ソーシャルメディアサミット2011「企業のソーシャルメディア活用の可能性について」 #amn

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AMNが主催する「ソーシャルメディアサミット2011」に、AMNブロガーとして参加しています。

続いてのパネルディスカッションは「企業のソーシャルメディア活用の可能性について」で、パネリストはネスレ日本揖斐理佳子氏、ユニット・ワン勝部健太郎氏、ローソン白井明子氏、サントリー坂井康文氏。

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揖斐:キットカットリニューアルキャンペーン。味が変わったことを訴求した。ミクシィでタイアップページ。

先着1万名に3名分の無料クーポンを配付。発表会前に22万人。開始1時間で87万人のアクセス数。当初、1/10くらいだと予想していた。

日本では目立つような形ではソーシャルメディアを利用していないので、これが唯一の活用事例として話している。

しかし、弊社の考えではこれは絶対にソーシャルメディアではない。ミクシィに何百万円もお支払いしている。これは120%のペイドメディアである。

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勝部:コカコーラのキャンペーン「スゴイ自販機」を紹介。プレイボタンを押して抽選するという単純なゲーム。出てきたフィギュアを自分のところに並べたり、友達のところを見たり。

コミュニケーションが変わってきていると感じる。いい映像をとって写真をとって、というのが主流だった。去年はツイッターで。

実際にやっていて思ったのは、ツイッターというのは短期間にトラフィックが落ちてくる瞬間消費型のコミュニケーションである。立ち上がりは高いがさっと消えていく。何か違うと感じてプラットフォームとなるコミュニケーションは作れないか、と。

コミュニケーションが立ち上がりピークになるまでの時間が長ければ、落ちる時間も長いのではないかと。

プッシュ、プルという対比だったが、今は違うのではないか。ソーシャルメディアというのは、生活導線の上にある。日常の延長にある。いかに日常の中に入り込んでコミュニケーションしていくかがポイントになっていくのでは。

特にFacebookは、次のコミュニケーションプラットフォームとしては機能するのではないか。

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白井:広告販促部、要するに宣伝部に所属している。ウェブとエンタメを担当。新しい技術+エンタメ+ソーシャルメディアという組み合わせ。AR+エヴァ+ツイッターが去年のゴールデンウィーク。

人が集まり過ぎて中止になったが、ツイッターでクチコミが広がることが身にしみた事例でもある。

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お店の売上に貢献するために始めたのが、ARG+ワンピース+ツイッターの取り組み。ARGはARにゲームをプラスしたもの。仮想でゲームをして遊ぶ。位置情報によって店舗を回ると貰えるキャンペーン。

参加者は13万人。お店自体は何もしなくて良い。

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坂井:ブログをベースにブロガーイベントを実施、本格化したのは3年前。2008年3月に白州蒸留所でブロガーイベントを実施。シングルモルトの探究セミナー。

白州のハイボールの作り方を最後にやって、ブロガーに感じてもらった。ハイボールでイベントをやってほしい、と。ONEDARI BOYSにイベントをおねだりされた。

イベントを実施した。ハイボールを中心に訴求活動している担当者が講師役でイベントを実施した。

ブロガー向けにイベントをやって声をもらい、大きな意味で会話したことに学ぶことが大きかった。反応を見ながらコミュニケーションした、ということで勉強になった。

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徳力:個人的に印象に残っているのは、発信ではなくサントリーが耳を傾けたこと。地道なところから積み上げた。ソーシャルメディアの魅力とは?

揖斐:端的にいうと、コストがかからないこと。ソーシャルメディアはユーザさんと同じことをする訳だから、コストゼロが大きなメリット。伴うデメリットもあるので、ある意味では相殺される。

企業が写真をとって素晴らしいとコピーを書くよりも、ユーザが写真をとって送って貰う方が100倍くらい説得力がある。ユーザがエンドースしてくれるのがメリット。

ソーシャルメディアの中でFacebookだけは別格だと思っている。チュニジアのジャスミン革命が本当にショックだった。6億人という数字は眉唾だと思っていた。しかし、チュニジアで革命が起こったと聞いて、本当にアクティブユーザだったんだと。

チュニジアではインターネットの利用者の60%がFacebookを利用している。チュニジアの人口は1,000万人。身近な人たちの情報がプッシュでやってくるのは、Facebookの魅力。

