ネットウォッチャー・Hagex氏が亡くなった(追記あり)

ネットウォッチャーとして知られ「Hagex-day info」というブログを書いていたHagex氏が、福岡で開催したネットウォッチ関連のセミナーの後に、トイレで刺され死亡するという事件が発生しました。犯人は出頭して逮捕されています。

学校跡地で男性刺され死亡 男が出頭「人刺した」 福岡という記事になっています。

24日午後8時ごろ、福岡市中央区大名2丁目の旧大名小学校跡地で「人が刺された」と110番通報があった。福岡県警や消防によると、現場から男性が搬送されたが、間もなく死亡が確認された。

刺された男性は「会社員、岡本顕一郎さん」と伝えられているのですが、Hagex氏のプロフィールと一致しているそうです。

Hagex氏が岡本顕一郎氏だということも、知っている人は知っているという情報であったようです。

<殺人>「闇ウェブ」専門家刺され死亡 福岡繁華街、男出頭という記事にもなっています。

福岡県警によると、24日午後11時前、40代の男が福岡・東署管内の交番に「中央区の殺人は自分です」と出頭した。男の持っていたバッグの中から血が付いた刃物が見つかった。

既に犯人は自首しているとのことです。ただ、どんな人物なのか、どういう理由でHagex氏を刺したのかはまだ明らかになっていません。

セミナーの参加者がブログを書いています。

hagexさん以外考えられない。 – はてこはときどき外に出る

被害者である岡本顕一郎さんの写真があったが、今日登壇しておられたhagexさんその人であった。写真撮影は禁止ということで講座中に似顔絵を描いていた。顎とエラがない特徴のあるお顔、刈り上げに丁髷風のポニーテールと目立つ風貌だった。

Hagex氏のブログは歯に衣着せぬ物言いで、読んでスカッとする人もいれば、読んで不快になったという人もいたでしょう。何が原因でこういうことになってしまったのかはまだ分かりませんが、犯人はHagex氏が現れる場所を狙っていたのかもしれません。

ただ、どんなにHagex氏が気に入らなかったとしても、腹を立てたとしても、暴力に訴えることは許されないのです。

ネットを舞台にした事件だと思わせるように、はてなのアノニマスダイアリーに犯行声明らしきものが出ています。

おいネット弁慶卒業してきたぞ 改めて言おう これが、どれだけ叩かれてもネ..

これが、どれだけ叩かれてもネットリンチをやめることがなく、俺と議論しておのれらの正当性を示すこともなく(まあネットリンチの正当化なんて無理だけどな)

俺を「低能先生です」の一言でゲラゲラ笑いながら通報&封殺してきたお前らへの返答だ

タイムスタンプが「22:29」で、出頭する直前に投稿されたものだということが分かります(内容の真偽の程は定かではありません)。

今回の事件は、同じくネットでブログを書き続ける者として、非常に複雑な心境を抱いています。もしかすると、ブログを書いていたことで恨まれて刺されたのかもしれない‥‥いや、ブログは直接的には関係ないかもしれない‥‥詳細はこれから明らかになるはずですが、ネットでよく見知った人物が刺され亡くなるというのは、まだうまく言葉にできないのですが、非常に‥‥。

Hagex氏のことは一方的にネット上で知っていただけで、リアルはおろかネットでもやり取りしたことはなかったはずですが、なんともいたたまれない気持ちです。

そして、2018年6月24日の夜をもって、何かのネットの潮目が変わったとも感じます。

心よりHagex氏のご冥福をお祈りします。

追記:

福岡の起業支援施設で殺人疑い 無職の男逮捕  :日本経済新聞

福岡県警中央署は25日、出頭してきた同市東区筥松1の無職、松本英光容疑者(42)を殺人などの疑いで逮捕した。

「ネット上で恨んでいた」 福岡のIT講師刺殺容疑者:朝日新聞デジタル

松本容疑者は殺害したことを認め、「ネット上で恨んでいた。腹と首を刺したのは間違いない」と供述しているという。

刺殺された岡本さん、「Hagex」の名でブログ:朝日新聞デジタル

この施設では同日午後5時半からIT関係のセミナーが開かれ、岡本さんが講師を務めていた。終了直後、施設内で待ち伏せしていた松本容疑者が、トイレに入った岡本さんを襲ったとみられるという。岡本さんは「Hagex」の名前でブログを書いていた。

