ローソンさんからオジ旅に「上海のスマホ決済の現状を見てきてくれませんか?」とご依頼を頂きました。タイ、沖縄、長野に続く4ヶ所目は海外、しかもオジ旅初の中国でした。なぜローソンがスマホ決済なのか?
中国ではAlipayやWeChat Payといったスマホ決済が一般的となっています。これは決済情報が結びついたスマートフォンアプリで表示するバーコードやQRコードをレジでスキャンして決済するというもの。小銭を持たなくていい、スピーディーに決済できる、偽札の心配がないといったことから、中国では普及しています。ローソンではスマホ決済が60%を超えているという驚きの数字も伺いました。
「日本ではスマホ決済ってあんまり聞かないよね?」という話も聞こえてきますが、この領域はローソンが着々と進めています。みなさんも使っているLINEには「LINE Pay」という決済方法がありますが、まずはこれがローソンのコード決済に対応しています。「LINE Pay」にチャージしておけば、クレジットカードがなくても決済ができる!
さらに2017年夏からは「楽天Pay」のコード決済も対応予定です。楽天市場で買い物をして貯まったポイントがありませんか? それを使うことができますし、ローソンの買い物で楽天スーパーポイントが貯まります。
このように、徐々に日本でもスマホ決済の道が広がりつつあるのです。そこで一足先に、中国のスマホ決済事情を上海で見学してきたのです!
それにしても上海は発展しておりまして‥‥スマホ決済以外にも最先端のサービスをいくつか体験することができたので、それらをまとめてレポートしておこうと思います。
上海のUber的サービス「ディーディーダーチャー」
海外の見知らぬ土地でタクシーを拾うのにUberは便利ですが、上海にはUberと合併した「ディディダーチャー」があります。2016年にはAppleも10億ドルを出資して話題になりました。
アプリで配車することができるサービスで、タクシーだけでなく、個人が登録しているクルマを白タクのように呼ぶことも可能です。
日本でもあるといいなと思ったのが乗り合いサービスです。同じ方向の人が集まると割安でタクシー利用ができます。これは合理的ですよね。これも一つの”シェア”ですね。
支払いはもちろんAliPayやWeChat Payで可能。このあたりの決済方法に参加していると、だいたいどこでもスマホで支払いができてしまうというイメージでした。
持ち出せるモバイルバッテリーサービス
非常に合理的なんだけど、日本だと難しそうだと思ったのが、持ち出せるモバイルバッテリーのレンタルサービスです。これまた一つの”シェア”のカタチ。
え、何を言ってるのかよく分からない?
これなら分かりますか?
このオレンジ色の物体がローソンだけでなく様々なコンビニチェーンに置かれているのです。これは充電中の状態。
で、これを使いたい人は持ち出すことができる、と。コンビニで充電できるという装置は見たことがありますが、これはモバイル可能です。返却もどこのコンビニで返しても良いというフレキシブルさ。
本来であればどこかのコンビニチェーンだけで、という発想になりがちだと思いますが、それだとサービスが広がらないので、上海ではあまりそういう垣根を感じない自由さがあるようでした。
自分で決済するローソンの新しい仕組み
ローソンではスマホ決済から一歩進んだ仕組みを見せて頂きました。場所は上海ローソン本社ビルの1階にある店舗で、ここで実験が進められています。
専用アプリを起動し、購入したい商品のバーコードをスキャンします。
商品が追加されます。
決済方法を選択します。ここはスマホ決済ですね。
これで支払い完了!
表示されたバーコードを持ち、レジへ向かいます。
これをスキャンして貰えば全て完了です。
レジに並ぶ通常の支払いラインと、この自分支払いラインは分けたいそうで、このシステムが稼働することで、お客さんは待ち時間を減らすことができるようになります。無人コンビニの一歩手前というと分かりやすいでしょうか。
普通のスマホ決済は?
