著者の佐々木俊尚氏より献本を頂きました。ありがとうございます。
2004年10月から「ホットワイアード」に連載されていた「ITジャーナル」の書籍化されたのが「ウェブ2.0は夢か現実か?」です。
▼ウェブ2.0は夢か現実か?―テレビ・新聞を呑み込むネットの破壊力
「グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する」も読んだのですが、実は佐々木氏の書く文章は好きで、もちろん「ITジャーナル」も読んでいました。
なので「ITジャーナル」をまとめて読めると面白いな、と思って読んだのですが、ただ単にまとめられているだけでなく、現状に即して加筆修正が行われているので、非常にまとまり感があって読みやすかったです。
読んだ記憶がある箇所もあれば、そうでないところも。それにしても2004年10月から2006年までというのは、ブログが登場してインターネットに大きな刺激があった時期だと思いますが、その前後の空気感を一気通貫で読めるのは楽しいです。
のっけがSkypeで「スカイプ? そんなものには興味ないね。いま最大の危機はソフトバンク。孫正義攻略が、第一だ」というセリフが紹介されています。2004年頃の話だそうです。
どうなんでしょうか。今でもSkypeって、こういう認識なんでしょうか? 少なくともSkypeは、ぼくのライフスタイルを一変させてしまったことは確かです。仕事関係で周知している電話番号も、SkypeInの番号だったりします。
たぶんこれからは、取材という行為自体もこのようにして相対化されていくのではないかと思った。つまりは取材する側と取材される側が、同じ土俵に乗っていくということである。
あるウェブサイトの管理者にメールで取材した際に、そのやりとりがメールが行われ、そのやりとりが管理者により掲示板で公開されたことを受けての佐々木氏の感想です。
これが2002年ということなので、今であればさらに容易にこうした取材のやりとりは公開される状況にあるのでしょうね。「書かれる側が抗議をするメディアを手に入れたのである」と。
このやりとりをマスコミの記者は「うへーっ、インターネットってやっぱり気持ち悪いなぁ」とコメントしたということなのですが、これはある意味ではテレビCMが崩壊しつつあるけれど、そこから離れられない人たちもいるということにも似ているな、と思いました。
他にも韓国でオーマイニュースが大きなパワーを持ったことに関して、韓国では新聞、雑誌、テレビなどのオールドメディアに対する報道規制が厳しく行われていたことが挙げられています。
なぜ韓国でオーマイニュースが流行ったのか? という点に関しては、こういう事実も重要かもしれませんね。「オーマイニュースは、新聞やテレビがいっさい報じなかった事件や政府の腐敗などをこと細かに報じた」
そして、このオーマイニュースの創業者が「金大中の息子」とまで呼ばれた存在であったことも。
参考になったのは、ジャパネットタカタの高田社長に関する項目で書かれていたことです。
高田社長のメッセージは明快だ。モノ自身へのこだわりではなく、モノを媒介にしていかにわれわれの生活を豊かに楽しくできるのかということなのである。
こういうことって、メーカーが作成するカタログなどに足りないことなんでしょうか。「カタログの最後のページにしか載っていない小さな部分を、頭に持ってきて解説することもありますね」という高田社長の言葉が物語っています。
シーンであったりストーリーを表現できるのがブログで、それがクチコミになっているということなのでしょうね。
そしてコンテンツとコンテナーの話も参考になりました。コンテナーが変わっても、コンテンツが維持できればビジネスモデルが維持できるという話。新聞、テレビにも言える話です。
コンテンツの中にCMを入れるプロダクトプレースメントであるとか。コンテンツは変わらないけれどコンテナーが変わったというのは、例えばiTMSもそうですね。ラジオ局がポッドキャスティングするのも、コンテナーを変える戦略です。
これに関してはネタフルでも思えばインターネットも変わったなとして書いていました。
などなど、2004年からの連載のまとめですが、これまでを振り返り、今後を考える上でも参考になる内容だと思います。