ただいま48歳。子どもたちも大きくなりました。いい加減にいい歳になりましたが、若いころと比べて変わったのは、味覚とか、涙もろくなったとか、まあいろいろとあるわけなんですが、1つ最近になって明確に自覚したのが「刺激に弱くなった」ということです。
※秋田書店より提供いただきました。
歳は誰しも取るものだから
刺激に弱くなったってね、別に激辛が食べられなくなったとか、そういう話ではないんです。むしろ、激辛には強くなっているかもしれない。
そうでなくて、心の刺激に弱くなったんです。簡単にいえば、ハラハラドキドキするような、ジェットコースターのような話の展開に心が追いつかなくなってきているな、と感じるんです。
ハッピーエンドならまだ良いのですが、バッドエンドはかなり辛い。心をチクチクされるような話の展開も辛い。子供の泣き顔が出てくるようなのはさらにきつい。もうダメ、心が追いつきません。
だから、病気で人生が少しうまくいかなくなったんだけど、周りの人と良い繋がりを持てて、美味しいものを食べて、ホッとする時間を持って、いい笑顔で笑っている主人公の出てくる「しあわせは食べて寝て待て」のような作品を読むと、心底ホッとします。
主人公は、免疫系の病気を持っている麦巻さとこさん。
週4回のパート暮らし。お医者さんから「婚活でも」と勧められたけれど、さとこが決めたのは家賃の安い団地への引っ越し!面倒見の良すぎる大家・鈴さんとその息子・司との交流や、団地ののどかな時間に心身ともに癒やされて…。
病気になって、自分の思うように生きられなくなるというのは他人事ではありません。今日は健康だけれど、明日も健康である保証はありません。それでも人は生きていかなくてはならない。人生は続いていく‥‥。
92歳の大家さん・鈴さんは昔ながらのおせっかい‥‥ではなく、心配りのできる人。つかず離れずの良い距離感のお隣さんとして、麦巻さんに色々な話をしてくれます。
こういう昭和な近所付き合いって、今ではとんと珍しいものではあるかもしれませんが、きっとあるところにはあって、麦巻さんや鈴さんみたいな人たちが和気あいあいと暮らしているんじゃないかな〜、なんてことも想像させてくれます。
「しあわせは食べて寝て待て」のテーマの1つが薬膳です。漫画家の水凪トリさん(水薙鳥が由来でしょうか‥‥?)が、実際に自身で体験して興味を持ったという薬膳料理の話も散りばめられています。
水凪トリさんの描く線はとても優しくて、料理も美味しそうに見えるんだなぁ、これが。
大家さんの家にいる司くんとの今後の関係も気になるところですが、個人的には1巻の段階でほっこりしまくりさせて頂いています。これは続きが楽しみです。ゆっくりと。普通の日常っていいものですよね。
気の早い話かもしれませんが、これは映像化もされるべき作品のような気がしています。アニメも良いし、実写も良さそうだし。