Meta Quest 2を使っているので、ヘッドマウントディスプレイやスマートグラスの新製品は常に気になる存在です。特にヘッドマウントディスプレイの未来は、薄くて小型で軽いスマートグラスに移行すると考えているので、その進化過程にあるデバイスはとても気になります。
今回、TCLのスマートグラス「TCL NXTWEAR S」をお借りすることができました。見た目は完全にサングラス。この「TCL NXTWEAR S」を体験したレポートをお届けします!
「TCL NXTWEAR S」はどんなスマートグラスか?
スペックとしては、視野角45度、解像度1920×1080のマイクロOLEDディスプレイを搭載します。4m先の距離に、130インチ相当のスクリーンが精細に投影され、まるで映画館のような体験ができる‥‥というのが分かりやすい製品紹介です。
もっと簡単に説明するなら、パソコンやスマートフォンの外部ディスプレイとして使えるメガネ型のディスプレイと言い換えても良いかもしれません。ゲームデバイスを接続して使用することもできます。
見た目としてはやや大振りなメガネ、サングラスといったところです。サイズと重量のスペックは以下の通りです。
サイズ:
175mm x 166mm x 51mm(着用時)
56mm x 154mm x 51mm(折りたたみ時)
重量:
82g(フロントレンズを除く)
ちょっとゴツく感じる人もいるかもしれませんが、装着してしまえばあまり気になりません。サングラス感覚です。
ヘッドマウントディスプレイは頭部全体への負荷がかかり長時間の装着は難しいのですが、このくらいであれば長時間でも問題ありません。
ちなみに前面のレンズ(サングラスのように色が濃い)は取り外しができます。このレンズを外していると透明なガラスなので先が透けて見えます。透過してAR的な使い方をするのであれば、このレンズは外すのでしょう。
ただ、現時点ではこのレンズを装着し背景を黒くし、映画館のような状態で動画視聴するという使い方が一般的だと思います。なぜなら基本的な使い方はディスプレイのミラーリングなので、常に全画面表示されるからです。
画面の一部にメッセンジャーだけを表示するような、AR的な使い方ができるアプリが登場すると、前面レンズを外して使うという流れもできてくるでしょう。
とにかく簡単に使える
ということで、現状ではMacBook AirとiPad Airの画面をミラーリングする外部ディスプレイとして使ってみました。なぜなら「TCL NXTWEAR S」は専用のUSB-Cケーブルを付属しており、MacBook AirとiPad Airがダイレクトに繋げるからなのです。簡単なのはとても大事です。
ここが専用ケーブルを接続するためのポートです。マグネット式になっており「TCL NXTWEAR S」をかけた状態でも手探りで簡単にケーブルを接続することができます。
この機構は本当に秀逸だと思いました。いくら本体が小型軽量でも、デバイスと接続するのが煩わしければ出番は減ります。
ただし、注意点があるとすれば髪の毛をはさみがちなので、頭から外すときは気をつけてください。毛ごと抜き取る恐れがあります。
そして、この専用ケーブルの先はUSB-Cになっており、MacBook AirとiPad Airに接続するだけで、一瞬で外部ディスプレイとして認識されます。素晴らしいプラグ&プレイです。
MacBook Airの外部ディスプレイとして、画面をミラーリングして普段の作業をしてみようと思ったのですが、頭を動かすと画面も動くため、あっという間に酔いそうになったのでこれはすぐに断念しました。もしかすると頭を動かさないよう慣れれば大丈夫かもしれませんが‥‥。
ネトフリとアマプラには大満足
もともと「パソコンでも使えたら面白いかもな‥‥」くらいだったので、すぐに方向転換して動画視聴を試すことにしました。
早速、契約しているNetflixとAmazonプライムビデオで映画やドラマ、アニメを観たのですが‥‥これは没入感が半端ない!
耳元にあるスピーカーも個人的には音は悪くなく、映画館のサウンドのように感じました(本体でボリューム調節が可能)。もちろんBluetoothイヤホンで、より良い音環境を求めることもできます。
4m先の距離に130インチ相当のスクリーンがあるということで、確かに眼前に大きな画面は広がります。ただ、目の前に大きな画面があるのですが、それをフィジカルなインチ数に変換すると、ちょっと脳がバグってしまうというか。
130インチというサイズ感は別として、没入感のある画面が目の前に広がっており、それはまるで映画館、自分専用のミニシアターですよ、ということは自信を持って言えると思います。
家でゲーミングチェアを倒しリラックスしながら使いましたが、プラグ&プレイですぐに使える簡単さであること、本体にバッテリーがないので充電の必要がなくいつでも使えることなど「TCL NXTWEAR S」ならではのメリットを享受することができました。
装着感も普通にメガネやサングラスをかけている感覚に近く、2時間くらいは普通に経ってしまいました。
ぼくは自宅で使用しましたが、飛行機だったり、新幹線だったり、長時間の移動をする人にも最適だと思います。目の前のデスクにスマートフォンやタブレットを置いて視聴するのとは、全く違う体験が得られると思います。まさにモバイルできる映画館ですね。
スペックを見ると、加速度センサー/ジャイロセンサー/近接センサーに3DoFのトラッキングにも対応しているということなので、今後、アプリの開発が進めばAR/MR的な使い方も期待できるのではないかと思っています。
価格は59,800円です。