吾妻ひでお「失踪日記」

失踪日記

全部実話です(笑)

突然の失踪から自殺未遂・路上生活・肉体労働、アルコール中毒・強制入院まで。
波乱万丈の日々を綴った、今だから笑える赤裸々なノンフィクション!
カバー裏にシークレットおまけインタビューが掲載されています。

失踪日記

「全部実話です(笑)」と帯に書かれていて、しかもタッチがギャグマンガなので、読んでいて深刻さは感じないのですが、かなりシュールな作品なのではないでしょうか。かなり簡単に疾走して、かなり簡単にアル中になっちゃうんですね。事態はもっと深刻なんでしょうけど。

沢木耕太郎の、なんだったかな、タイトルは忘れちゃいましたけど、ホームレスが集めた鉄を買い取る店のルポルタージュを読んだことがあるので、なんとなくそういう生活は知っているつもりではいたのですが、視点が180度真逆の、元ホームレスが描く物語ですから、そういう意味では全て未体験で、天ぷら油を飲んだり、様々な酒を一つのビンに集めてブレンドして飲んでいたり、ショッキングでもあります。

途中、きちんとガス会社に就職して、研修受けたり、社内報にマンガを投稿したりしているんですね。自分にはこうしたバイタリティーはないな、なんて自分と比べて読んでしまいました。最後は捜索届けが出ていて、家に連れ戻されるのですが。

そして、アル中編もショッキングでした。幻覚が見えるとか、どうしてそうなるのか、どういう風に見えるのか、もちろん体験したことがないので分からなかったんですけど、そういうシーンも描かれています。いつの間にか、どうしてそうなるのか分からないところが依存症の怖いところだそうです。そして、アル中は精神病である、と。

話は入院途中で終わるのですが、是非続編も読みたいところです。