芥川賞→楊逸「時が滲む朝」直木賞→井上荒野「切羽へ」

芥川賞に中国人女性の楊逸さんという記事より。

第139回芥川、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は来日21年の中国人女性、楊逸(ヤンイー)さん(44)が日本語で書いた「時が滲(にじ)む朝」(文学界6月号)に、直木賞は作家の故井上光晴さんの長女、井上荒野さん(47)の「切羽(きりは)へ」(新潮社)に決まった。

第139回芥川賞に楊逸「時が滲む朝」そして直木賞に井上荒野「切羽へ」が決まりました。

芥川賞を受賞した楊逸(ヤンイー)さんは中国人で、中国人作家の受賞は初ということです。また在日韓国・朝鮮人の受賞者はいましたが、日本語を母語としない作家の受賞も初めてです。

受賞会見に紺のワンピースと白のハイヒール姿で現れた楊さんは「1人の外国人として、日本で小説を書いて、こういう形で評価していただき、感激しています」と丁寧な日本語でゆっくり、にこやかに話した。

1987年の来日後に日本語を学んだそうですから、23歳の時ですね。そして日本で文学賞を受賞してしまうのですから、驚きです。

井上荒野さんの「切羽へ」は「静かな島で夫と暮らす女性教師を主人公にした恋愛小説」だそうです。

時が滲む朝

時が滲む朝

切羽へ

切羽へ

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日本語での第2作の今作品に関しては「他の作品より圧倒的な筆量のある作品。作者の国籍や母国語は全く問題にならなかった」と最終的に残った2作品のうち、8人の選考委員中5人が票を投じた。

直木賞は井上光晴さんの長女・荒野さん

「受話器を耳に仲間にVサインをしたら、相手の声が聞こえなくなるくらい歓声が上がった。まず夫と抱き合うことを決めていてガバッと。その後は次々に(仲間と)ガバガバと抱き合いました」

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楊さんは中国黒竜江省ハルビン市生まれ。大学4年生だった1987年に来日し、皿洗いなどで日本語学校の学費を工面した。捨てられていた歌手の松田聖子さんのテープを拾って、日本語の勉強に使ったこともある。日本人と結婚したが数年前に離婚。今は中国語講師をしながら子供2人を育てている。

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受賞の知らせは午後7時すぎ、自宅で出版社の担当者と夕食を食べているときに携帯電話に入った。「自分の日本語に自信を持てなかったから、今回は受賞はないかなと思っていました。電話がかかってきた時は緊張して、何を伝えられたかすっかり忘れてしまった」と振り返った。

芥川賞に楊逸さん「時が滲む朝」、直木賞に井上荒野さん「切羽へ」

井上さんは東京都生まれ。女性の繊細な心理描写に定評がある。受賞作は、静かな島で夫と暮らす女性教師を主人公にした恋愛小説。井上さんは受賞会見で「自分は根性なしの人間だが、小説を書くのをやめなくて良かった」と喜んだ。