Oculus Quest 2を購入しVRChatやVRゲームを楽しむなど、主に遊びやコミュニケーションで活用しているVRですが、医療方面でも活用が進んでいることを知る機会がありました。
ももさんと“世界最高齢のアプリ開発者”として知られるマーチャンこと若宮正子さんが、VRを活用したリハビリ医療機器「mediVR カグラ」を体験するのに @pichikyo と同行してきました。
リハビリ医療機器「mediVR カグラ」とは?
「mediVR カグラ」は、簡単に説明すればヘッドマウントディスプレイを活用したVRのリハビリ医療機器です。
我々がOculus Questなどのヘッドマウントディスプレイを利用してゲームをプレイするのと同様に「mediVR カグラ」はゲームをプレイしながらリハビリすることができるようになっています。
特許も複数取得し、医療システムとして販売も行われており、現時点では全国25ヵ所の施設(病院や介護施設など)に導入されています。
循環器内科専門医の原正彦医師が中心となって開発したもので、それを広めるための会社も設立されています。今回は、その東京拠点でお話を聞きました。
使用している機材は「HTC VIVE」で「mediVR カグラ」は、その上で動作するリハビリ用アプリを開発している会社ということになるでしょう。
リハビリは座ったまま受けることができます。ゲームとしては非常にシンプルなものなのですが、医療従事者がマンツーマンで対応し、ゲームの“課題”を出していきます。
それをクリアしていくうちに、これまで動きにくかった部位が稼働したり、判断を繰り返すことで脳の認知能力が高まっていくということです。
リハビリはとかく耐えるものというイメージがありますが「mediVR カグラ」はゲームの体裁を取っていますので、楽しみながらプレイすることができます。さらに“課題”を出すのは人間ですので、楽しくコミュニケーションできるという特徴もあります。
「mediVR カグラ」を体験
「mediVR カグラ」の使用には、最初に自身の体格に合わせたキャリブレーションを行います。
簡単にいえば「どのくらいまで手が届くか」という計測をするのですが、これによってリハビリ範囲が設定されます。手を伸ばす時も、少しだけ身体を伸ばすと届く、くらいの範囲になるわけです。
姿勢正しくキビキビと課題をクリアしていくマーチャン。
ヘッドマウントディスプレイとは別にシステムを稼働させている画面もプロジェクターで見ることができましたが、最もシンプルなものでは上から落ちてくるボールを、右手・左手でタッチしていくものがあります。
あらかじめ決まったプログラムがあるのではなく、あくまでもリハビリする人の状況に応じて出題していく形になるので、カリキュラムとしてのバリエーションは無限ということになるでしょう。
最初は脳に負荷がかからないよう、背景もシンプルなものをプレイするのですが、複雑なものが必要な場合には木からフルーツが落ちてくるものもあります。連続してフルーツを落とされると、右手も左手も、そして目を向ける方向も忙しくなってきます。
きちんと許諾を受けているという水戸黄門ゲームもあります。忍者とスピード比べのような内容ですが、これは年配の人にも馴染みがあって親しみやすいのではないでしょうか。
どんな風に体験しているかは、こちらのツイートが分かりやすいです。
マーチャンこと若宮正子さんの #医療VR 身体機能リハビリテーションツール #KAGURA の体験会に参加。理学療法士(今回は作業療法士)さんがアテンドしながら遠隔よりリハビリができます。レベル設計もしっかりしていて素晴らしいVRの活用方法。@muck55 @kogure @dsHirano https://t.co/yFVJoX5dLT pic.twitter.com/SIiDiPhoMc
— ぴちきょ 仮想空間とVR / ラクニ iPhone Case (@pichikyo) June 16, 2021
mediVR カグラ – Wikipediaによると、次のように説明されています。
VR空間を患者に認知させ、3次元空間内で提示する座標に対して手を伸ばす(リーチングという動作)ことによって姿勢バランスを「定量的」に崩すための刺激を行い、リーチングタスクの達成度を計測することでバランス能力を評価する。
ゲームをプレイすることで、知らず識らずのうちに身体を使い、脳を使い、それがリハビリになっているというシステムなのですね。
今回は短時間の体験ですし、ビフォー・アフターのようなことは分からないのですが、普段どおりとは違う身体の使い方をして、さらには脳トレのように頭を働かせているという感覚はありました。
例えばVRChatは性別や年齢などの個人情報を剥ぎ取った世界で、アバターを着替えて何者にでもなれるという、ある意味では人生を生き直すというか、心のリハビリができるような側面もあると思っています。
今回の体験では医療方面から、身体のリハビリに使えるVRがあるという可能性について感じ、考えることができました。定期的に施設に通ってリハビリしつつ、自宅でもVR機器で補完するリハビリが可能になるような未来もすぐそこ‥‥なのでしょうね。
興味を持った人は、こちらの動画をご覧ください。
「MediVR カグラ」のサイトから、導入施設やデモ機設置施設を探すことができます。