2010年9月29日、Evernoteが都内で開催した、新サービス及び国内企業連携に関する記者発表会のレポートをお届けします。
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CEOフィルが登壇。今回は東京で日本のパートナーということで話をする。最初にエバーノートの最新情報を。
エバーノートは人生に関わるユビキタスなサービスを提供している。ゴールには弊社だけでは辿り着けないので、パートナーが重要だと考えている。
モバイルアプリケーションの世界には3つの重要なことがある。
・エンターテイメント
・ソーシャル
・インフォメーション
各エリアにはそれぞれ有名な企業がいる。例えばエンターテイメントであればソニー、アップル、ソーシャルであればツイッター、フェイスブック。
エバーノートのゴールは情報(インフォメーシーョン)のエリアで有力企業になりたいと考えている。他の二つのエリアと比べて重要な特徴がある。
エバーノートが提供するサービスは情報にまつわるサービス、すなわち人の記憶に関わるサービスである。長く使えば使うほど、情報の価値が高くなる。
インフォメーションの世界と情報の世界を比較してみると、映画を観続けていると価値が高まるかというと、そういうものでもない。情報は蓄積されると価値が生まれてくると考えている。
ソーシャルな世界と比較してみる。ツイッターは素晴らしく大好きであるが、自分友達が5年前に何をしていたか、には価値がないと思う。自分が5年前に何をしていたか、がそこにある方が価値が高いと思う。
そしてこの価値は時間が経てばたつほど蓄積されていく。このバリューをパートナー企業と共有したいと考えている。
2008年3月に新規加入したユーザを追跡したデータ。31,000人がエバーノートの会員になった(現在は月あたり35万人が加入している)。
加入者たちがどうなっているか? 3万人が新規加入者になったが、翌月は50%が戻ってこなかった。2ヶ月目になると、さらに減っているかもしれない。しかし、2ヶ月後はユーザの数が減らずに安定して推移している。
実際にエバーノートを使っていると考えて欲しい。自分の記憶がそこにあるのだから、離れたくないという強い気持ちがそこには現れていると思う。
実はウェブサービスの中では、このようなことは一度もなかった。未曾有の成功だと考えている。これによって売上も生まれている。
無償のサービスも提供しているし、ユーザが望めばそれを使い続けることができる。ひと月5ドルで有償サービスもある。
上は先ほどのグラフ。下に売上のグラフ。2008年6月の段階で1万人が残った。その時の月ベースの売上は700ドル。2年たち月当たり1万ドルが計上されている。同じユーザベースで700ドルから1万ドルに。
インフォメーションの世界というのは、エンターテイメントやソーシャルとは違うということを、まさしくこの数字が事実を物語っている。
ユーザの成長をグラフで確認。ワールドワイドで450万人。
最初の100万人に446日かかった。300万から400万人への成長はでは108日だった。ひと月ほどの短いスパンで500万人になろうとしている。
毎日11,000人のユーザが増えている。インターネットカンパニーの中でも、最も速く成長している。企業である。
さらにユーザの95%は自然に生まれている。マーケティングや広告から獲得したのではなく、クチコミやブログを見たりしてユーザが増えている。
国別のユーザの状況。57%はアメリカ。2年半前。日本では半年もたっていないが、それでも18%になっている。
前回6月の記者発表では、日本のトータルのユーザは日本以外の次に大きい10カ国を足しても日本が大きい、と。現在は20カ国を併せた以上の数になっている。
エバーノート関連の出版物も8冊に。アメリカでは2週間前に初めて出版されたばかり。そういう状況なので、日本でのサポートも重視している。日本語のできるスタッフを東京に置いている。
現地の言葉で提供するのはコストがかかる。他の国ではやっていないが、日本は特別だと考えている。
続いて「Evernote Trunk」について。エバーノートのパートナーで構成されるエコシステムである。「Trunk」を通じてパートナーからのイノベーションが期待できると考えている。
世界中に2,000以上のパートナーがいる。その内、250製品が市場に投入されている。約半数は日本のデベロッパである。
今日は日本の「Trunk」のパートナーを紹介できることを嬉しく思っている。
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パートナー企業からプレゼンテーション。
学研「大人の科学」。ノートブックにコンテンツを提供していくパートナーとなった。いずれはモノとユーザを繋ぐインターフェースとしてエバーノートを使えるようになりたい。付録とエバーノートが連動するようなものを作りたい。
東急ハンズ。東急ハンズにはいろいろなヒントがある。風呂敷の包み方やロープの結び方などなど。そうしたものを「ヒントファイル」として「Trunk」で持ち歩いて欲しい。
