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ちょっと前の記事なのですが「いいね!」ボタンを押してクビが飛んだ役人たちの顛末というのがありました。「いいね!」ボタンのクリックが「言論の自由」で保護されないという判決が下された話です。
ヴァージニア州のある保安官が選挙で再選を果たそうとしていた2009年、4人の部下が対抗候補のサイトで「いいね!」をクリックしていた。気にくわない上司へのちょっとした不服従の表明だった。この保安官は最終的に選挙で勝利したのだが(保安官は一般市民の選挙によって選ばれる)、後にこの「いいね!」の一件を知るにいたって、4人をクビにした。
「職場の調和と効率が乱される」というのが解雇の理由で、解雇された一人が「いいね!」のクリックは言論の自由として提訴したものの、結果は「いいね!」のクリックは言論の自由の対象外、というものだったのだそうです。
つまり「ここでの行いが解雇の理由になっても致し方ない」というもの。
この判決は、非常に奇妙な判断に基づいている。つまり、フェイスブックやブログへの書き込みのように、ちゃんとした文章の体裁をとっていれば「言論の自由」の対象になったが、「いいね!」のクリックはあまりに不十分で、対象になるべくもないという。
文章としての書き込みであれば「言論の自由」が認められるものの「いいね!」のクリックはその対象にはならない、と。シンプルなだけに、より主張としては強いのですけどね。
似たようなケースでは、次のような話が紹介されています。
実際、フェイスブックの書き込みに関しては、これまでいくつも訴訟が起こされているが、書き込みをしたユーザー側に言論の自由が認められている。学校の先生を揶揄した生徒が停学処分になったときもそうだ。
学校の先生を揶揄した書き込みと、不満を表明するための「いいね!」のクリック。似ているようで、裁判所の判断は違いました。
「ユーザーがそこに込めた意見の内容まで、裁判所が推し測ることはしないという線引き」だそうなので、クリックするに至る不満があったのかもしれないけれど、そこまでは推測しない、ということなのでしょうね。
ただし、一審なので、今後どうなるかはまだ分からないようです。「うっかり”いいね!”もクリックできないこんな世の中じゃ‥‥」なんてことになりますかね?