ちなみに一般的なスマホ決済でも十分にシンプル、スピーディーなのです。
商品を選び、レジにてアプリを起動し決済方法を選択します。
アプリで表示したコードをレジでスキャンして貰えば決済完了です。
日本だと「なぜクレジットカードが普及しないのか?」という議論もありますが、もしかするとそこを飛び越してスマホ決済が普及する可能性もあるのではないでしょうか。
さらにこれまた専用アプリがあるのですが、購入した商品をスキャンしてポイントが貯まるキャンペーンの仕組みもあるのです。
試しに対象のペットボトルのドリンクを5本購入して(つまり5ポイント)からのスマホ決済で‥‥
その場で対象商品をゲットです。
使えるサービスはうまく使い、囲い込むだけでなく、広がりのあるサービスを意欲的かつ有機的に繋げている! という印象を、ローソン上海の方の説明を聞いていて感じました。スピード感とチャレンジ力が半端ないのです。
あちこちに自転車が駐まりまくっていて驚いたモバイク
日本にも進出されることが発表された”シェア”する自転車サービス「モバイク」も上海で体験してきました。
上海市内には白い線で囲われた駐輪スペースがあちこちにあるのですが、必ずといっていいほどモバイクの自転車が駐まっています。写真で手前がモバイクですが、類似の他社サービスの自転車も駐輪しています。
アプリがモバイクのある場所を探し事前に予約することもできますが、歩いているとあちこちに駐輪しているので町中なら予約の必要も感じません。ただし、電動自転車などもあるそうなので、もしかすると狙って乗りたい場合には予約が必要になる可能性はあります。
自転車のQRコードを撮影してロック解除します。
あちこちに駐められている自転車もまとめて回収にくるそうですが、まずこの「自由に乗り捨てられる」という仕組みを東京で実現するのが困難でしょうね。
ブレーキの効きがやや甘いくらいで、それ以外は普通に自転車に乗ることができました。ちなみに自転車の位置は全てGPSで把握されており、故障があると自転車から連絡があり回収にくるそうです。
走行時間、走行距離、位置情報はアプリで確認することができます。チョイ乗りだったら数十元にもならないでしょう。例えば1元なら約16円です(ちなみに普段使いでは1〜2元で済むそう)。これはもう自転車を買う必要がなくなってしまいます。
乗り捨てたらロックして利用完了です。
え、こんなところに乗り捨てていいの? という場所にはモバイクは置かれていましたが、いずれ誰かが乗るかもしれないし、回収されるのでしょうね。
無人のコンビニでスマホ決済
ヨーロッパ系のショッピングモールが駐車場で実験していた無人のコンビニも見学しました。
今後、日本でも人口が少なくなっていきますから、無人店舗というのは注目が集まる分野に違いありません。ビルの上層階なら無人店舗で良い場合もあるでしょう。
こちらに入店するには、やはりスマートフォンでAlipayなりWeChat Payなりのスマホ決済を登録している必要があります。
店内で商品を選んだ後、無人レジに行きます。
商品にはタグがついており、それが自動で読み込まれますので、スマホ決済すれば購入完了となります。
物珍しさもあるかもしれませんが、人はひっきりなしに訪れていました。ローソンが自分で会計を済ませる実験をしているのも見学しましたが、商品につけたタグを読み取って会計するよりは、バーコードを自分でスキャンして会計する方がよりスマートでしょうね。一品、二品くらいの購入であれば、自分でスキャンするのも全く問題ないと思います。それで会計がスムーズに行われてサッと店から出られるのであれば。
上海のスピード凄い、日本ヤバいなと思った
日本の経済は停滞しているけれど、それでもIT関係なんかはまだまだ最先端を走っているのではないかとどこかで希望のような願望のような気持ちがあったのですが、1泊2日で上海を訪れてみて、それが儚い夢のようなものであったことを悟りました。
いつか中国のバブルも弾けるのではないかとは思いますが、それでもこの上海のスピード感にはゾクゾクしました。お国柄なんでしょうかね。車道も監視カメラで撮影していて違反もそれで取り締まるとか絶対に日本では無理だろうなと思ったけれど、逆にそういう環境だからこそ、ちょっと無理目なんじゃないのと思われるサービスでもズケズケと展開できてしまうというか。
アメリカに留学した若者がビジネスモデルを中国に持ち帰り、いきなり投資が集まって数千万のユーザーを無料サービスで集めて、そこからフリーミアムに移行して成功する、みたいな話もあるそうで、人口の多い中国ならではなのかもしれませんが、良くも悪くも”貧テック”が話題になる日本とは状況が違うんだと実感しました。
とにかく初めての中国、上海は驚くことばかりでした。成田空港からは4時間くらいで行けるので、ぜひ自分の目で体験するのが良いのではないかと思います。ネットのニュースで読むのと、実際に自分で体験するのとでは、当然ですが天と地ほどの違いがありました。
また、上海事情をレポートしにいきたいと思います!
追記:中国の銀行口座を持たないとスマホ決済に入金できないと聞いたのですが、日本からアプリに入金していく方法がありました。WechatPayを東京でクレジットチャージしてみる。という記事を参考にしてください。