食品偽装問題が賑やかですが、肉好きとして気になるのは「牛脂注入肉」です。牛肉に牛脂を注入するという話は以前から聞いたことはありましたが、これだけ話題になると、どんなものなのか気になります。牛脂注入肉って何? 似た技法フランス料理にもという記事があったのでご紹介です。
牛脂注入肉。食肉業界では「インジェクションビーフ」とも呼んでいる。インジェクションとは英語で「注入」「注射」という意味だ。その名の通り、牛のかたまり肉に注射針のような針を刺して調味液を注入する。
てっきり牛脂をそのまま注射しているのだと思っていたのですが、ピックル液という液体だそうです。ピックル液というとハム作りで使った記憶がありますが、水や牛脂の他、食塩や寒天、調味料、安定剤などが混ぜられているそうです。
添加物だらけ‥‥と思ってしまいますが「ハムやソーセージでは定番」かつ、どれも加工食品ではよく使われるものだそうです。
イメージとしては、人間の注射のようなものだと思っていたのですが「大きな針が60~100本ほど付いた機械に入れ、肉のかたまりに注入」するそうで、肉全体に満遍なくピックル液が満たされるのですね。
こうした加工によって、硬い赤身肉であっても軟らかくなる。牛脂を注入することでサシが入り、霜降り状の肉に生まれ変わるのだ。
こう聞くと、物凄く人工的な肉が出来上がるイメージですが、似たような調理方法はフランス料理にもあるそうです。
代表的なのがフランス料理の「ピケ」という技法。子牛肉などの淡泊な牛肉にコクを加えるため、ピケ針で脂肪を差し込む。まさに脂肪の注入肉だ。
ピックル液自体は、ハム作りでも使ったことがあるので、抵抗はありませんし、そういう調理法があると聞けば、なるほどそういうものなのだな、と思えます。どこで下ごしらえをするか、という話でもあります。
ただ、そういう手法で出来上がった肉である、ということが明かされていないと、ちょっと気持ち悪く思ってしまう人も少なくないのかもしれません。
牛脂注入肉は原料となる肉にどんな肉を使うか、ピックル液に何を加えるかで品質が大きく変わってくる。関係者に実態を聞くと、一部には質の悪い牛脂注入肉もあるのが現実のようだ。
きちんと、表示してもらう、ということが大事なのでしょうね。消費者庁でも「牛脂注入加工肉使用」と「インジェクション加工肉を使用したものです」と明記していれば、問題ないとしているそうです。
かたい赤身、「霜降り」に変身 牛脂注入肉、製造の現場という記事もありました。
牧草で育った外国産牛は肉質がかたい。牛脂注入でやわらかい肉を和牛より安く提供できる。「おいしい肉にする技術。自分の子どもにも食べさせている」と開発に携わる幹部は強調した。社長はイメージ悪化を心配する。「後ろめたいものは作っていない。誇りを持っている」
牛肉を安く美味しく食べられる、というのは、こうした技術によるところもあるのでしょうね。
ニセモノ食品の正体 (別冊宝島 1917 ノンフィクション) | ||||
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