとのことでした。
また、ミリ波が健康へ何らかの影響を及ぼすと心配する人もいるかもしれませんが、政府の公開しているガイドラインにより影響がないことを確認し、技適を取得しているそうです。人体に影響はありません。
日本が最初のローンチとなったのは、人口の30パーセント以上が65歳以上という人口動態が理由だそうです。さらに今後は寝室だけでなく、トイレなども含め拡大も検討しているとのことでした。
「POM」を知って考えたこと
気になる「POM」の価格ですが、本体は39,800円、さらにアプリ課金として月額1,980円のサブスクリプション料金が必要です。これを高いと考えるか、安いと感じるのか?
実際のところ、日常的に離れている家族を見守るというのは難しさがあると思います。
LINEで挨拶するというのも1つの手ですが、毎日何かをしないといけないというのがハードルになる人も少なくないでしょうし、この先、10年、20年と続けていけるかというと、負担に感じる人も多いでしょう。
ポイントは、知らず知らずのうちにお互いに“見守っている”“見守られるている”というくらいの、距離感なのではないでしょうか。
もちろん、医療サービスでもないので、起きている時間帯の問題にすぐに対応することはできません。でも「POM」があれば、少なくとも1日の1/3くらいをゆるやかに見守ることができるのです。
電話すること、訪問すること、いずれも積極的に実行したほうが良いことだと思いますが、せねばならないとなって、いつまで続くか分からないと考えると、負担にも感じてしまうこともあると思います。
そういう人は「POM」を利用し、ほどほどの距離感で、ゆるやかに見守りをするというのは“あり”だと思いました。任せられるところは、任せたほうが良いと思いました。
ただ、それでも本体代は高価なものだと思いますし、言葉を選ばずにいえば、いつかは不要になるものです。
使用しなくなったデバイスについて質問したところ、他の人に譲ることができるそうです。知り合いに譲ってもいいし、メルカリの利用もできます。
Makuakeで販売開始
Tellusとソースネクストの協業第1弾として、2023年8月7日よりMakuakeでの販売が開始しています。
▼自動運転のレーダー技術を応用!ご家族の健康を見守る非接触デバイス「POM」ポム|マクアケ
セット内容は、本体端末1台、専用アプリ6ヶ月利用料となっており、現時点では46%オフのスーパー早割(27,800円)が購入可能です。
興味のわいた人は、ぜひチェックしてみてください。