大住良之氏の「日本代表コーチに大木武氏が就任したことの意味」というコラムが、サポティスタで紹介されていました。
ヴァンフォーレ甲府がJ2降格した責任をとり、大木武氏が辞任しました。辞任したとはいえ、ヴァンフォーレ甲府は非常に良いサッカーをしていたのです。
FWのバレーが移籍するなど、フィニッシュ面での問題はあったのですが、それでも予算の少ない中で、甲府のサッカーは目を見張るものがありました。高く評価する人も多かったはずです。
辞任後、大木武氏がどこのクラブの監督になるのか、気にしている人も多かったと思いますが、日本代表のコーチに就任することが決まりました。
それを受けてのコラムです。
大木氏を評価する声は多いのですが、その最たるものが紹介されているオシム氏の言葉でしょう。
「J1のチームにはないサッカーをやっている。すごく勇気をもって攻めているし、戦術面でも勇気のある戦術を採用している。甲府のサッカーは常軌を逸している。この言葉の意味は、サッカーのために本当にいいことをしているということだ」
ともすればクレイジーなサッカーを展開する、とでもいいだけなオシム氏ですが、この最大限の賛辞を贈られた大木氏が日本代表のコーチに就任するのですから、期待も高まるというものです。
まるでフットサルのような細かなパスをつないで局面を打開し、相手チームの選手たちを引き寄せてから一気にスペースをつくサッカーは、Jリーグのなかで最も異質で、同時にエキサイティングだった。
例えば浦和レッズの戦術は守備を固め、そこから攻撃を組み立てていくというスタイルです。失点はしないし勝つけれど、見ていてつまらないという声も聞かれました。
大住良之氏は「オシム監督、大木コーチ」という指導陣を夢想していたそうです。オシム氏が育て、大木氏が引き継ぐ‥‥。
「ピッチ上の選手全員が常にプレーに関与する」大木氏のサッカーが昇華されれば、独自のスタイルとして日本サッカーに大きな影響を及ぼすとも考えられます。
それはかなわなくなりましたが、しかし「甲府の不運が日本サッカーの幸運」として、岡田監督のサポート役としてコーチ就任が決まった訳です。
甲府の不運(J2降格)は、日本代表、そして日本全体のサッカーにとって幸運だった。
とまで言う大住氏。
「勝負師」である岡田氏と「教育者」である大木氏、奇しくも二人は武史と武の「ダブルタケシ」です。
もしこのふたりがともに良い面を出し合い、うまく補完し合えたら、間違いなく現在の日本で最強のコンビになる。
日本代表にはあまり興味がないのですが、タケシとタケシの相乗効果には期待したいところです。見ていて楽しそうですからね。
さらにその成果を、代表にいく啓太や闘莉王、阿部、坪井らがチームに持ち帰ってくれる、ということでもあるのですからね。