監修の織田さんから、献本で「テレビCM崩壊」を頂きました。自分で購入して読もうと思っていた矢先に、メールを頂いてバッチリなタイミングでした。ありがとうございました。
▼テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0
「テレビCM崩壊」というセンセーショナルなタイトルに、既に読んだ人も多いかと思いますが、内容は以下のようになっています。
■第1部 テレビCMをはじめとする「マス広告」の終わりを論じる
キーワード:TiVo現象/CM飛ばし/マスの不在
■第2部 新しいマーケティングが満たすべき要件を整理する
キーワード:4要素(消費者、ブランディング、広告、広告代理店)の再考
■第3部 解決策になりうる10のアプローチを提供する
キーワード:ゲーム、オンデマンド視聴、体験型マーケティング、長編コンテンツ、コミュニティマーケティング、CGC、検索、 「M」で始まるツール、ブランデッドエンターテイメント
つまり、テレビCMを盲信的に頼っていてばかりではダメですよ、見直さないとね、というお話だと理解しました。
確かに現実問題として、日本でもHDDレコーダーが普及してテレビCMはスキップされることが多くなっているという現実はあると思います。
テレビほどマスにリーチすることができるメディアも現状ではない訳ですが、引き続きテレビCMを利用していく企業にとっては、その価値を再考するための良い機会になるのかもしれません。
自分でもテレビCMを見なくなっていると思いますが、それでもD80のキムタクや、ジョージアの渡哲也とキムタクのCMは思わず見てしまいましたね。
キヤノンのEOS Kiss DigitalのテレビCMがどの層に響いているのか分かりませんが、一眼レフデジカメが欲しいと思っている20〜30代がD80のテレビCMを見たら、一気に親近感がわくのでは、と思いました。
実はぼくがEOS Kiss Digital Nを購入したのも、銀塩時代のテレビCMのイメージがあったからなのです。
ということを思い返すと、まだまだテレビCMの効果というのはあると思います。が、それもクリエイティブによるもので、効果測定自体もなかなか難しいものがあるでしょう。
テレビCMをこれほどまでに滅ぼしてしまったもの、それは何ものでもないテレビ自身である。(中略)効果測定や結果の検証、投資効果を問われる今となっても、雑音にまみれ、質が落ち、さらに不安定なテレビ環境でなんとか君臨しようともがいている。(P.51)
そういう意味では、いま「テレビCM崩壊」を読んで、改めてテレビCMの現在、現実、将来について考えておくのも大切と思いました。そのテレビCMを出稿することで、誰がもっとも得をするのか。媒体? 広告代理店? それとも出稿している企業自身?
読書メモです。
需要側である消費者は後戻りができないほど変わってしまったのに、供給側であるマーケティングと広告は変わっていない。このギャップは埋めなければならない。(P.23)
様々なところで試行錯誤が繰り広げられていると思いますが、ここのところがポイントかと思いました。ペプシがイベントやインターネットを活用したキャンペーンを展開したように、ギャップを埋めるための施策も重要である、と。
「完璧な情報」を手にすることで強まった消費者の力は、まさに検索エンジンによってもたらされた。(中略)知識という禁断の実を手にし始めた消費者が、今までのやり方ではマーケターの思い通りにはならないのも事実である。(P.50)
昨今、クチコミに注目が集まる一つの理由ですね。
マーケティング・キャンペーンは消費者を中心に考えなければならないというのが今まで言われていたことだが、実際には、中心にあるべきなのは消費者の興味を喚起するアイデアであり、そのアイデアを核としてつながっている消費者のネットワークが形成されるべきなのである。(P.81)
マック・ユーザから、どうしてPCからマックに切り替えたかという熱弁を聞かされたこと、携帯電話端末のブッラクベリーからパーム社(Palm)のTreoに切り替えた友人からTreoのメリットについて聞かされたことはないだろうか? 彼らを単なるオタクと勘違いしてはいけない。彼らは、あなたの製品にもっとも忠誠な顧客、真の賛同者であり、クチコミの効果を考えれば、彼らを従業員にしてもよいほど、価値のある消費者なのだ。(P.197)
どうしたらクチコミが起こせるの? という問いに対する一つの答えではないかと。これはバズマーケティング、成功の秘訣は「商品の品質」と「ネタの濃さ」にも繋がっていきます。
ちなみに本編からは少し離れるのですが、ぼくが個人的にグッときたのは「アイデアは無料ではない」という小さいコラムでした。
多くの人は、アイデアは有り余るほどあって、実行することにだけ価値があると信じている。そんなのはナンセンスだ。アイデアというのは、砂漠のオアシスのようなものだ。
さて「テレビCM崩壊」は第一章がダウンロードできるということなので、興味を持った人はぜひ読んでみてください。この本が特徴的なのは、問題提起だけでなく、後半に解決策も提示していることでしょう。
まさに現場にいる29もテレビCM崩壊 マス広告の終焉で動き始めたマーケティング2.0というエントリーを書いています。
今まで現場で疑問に感じていた事、でも発言するのはちょっぴりタブーだったりする内容、それをここまで「ぶっちゃける」人を見て気持ちいいと感じるのは僕だけでしょうか?(w