徳力:Facebookがインフラになってしまうと与えるインパクトも違ってくる。日本においては、まだバーチャルなイメージがあるのは否めない。

勝部:情報を投げ込んだ時に横に広がる力がある。Facebookが面白いと思った。コカコーラのサイトは一人あたり70回暗い利用されている計算。横に広がって、繰り返し縦の深さができている。

制作サイドからすると、設計の妙が効果的に働くような気がしている。コンテンツにお金をかけなくても、広がりや深さが出てくるのではないか。

「ツイートしてください」というのは一過性のもの。ストックされない。深さ、長さが徹底的に違うのではないか。

白井:ローソンでいろいろ仕掛けているが、テレビCM一本分にもなっていない。それと比べるとコストは安い。

ローソンとして考えているのは、企業サイトにくる人が減っている。ローソンの方から、ローソンやFacebookなどのソーシャルメディアに出張して、クチコミを広げていくことを考えている。9個くらいソーシャルメディアにアカウントを持っている。

徳力:コストがないとは言いつつも人的コストは?

白井:もともとメールマガジンを運用しているチームがいるので、そのメンバーの仕事として吸収している。新しいコミュニケーションだよ、と。

坂井:もともと広報部にいるので、大きな予算はない。そういう前提で、お金をかけずにということで、ブログもそうだがPRに近い。

ブロガーが書くことはサントリーがコントロールできないことが前提。お客様目線で書いていることは、読み手にとって良いと思っている。

やってみて分かったのは、継続的、長いお付き合いしていく、ファンになってもらうことをやっている。ずっとやっていくことに対する覚悟は必要。手間ひまでいうと、お金よりもそちらが重要だと思う。

ミクシィアプリはチューニングのような作業はずっと必要になる。始めてみて、けっこう大変だな、ということが分かった。経営者層からすると「どこまでやるの」というのは分からない。「この辺までだな」というのは考えなくてはいけない。

徳力:ソーシャルメディアをどう考えているか?

坂井:欧米と比較すると、経営者層が使っていない、ということに限るな、と。欧米ではあまり説明がいらない。ミクシィでも分からない。突き詰めると「つぶやく何が面白いの」と言われると難しい。

ブロガーイベントに関してはマーケティング担当者がきていて、感覚は変わってきた。広い意味では新しいことをやるのは反対されないのは良い。

徳力:ローソンはさっきの企画を説明するのは難しいのでは?

白井:頑張って説明した。反対はあまりされなかった。行動指針に乗っ取って、とやる。レポートは数字を入れて経営層まで必ずあげている。取材も増えてきたが、それもクリッピングしてレポートしている。

揖斐:サイトの担当者が社内に40人。それぞれが制作会社や代理店と仕事している。担当者から企画が上がってくる。その段階で、ソーシャルメディアはこんなことがあるが覚悟はあるか? と確認する。それでもやりたい場合は、スイス本社の確認が必要なので、英語の資料を作ってもらう。本社でオーケーが出るとやる。

実際にリスクが発生した段階による連絡先のリストを作るようにもしている。そこまで大変なので、なかなかソーシャルメディアの事例が出てこない。

勝部:例えば「すごい自販機」というものがあって、それがソーシャルメディア上でお客さんを集めるという話。「すごい自販機」のような言葉を見せて、極めて端的で直線的なアプローチをする。

よく本のタイトルを研究している。世の中的に「すごい」という言葉がきているっぽい。最初は仮のタイトルだったのに、そのまま正式に採用されることになった。

徳力:実際に効果測定はどのようにやっているか?

