赤提灯が見えたら立ち寄ることにしています。
明らかに地元の人たちが集う店なんだろうな、というのが一見して分かる店構えに、だからこそあえて飛び込んでみたくなりました。宿泊した「かどや旅館」のすぐそばにあった赤提灯。暗がりで分かりにくいけれど、よく見ると「とりてつ」と店名が書かれています。新島、2日目の夜の始まりは、刺身の美味い焼鳥屋「とりてつ」から。
「とりてつ(新島)」お通しがなめろうの素敵な居酒屋
18時過ぎくらいでしょうか。赤提灯に誘われ「こんばんは」と、少し大きめの声で挨拶しながら店内へ。礼儀正行く大きな声で、初めての店に行くときは心がけています。
ガイドブックに載っている店も良いのですが、ネットの情報が少ない店も大好物です。まだ時間が早かったからか、ご主人がテーブル席で食事されてました。4人がけくらいのテーブル席が3つ、店内は広くはありませんが、お客さん同士の距離感も心地よい感じの空間です。
メニューは看板料理の焼鳥に加え、いかホイル焼や塩辛、一夜干しに〆のラーメン、やきとり丼など。
お店はご夫婦で切り盛りされているよう。小さいお嬢さん二人も、ちょこちょことお店に顔を出します。お姉ちゃんは小学生低学年くらいかな。注文を取ったり、お通しを出してくれたり、なんともかわいいらしい感じのお手伝い。
とりあえず生ビールを頼むと、すぐにお通しも出てきました。なんと、なめろう。あおむろ、つまり新島名物のくさやの原材料となる魚のなめろうだそう。もちろん、ご主人が釣ったもの。
あおむろは足が早く、釣りたてじゃないと生では食べられないそうです。そんな、新鮮ななめろうがお通しで出てくる店、いい店の予感がします。「辛いのが好きだったら七味を混ぜてもいいよ」とご主人。少し入れすぎてピリピリ辛でしたが、ぐっと味が引き締まって美味い。これだけでビールが空いてゆきます。
「全部がオススメだと思うのですが‥‥」と前置きしながら、あえてお店のオススメを聞くと「あれだよ」とホワイトボード。
「本日のおすすめメニュー」には「釣りたて シマアジ 各刺身」とあります。うむむ、昼間にご主人が釣ってきたシマアジが刺身で食べられる!?
食べるしかないです。
見てください、新鮮なシマアジのエッジの立った姿を。美味いのは言わずもがな、です。
とり梅しそ、激辛やきとり。激辛は本当に辛い。ハラペーニョとかかしら。ビールがあっという間に底をつきます。
こうなったら島酒の嶋自慢、焼酎です。ロックで辛さを洗い流します。
かわ、やきとり、すなぎも。
このあたりで仕事で島にやってきているという常連さんが加わり、ご主人と釣り談義が始まります。ぼくは釣りのことはよく分かりませんが、どこで何が釣れたとか、どういう仕掛けで釣れたとか、嬉しそうに語り合う二人を見て、新島が釣り人の楽園だということを確信しました。
ご主人が常連さんに出していた、シマアジの寿司をおすそ分けで頂きます。うーん、美味い。東京で食べたら、いったい一貫いくらになるんだろう。
常連さんはもともと釣りはしなかったものの、新島の長期滞在で釣りを覚えたそうです。けっこうが大物が釣れるんだよな。特にシマアジの引きは最高だ。
これがシマアジ。半身でも大きい。
せっかくのチャンスなので、他の刺身も頂きます。
メジナ。メジナって、刺身で食べられるんだ。白身、美味しいです。
えーっと、ぼくが知っている東京湾のメジナは、丸ごと煮付けにするような小さいなサイズなのですが、これもまたメジナ。こんなのがばんばん釣れるそうですから、新島で釣りを覚えたら、確かに止められないのかもしれません。
嶋自慢、おかわり。徐々に、焼酎の量が増えていっている気がする。少し、仲間に入れてもらえたような気分になって、嬉しい瞬間。
これは、新島名物の「たたきあげ」です。むろあじ、あおむろをミンチにして揚げるものですが、メニューにはありません。曰く「作るの手間がかからるからさ」とのこと。でも、そんなレアメニューを食べられて感激もひとしお。塩コショウがピリリと聞いて、魚版ケンタッキーのような濃ゆい味が良し。
もちろん、焼酎が進んでしまいまして‥‥
3杯目。ほら、やっぱり量が増えてる。
もちろん焼鳥も美味しかったのですが、釣り好きのご主人が釣ってくる魚の刺身も美味い。何があるかは釣果次第。それもまた、シーズンごとの楽しみなのでしょうね。後から地元の人たちがさらにやってきました。地元の方が集う店に、ちょっとお邪魔した話でした。
「tokyo reporter 島旅&山旅」について
東京都の観光PR事業から招待頂き、東京都新島の取材をしています。