ITセミナー講師死亡 逮捕の男 背中や胸を何度も刺したか | NHKニュース

警察によりますと、松本容疑者は会場の施設で岡本さんを待ち伏せし、背中や胸、首などを何度も刺したということです。

「ネット弁慶卒業してきた」「足つって自首」IT講師殺害の42歳男 異様な逆恨み犯行声明”全文公開”〈週刊朝日〉(AERA dot.) – Yahoo!ニュース

「松本容疑者は調べに対し、目的を遂げることができたなどと語っている。長く引きこもりでネットに依存した生活でそこで馬鹿にされたのを根に持ち、犯行に及んだようだ。ネットの犯行声明は、年齢も42歳となっており、書いている内容と松本容疑者の供述は合致しており、本人が書いたものとみられる」

「Hagexさんの姿、ネットで見ていた」 容疑者供述(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース

松本容疑者とみられる人物がネット上で複数の人へ誹謗(ひぼう)中傷を繰り返していたことを、岡本さんはブログで問題視していた。松本容疑者は調べに対し、「岡本さんの名前は知らなかった」と供述しているという。

Hagexさんが生前抱いていた不安、現実に 刺殺事件:朝日新聞デジタル

福岡市内であったIT関係セミナーの男性講師が刺殺された事件で、亡くなった岡本顕一郎さん(41)は「Hagex」の名前で活動する匿名ブロガーだったことが事件で知れ渡った。

はてな初のブロガーイベント中止 Hagex氏刺殺事件受け – ITmedia NEWS

24日夜、はてなでブログを執筆していた「Hagex」こと岡本顕一郎さんが、はてなユーザーとみられる容疑者に福岡市内で襲われ、刺殺された事件を受け、「参加者の安全確保のため」中止することにしたという。

IT講師殺害、元九大生の容疑者「地味で真面目」 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

九州大文学部に入学し、イスラム文明について学んだ。福岡県内のラーメン店でアルバイトをし、その後は正社員として働いていた。

ITセミナー講師殺害、傷の一部 心臓まで達する(TBS系(JNN)) – Yahoo!ニュース

司法解剖の結果、岡本さんは胸や首など十数か所を刺されたり切られたりしていて、傷の一部は心臓まで達していたことが分かりました。

福岡セミナー講師刺殺事件に思うこと:ロマン優光連載112 – ブッチNEWS

容疑者の生活エリアにそれとわかる形で現れたために、容疑者の憎む全てを仮託されてしまっただけであり、Hagex氏は松本容疑者が殺したかった世界そのものの象徴にされてしまったのだろう。

「低能先生」を凶行に駆り立てたネット民の闇 | インターネット | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

インターネット時代より遙か以前、電子掲示板システムによるパソコン通信サービス時代から、いわゆる”ネット弁慶な人”は多かった。筆者自身、一方的に中傷を受けたことが何度もあるが、実際に会ってみると温和で親切ということがほとんどだった。

低能先生はなぜHagex氏を刺殺した?報道とは違う“ネット民が見た経緯” | 日刊SPA!

報道にあるような、Hagex氏に低能先生呼ばわりされ通報されたことを逆恨みしたなど、Hagex氏との直接的なトラブルが原因で犯行に及んだわけではないという見方もできる。

「犯行声明投稿した」容疑者が供述 Hagexさん刺殺:朝日新聞デジタル

福岡市中央区で有名ブロガーが刺殺された事件で、殺人容疑などで逮捕された松本英光容疑者(42)=福岡市東区=が、交番に出頭する直前にネットに投稿された「犯行声明」について、「自分が投稿した」と話していることが、関係者への取材でわかった。

