■観戦期
前半が終わった瞬間、「決められるときに決めておかないと、後が大変なんだよな」と思っていた。押していたし、決定的なチャンスは幾度となくあったからだ。案の定、後半はセレッソが息を吹き返し、カウンターから決定的なチャンスを作られ、後ろからニキが止めレッドカードをもらってしまう。しかし、あの場面ではそれも仕方ないだろう。
ただ、一人減っても、実はそんなに不安には思っていなかったのも事実。と、いうのも、9人できっちり守れば、エメルソンと田中の二人だけで得点できる力が、今のレッズにはあるからだ。エメルソン頼みと言われたレッズだったが、エメルソンだけでは得点できる気はしない。そこに、著しく成長した田中がいるからこそ、負ける気がしないというものだ。一人少なくなったことで、逆に活性化するのではないかとすら思っていた。
思った通り、田中のセンタリングを、エメルソンがキレイにヘディングして先制。今日はエメルソンの調子がいまいちだったけれど、田中はいつもと同様のキレだった。ドンピシャのセンタリングは素晴らしい。試合終了後のインタビューでは「見えていた」とコメントしていた。
先制したとは言え10人だ。一発やられてしまえば引き分け、悪ければ逆転されてしまう‥‥と思った直後、交代したばかりの長谷部がミドルシュートを決める。内舘がDFに回ったことで守備的なMFとして山瀬の代わりに投入された長谷部だったが、期待以上の働きをしたのではないだろうか。なんというか、溢れ出る自身を感じるようになってきた。
こうなればセレッソも前掛かりになってくる。きっちり守り、前線のエメルソン、田中にボールが供給され、高速なカウンターがどんどん決まるようになる。田中がDFと一対一になる。何も怖いものはない。見ていても、一人くらいだったら間違いなくかわせるのが分かるからだ。案の定、DFをかわし、ゴール左隅に流し込み得点を決める。これで4戦連続弾だろうか? 以前、田中をA代表に、と書いたことがあったが、その気持ちはより強くなった。今日の大久保は危険なプレーを犯し、さらに判定に不満をとなえてばかりの子供のような姿を晒していた。精神的に強くなった田中がA代表に呼ばれる日が、そう遠くないことを確信した。
順位は2位。予定通りの優勝争いだ。次は水曜日のナビスコだ。
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長谷部が追加点を決めた後の後半35分には、田中がドリブル突破から右足でダメ押し。「僕もエメルソンも1対1が好き。向こうが攻めてきてやりやすかった」
フル代表にも在籍する大久保に追いつけば、優勝はもちろん、現在はスーパーサブの五輪代表のレギュラーの座、そしてその先には得点力不足に悩むジーコ・ジャパン入りが見えてくる。
4戦連続ゴールで単独2位浮上をもたらし「好きなようにやらせてもらってる」と声を弾ませた。