麦芽100%になった「一番搾り」は“美味しい”立ち位置?

キリン「一番搾り」が麦芽100%のビールとしてリニューアルしたのはご存知でしょうか。実はけっこう前から飲んでいたのですが、判断しかねておりまして、なかなかブログに書けませんでした。

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結論:“美味しい”立ち位置のビールです。

日本のメジャーなビールというのは、麦芽とホップ以外にコーンやスターチや米が使われています。アサヒ「スーパードライ」しかり、リニューアルする前の「一番搾り」しかり、キリン「ラガー」しかり、です。

ドイツでは「水・麦芽・ホップのみを原料とする飲料物のみをビールとしてとりあつかう」という話もあるのですが、少なくとも日本で好まれてきたのは、そういうビールでした。

夏の暑いさなかに、仕事終わりにゴブリゴブリと飲むビール、最高ですね!

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しかしそもそもビールを飲む人が減っていると言われる中にあって、サントリーが「プレミアムモルツ」で“プレミアムの地平”を切り開くことに成功しました。

ちなみに、プレミアムビールの定義というのは特になく、メーカーが「これはプレミアムである」といえば、それがプレミアムビールになるのだそうです。

ただ基本、やっぱり麦とホップと水だけを使い、丁寧に作られているビールなのかな、という気がします。

ヱビスビール、ザ・プレミアム無濾過、そしてプレミアムモルツなどが、よく目にするプレミアムビールでしょうか(その他はコチラで)。

個人的にはスーパードライも好きだし、プレミアムモルツも好きです。同じビールだけどTPOというか、状況によって飲む種類を使い分けている、なんていう感じでしょうか。

言ってみれば違うビールな訳で、だからこそシーンに合わせた飲み分けなんてことも考えるのですが、だとすると「一番搾り」はどうなのよ? って話になるのです。

原材料が変わることで、ある意味では違うビールになってしまうのでは、ということが懸念されるのではないかと思うのですね。長年のファンもいる訳じゃないですか。そういう人たちがどう思うのか、とか。

そんな風な勝手な心配をしながら口にした「一番搾り」だったのですが、初めて飲んだ時は「よく分からない」というのが正直ところでした。

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なんだかですねぇ、丸くなっちゃったなというか、特徴がなくなっちゃったなというか、前の「一番搾り」が懐かしく感じられてしまうというか。

これどうやって表現すべきなんだろう? という思いが頭をかすめたまま、さらに数週間。食事をしながらふと思ったのは「あ、これ食事を邪魔しない」ということでした。

これまでのビールだと、汗をかいたあとに飲むと美味しいとか、のどごしを楽しむ感じってありますよね。ゴブリゴブリ。

プレミアムビールは食事にもぴったりですが、ビール自体を味わうというところがけっこうある気がします。こだわりのビールですから。

実は「“美味しい”立ち位置」と表現したのはそこのところで、ビールとしても美味しいんだけど、そんなに主張しない、だから食事時に飲んでも美味しく飲めるという、非常にあいまいに見えつつナイスなポジションにいるんじゃないかと気づきました。

以前の「一番搾り」のイメージを持っていると、雑味のようなものがなくなってスッキリしていると感じます。むしろスッキリし過ぎているのでは、と感じたのですが、それが食事と合うわけです。

これまでのビールとプレミアムビール、両極端なところのど真ん中にあえてキリンが放ってきたのが「一番搾り」なのかもしれません。値段もほら「プレミアム」を冠していないので、プレミアムビールよりは安かったりする訳ですよ。

たかがビール、されどビール。立ってもビール、座ってもビール。夏に向けて、また楽しみが増えました。