「切込隊長」山本一郎がHagexさんの死に直面して思うこと

会ったことのない人を殺す事件を、皆はビビります。でも、会ったことのない人と協力し、信頼して、場合によってはかなりの時間と費用と労力をかけて問題に取り組む――これが、ネット社会の良さであり、理解のし難さでもあります。信頼関係も築けるネット社会なら、人を殺すような事件が起きてもまったくおかしくないのがネット社会なのです。

IT講師殺害、複数ユーザーに殺意…容疑者特定できた人物狙う? : 最新ニュース : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

捜査関係者によると、松本容疑者は「岡本さんとは面識がなかった」とする一方、ハゲックスとしての岡本さんについて、「インターネット上のやり取りで恨んでいた」と供述。セミナーはハゲックスが主催しており、容疑者は「1か月前に知った」と説明している。県警は、複数の恨みの対象者のうち、実際にセミナーに訪れる人物を標的にして事件を計画したとみて調べている。

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hagex氏のこと – Everything you’ve ever Dreamed

氏の名誉のため、誤解のないように言っておくけど(僕も最初胡散臭い人だと思っていた)彼はいかがわしい職の人などではなく会社員だ。「フミコさんと同じ社畜です」と言われたのがすげえ印象に残っている。

「ネットウォッチャー」Hagex氏の訃報に際して | @raf00

これからの活躍の中で、いずれお会いしお話したいと楽しみにしていたが、これはいくらなんでもアグレッシブに過ぎる。
個人インターネットの動きが大きく変わってしまうではないか。

やまもといちろう 公式ブログ – Hagexに王様はいなかった – Powered by LINE

若いころは生きていることに対してさほど感じなかった感謝が、こういう事件を経るごとに「生きている」から「生き残っている」感覚に変わっていくのです。

Hagexさんは厳しくて優しい人。 : Blog @narumi

じゃあ、応援してあげたらいいんじゃないですか?と聞いたら、「普通のファンとは違ったアプローチも必要」というようなことをHagexさんは言っていた。

禿田さんことハゲ子ことHagexの勉強会に参加してきた – ここは流沙河の水底

別れ際に禿田さんと交わした言葉をここに記す。
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このときは本当に、またいつかどこかで会えると思っていたし、お互い笑顔で別れた。

Hagexさんを偲ぶ…… – YAMDAS現更新履歴

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ネットウォッチャーHagex氏刺殺事件まとめ。容疑者は「低能先生」か? – フリーライター、書くヒト

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はてな村殺人事件、村民に衝撃(株価は無風) : 市況かぶ全力2階建

犯行の1ヶ月ちょっと前。誹謗中傷に対してサービスが真っ当な対応をした結果、容疑者が心理的に追い詰められたとしたら、何が正しかったんだろう?今回ははてなに乗り込む前に本人が自首したけど

ただ茫然とHagexさんについてのニュースを眺める: 不倒城

ただ、ブロガーが、ブロガーとしての活動をしている時に刺された、というのは端的に言って衝撃だ。日本ではほぼ初めてに近い事態なのではないだろうか。

Hagexさんが狙われたのかのはなぜか – はてこはときどき外に出る

Hagexさんが誰でも気軽に参加できる集まりを開いてくださったことには心から感謝する。しかし会場や参加費である程度参加者を選別できない集まりは、やはりリスクが伴うものだと改めて思った。

hagex氏の死に関して、はてブの憎悪犯罪には株式会社はてなの責任が十分すぎるほどある – フロイドの狂気日記

件の人が犯人でなかったとしても遅かれ早かれリアルでの問題は起こるだろう(殺人とまではいかなくても)。そしてそれは憎悪を高める侮辱的なユーザーを技術的、あるいは法的に解決しない株式会社はてなにこそ大いに責任がある。