坂井:ハイボールが取り上げられた記事数、ハイボールを含むブログ数などをグラフ化。2008年から地道に活動、ブレイクしたのは2009年の5〜6月。ブロガーとの取り組みなどいろいろな施策があったが、報道との連鎖がキーだな、と感じた。

白井:CGMマーケティングのtweetmanagerで効果検証している。ワンピースのようなものだと応募数で。ソーシャルメディアであればRTなど。Kizasiなどを見ていると、キャンペーンがあからさまに上がるので説明がしやすい。

勝部:基本的には数字だと思う。コカコーラの場合は約67,000アプリダウンロード、約470万回プレイ。

数字以上にストック型のコミュニケーションが重要で、世の中的にどのようなことを与えていくか。数字がどうだった、反響がどうだったでわりかしOKになってしまうが、その後が大事なのではないか。

前職にいた時も反響はちゃんと見て、次に活かすようにしていた。自分で実施したキャンペーンの反響は気になる。

揖斐:効果検証には、ソーシャルメディアに限らず、サイト全般でコスト/ビジットを使っている。製作費を訪問者数で割って、一人あたりどのくらいのコストでやってきたかを算出する。

サイトのユーザさん、内容によって深く刺さるサイト、浅いサイトがあるので、訪問者数だけではマズイ場合もある。訪問者数×滞在時間という指標も利用している。

アメリカではFacebookのファン数は増えているが、サイトへの訪問者数が減少している事例が出てきている。Facebbokのひさしを借りているのに、母屋を取られる状態。

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徳力:ソーシャルメディアの使い分けはどのような印象?

揖斐:ツイッターを使いたい人には、速報性が武器だと思うので、出し続ける情報がある場合は使いましょう、と。

Facebookはコミュニケーションのデファクトスタンダードになっていくはず。そうなると、かなりのお金をかけてきたメールアドレスがなんの意味もなくなる。そういったことを踏まえた上で、Facebookを使おうと話をしている。

勝部:結局、みんな忙しい。何か大変だな、という気分が出てきている気がする。そんな時に、コミュニケーションを設計するにあたり、ユーザの時間の使い方をどのようなデザインするかがポイントなのではないか。

例えばモバイルを使えば、合間時間にパパッとできたりする。時間の使い方をユーザ目線から見た時に、どのようにデザインするか。

情報は5秒でジャッジできなかったら見ない、という気持ちなんじゃないかと。思っている。5秒ルールかどうか分からないが、そのくらいのスピード感のようなものがないと我慢できないのではないか。生活デザインというと大げさだが、そういうことを考える必要がある気がしている。

白井:媒体ごとのユーザの違いはなんとなく分かる。Facebookは実名なので、コメントが好意的。ツイッターも好意的なものが多い。グリーは女性が強いイメージ。グリーもモバゲーも主婦層が多いらしい。

坂井:特にモバイルが増えていることを見ていると、ソーシャルメディアいで過ごす時間が増えると推測している。過ごすのであれば、単価の安い消費財を取り扱うようなメーカーは存在感がないと厳しい。ストックとフローの使い分けが重要。

ブログ記事というのは、今のお客様ではなく、将来のお客様に書くもの。ハイボール関連の記事は2〜3年前に書いたものでも平気で見られている。書いた時にアクセスがなくても比較することはない。種まきとして意味がある。

徳力:他社の活用事例でこれはすごいというものがあれば。

白井:海外のアクセサリショップ。いいねボタンを押さないと、購入することができない。

揖斐:アメリカのスターバックス。FacebookとECをうまく組み合わせている。日本では事例が少ないが、FacebookとECは相性が良い。動画を入れるとECサイトの売上が20%向上する。そうしたコンビネーションは取り入れたい。

坂井:直近でいうと「すごい自販機」がすごいな、と(笑)何をするのか、分かりやすかった。

徳力:最後に一言。

坂井:この数年間、認識を新たにしているのは、インターネットはなんだかんだいって新しいメディア、新しくなり続けているメディア。社内への啓発活動が不可欠だな、と。分かりやすくいうと「仲間を増やそう」。

白井:一からソーシャルメディアを始めるのは大変。既にある計画に相乗りすると、分かりやすい。

勝部:2011年は大企業が変わっていく年。まだチャレンジしていない企業があれば、自信を持ってチャレンジするタイミングなのではないか。

揖斐:社内で危機感を共有する。大学生は就職活動でほとんどがFacebookを利用している。社内のブランド担当者では5割がFacebookを持っていた。しかし、それでは若いユーザについていけなくなってしまう。

追記:ソーシャルメディアサミット2011では以下の記事を書きました。

日本のソーシャルメディアの未来はどうなるのか
Facebookは今後日本でどうなるのか?
企業のソーシャルメディア活用の可能性について
ソーシャルメディアはウェブの何を変えるのか