芥川賞の西村賢太さん「風俗に行こうと思っていたが、行かなくてよかった」

芥川賞の西村さん「風俗行こうと…」という記事より。

第144回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が17日、東京・築地の料亭「新喜楽」で行われ、芥川賞は西村賢太さん(43)の「苦役列車」、朝吹真理子さん(26)の「きことわ」のダブル受賞となった。ノミネート3度目で受賞した西村さんは「風俗に行こうと思っていたが、行かなくてよかった」と笑いを取った。

第144回芥川賞・直木賞の選考が行なわれ、西村賢太さんの「苦役列車」と朝吹真理子さんの「きことわ」が芥川賞を受賞しました。

西村賢太さんは43歳ですが、黒いジャンパーとしわの目立つ灰色のスラックスにひげ面など、ちょっと異色な存在だったようです。

報道陣から受賞の知らせをどのように聞いたか問われ、「自宅で、まあそろそろ風俗行こうかなと思っていた。行かなくてよかったです」と話し、笑わせた。

リップサービスでしょうが、このあたりも異色ですね。中卒でフリーター、親子2代で逮捕歴があるというのも、異色です。自身は暴行で留置場に入るなどしています。

私小説を書いており「苦役列車」も19歳の自分がモデルです。

「書いているうちに(自分で)面白くなることはある。ダメなやつだな、ダメなやつだな。でも、これオレのことだよな、と。それで、お酒に逃げ、その繰り返しです」。ダメな主人公が出てくる小説の中で「起こったできごとの9割以上は本当」という。

中卒での芥川賞受賞は、1998年の花村萬月さん以来ということです。

幼いころ、父親が事件を起こして夜逃げを余儀なくされ、中学を出てから働いてきた。23歳で大正時代の私小説家藤沢清造の作品に出会い「僕よりダメな人間がいて救われた」と思い、小説に取り組んできた。

賞金100万円は、編集している藤沢清造全集の資金に充てるそうです。

とれほどのダメっぷりなのか、ちょっと小説を読んでみたくなりました。

一方の朝吹真理子さんは、慶大大学院で近世歌舞伎を研究する才女です。祖父、父ともにフランス文学者で、まさにサラブレッド。西村賢太さんとは対照的です。

朝吹真理子さんは「うれしさと畏怖の両方がないまぜになった状態です」とコメントしています。

二度はゆけぬ町の地図 (角川文庫)

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流跡

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直木賞は、木内昇さんの「漂砂(ひょうさ)のうたう」と道尾秀介さんの「月と蟹」が受賞しています。

漂砂のうたう

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月と蟹

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11歳の時、運送業を営んでいた父が事件を起こし逮捕された。自身も2度逮捕された経験がある。親子2代の破天荒な生き方は、まだ小説化していない部分もある。「父がまだ生きてるんですよ。死ねば自分の生い立ちも書けるんですが。小説を書くために和解することはありません」と話した。

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一方、明治初期の東京の遊郭で呼び込みとして働く男の生き方を描いた作品が評価された木内さんは、出版社勤務を経てデビュー。大学時代はソフトボールに熱中したといい、「本当は直木賞ではなくて(プロ野球の)沢村賞が欲しかったんですけどね」とおどけてみせた。

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選考委員の島田雅彦さんは、朝吹さんの作品について「(登場人物の)意識の中で過去と現在、未来を交錯させ、複雑な小説空間を作り出した」と評価。西村さんについては「1つのエンターテインメントとして完成度が高く、揺るぎない芸風を持っている」とした。