古来からのネット作法に総括を迫られているのかもしれない – 日毎に敵と懶惰に戦う

ネット上でのヘイトスピーチ、様々な「問題ある表現」への対応を巡っては、昨今、各種議論が交わされていて、特に古式ゆかしいネット作法「荒らしは放置」の時代ではなくなっていることは、ある程度共有認識を得られてきたことなのではないかと思う。

hagexさんの痛ましい事件について – Everything you’ve ever Dreamed

犯人は「自分の責任を果たす」といって出頭したらしい。報道で知った。ふざけている。出頭して捕まったくらいで何の責任を果たすというのだ?42才の大馬鹿者。

インターネットの「無敵の人」から身を守る方法 – 俺の遺言を聴いてほしい

インターネットに「バカの壁」はない。

だから、自分たちで壁を作るか、隠れるか、人を怒らせないことでしか「ヤバイ人」を回避する方法はない。

hagexさんの訃報に触れて – ←ズイショ→

彼はセンセーショナルな死に方をしなくたって、十分に語るべきところのある人だったのだろうと思う。交通事故で死んだ人の人となりをさんざ語ったあげく「そんな人だから交通事故に巻き込まれたわけで」とはならないように、そういう風にhagexさんという人柄が語られてるのを見て悼みたいなと思う。やりきれないな。以上です。

殺すほどのことでもなければ、死ななければならないほどのことでもなかったはずなのに – 関内関外日記

おれは「知っている人間」が「知っている人間」を殺したということに、生まれて始めて直面した。「直面」したとは言い過ぎかもしれないが、おれの中では、そうなのである。

社会に居場所がない側から、hagexさんの事件を思う – ニャート

さらに、著名プロブロガーを批判するユーザーをAさんが攻撃していたことも、複雑な気持ちになる。
プロブロガーは、オンラインサロンや情報商材を商売とする一面があり、Aさんは彼の信者だったのか、それで何か救われたのか、と考えてしまう。

Hagex氏の訃報とネットへの向き合い方について – novtanの日常

思うに、承認欲求という言葉が一般的になり始めた時期に、そういった話とは全く別個に、ネットの闇は深まっていったのではないか、と思っている。もっとも、その前兆は我々ネット老人では計り知れないところ(プロフ等)で既に発生していて、SNSの一般化によって爆発したんだと思うけれども。

Hagex氏刺殺事件に対する想い – ポジ熊の人生記

暴力に等しい形で言及を受けましたが、それを薬にすることができたので結果オーライなのです。しかし、もしメンタルが弱くてあるいは歪んだ自意識があってその言及を生涯忘れぬ怨恨に変化させてしまったら?そうなれば今回の犯人のようになっていたかもしれない。

6月24日の事件について | N-Styles

普段の言動を見るに、Hagex氏を最も恨んでいたわけではないだろう。
彼が、福岡に来て、自由に出入りできる会場で行われるセミナー講師という攻撃しやすい状態にあったからターゲットになった。

低能先生からのIDコール

私は罵詈雑言に心動かないので単にSPAM扱いで通報してたけど

こういうので心が落ち込んでしまう人もいるとは思う

岡本君のこと at bogus press

なにぶん、まだ実感がないとか書いてるのだけど、一昨日、海浜幕張からの帰りの電車の中で、通夜と告別式の日程が送られてきたとき、たしか前にVladさんが亡くなったとき、岡本君と行く時間とか合わせて一緒に行ったから、電話して相談するかと思ったんだけど、そうか、もう、いないんだ、電話に出ないんだ、と気付いたときには、ぼろぼろ涙がこぼれたんだった。

一週間経った。 – Everything you’ve ever Dreamed

氏はネットウォッチや炎上ウォッチを「ゲスい趣味」と自覚していたので、「ハゲックスは実はいい人だった…」などと今さら聖人のように扱うのは、先述のとおりゲスネット人格とリアルと切り離していた氏が望まないことであるし、氏が生きていれば「キモッ!」と言っているはずだ。

われわれは反省すべきか、萎縮すべきか、Hagexの遺志を継ぐべきか – novtanの日常

少なくとも、僕自身は自分が正しいと信じたことに遠慮することはやめる。刺される覚悟というのは何も特別なことではなくて、ウェブで発言をするときの基本動作に過ぎない。もちろんそれは過激な発言をするという宣言ではないし、私怨から他人を攻撃するということでもない。ただ、自分の信念に従った結果として別の信念と衝突することは避け得ない。