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「Evernote Site Memory」という新サービスの紹介。小さなエバーノートのボタンをサイトに埋め込むことができる。
「Evernote Site Memory」というボタンをクリックすると、その記事を直接、エバーノートに持っていくことができる。かつて閲覧したものも一覧として見ることができるようになっている。
何をしてクリックできるのかは、パブリッシャーがきちんとコントロールできるようになっている。何をクリップしてくれたのかも確認できる。
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パートナー企業からプレゼンテーション。
NECビッグローブ。コンテンツでの連携。レシピ紹介サイトで、レシピを「Evernote Site Memory」でエバーノートにクリップすることができるように。温泉サイトにもボタンを。
ITmedia。「Evernote Site Memory」を自メディアで活用していくことを表明しにきた。
iPhone、iPadアプリを開発し、コンテンツの読み方のプロセスに対して提案できるようなメディア事業になることを考えてきた。アプリの次はPCウェブサイトに実装できることに。
コンテンツを作る人、コンテンツをよりよく使ってもらう、そこを基に情報発信してもらえるような企業として「Evernote Site Memory」を活用していきたい。
IT pro。長く蓄積することで価値が上がることは、我々にとっても価値のあるサービスと考えている。「Evernote Site Memory」をサイトに実装。
パーソナルなクラウドサービスは使う前と後では価値観ががらりと変わると、個人的にも考えている。
NTT西日本「N-Transfer」。USB機器を接続するだけで、エバーノートに情報がいく。紙の媒体をどんどんエバーノートに送り込む。パソコンを起動する煩わしさがなくなる。
ジャストシステム「ATOK」。「ATOK for iPhone」でエバーノート連携可能に。
KING JIM「ポメラ」。「ポメラ QRコードリーダー」がエバーノートにも対応。「ポメラ」でメモ、日記などを入力し、iPhoneの「QRコードリーダー」からエバーノートにあげてほしい。
フライトシステムコンサルティング「TweetMe」。ワンクリックでツイートをエバーノートに保存することができる。検索したツイートも、ワンクリックでエバーノートに保存できるようにした。「TweetMe」を世界展開する方向で動いている。
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既存パートナー企業の紹介。
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最後にアフィリエイトプログラムの紹介(サイトに日本語で詳細な解説が既にアップされている)。パブリッシャー経由で登録したユーザからの最初の10ドルを支払うというもの。
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最後に成長戦略について。特にここ半年で、モバイル業界で未曾有の変化が起きている。アクティブユーザの数字。
Windows Mobile -32%
Palm WebOS -9%
BlackBerry +44%
Apple iOS +126%
Android +613%
わずか半年でAndroidユーザが7倍に増えたということ。いろいろなデバイス、国々でどんどん大きくなっている。Androidチームを3倍に増員した。
次は日本の携帯電話ユーザである。エバーノートとして、がっちり努力しているところである。
ドコモの方からのメッセージ。
「エバーノートにの広がり、最大の鍵はオープンであることだと思う。このメッセージが込められているからエバーノートが広がっていると思う。ドコモとしては、エバーノートがインターネットの革命を支える鍵だと思っている。
日々の情報の伝達、保存が劇的に変わろうとしている。パーソナルなアーカイブを自分たちで制御、確保し、一生使い続けるのか。まさにエバーノートに込められている。
繋がるということ、人と人、モノとモノを支えるのがドコモのミッションである」
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最後にフィルよりメッセージ。
様々な人たちに支えられており、感謝の気持ち。昨日は11,000人の新しいユーザが加わってくれた。もちろん毎日、嬉しい思いで一杯だが、このように成功できているのはみなさんのサポートがあってこそ。もう一度、気を引き締めてベストなサービスを提供していきたい。
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以上です。