天皇杯を挟み、代表に招集されていた細貝、スピラノビッチ、サヌらが戻り、さらにはけが人が多く若手が多く先発したアウェイFC東京戦でしたが、上り調子から見事に1-0で勝利を収めることができました。
勝利のための布石、雰囲気、流れは出来上がっていたといっても良いでしょう。後は確実にそれをたぐり寄せる‥‥という試合だったように思います。FC東京の調子がよくないとはいえ、確実に勝ち点3を手にすることができたというのが重要ですね。
2010Jリーグ・ディビジョン1 第22節
FC東京vs浦和レッズ
2010年9月12日(日)19:04キックオフ・味の素スタジアム
試合結果
FC東京0-1(前半0-0)浦和レッズ
得点者:66分ポンテ(PK)
入場者数:29,959人
先発のFWには原口、高橋峻希が、ボランチには柏木と細貝が。けが人が続出して厳しいチーム状況ではあるのですが、若手がきっちり育っているのが分かります。
前線から豊富な運動量でチェックする高橋。原口は、何かが吹っ切れたのでしょうか。いい仕掛けを繰り返し、見事にPKを得ました。そして、それを落ち着いて決めるロビー。
柏木と細貝も、惜しみない運動量でチームを支えます。攻撃に顔を出す柏木と、守備でバランスを取る細貝のコンビもたまりませんね。
柏木は攻撃的なポジションが本来だと思いますが、若手がフィットしてくれば、試合中はさらに流動的になっていくと思われるので、細貝とのコンビも面白いかもしれません。
ベテランの山田暢久も途中交代こそしましたが、DFラインのパス回しでは存在感をみせます。ロビーもここぞというところでは、やはり頼りになります。
フィンケ監督は次のようにコメントしています。
なぜなら、忘れてはいけないのは、今から1年半前に、私は、ここに所属している選手たちで『新しいチームを作り上げてほしい』という話を受けてここにきたからです。当時の私が引き継いだチームはもう一つのヤマを超えていました。それによって新しいチームを作らなくてはいけなかった。ただし、金銭的な事情もあって 、『私たちのクラブが今後、支払うことができる選手たちだけで優れた新しいチームを作り上げてほしい』ということが、私に頼まれたことだったのです。
フィンケ監督の好みによるところも少なくないのだと思いますが、恐らくスーパーな選手を一人だけ連れてきてもダメだと思っているのでしょうね。それではチームの底上げにならない、と。
お金があれば大量に良い選手を連れてくれば良い、しかし、そこまでお金がなければどうしたら良いか? となった時に、いろいろと批判がある中で、辛抱強く若手を育ててきた訳です。
常々、フィンケ監督は世代交代には3年かかるという話をしますが、1年半を経て、ようやく土台が固まり、新芽が出てきたといって良い状況になってきたのではないでしょうか。
ここに、山田直輝や梅崎司、セル、宇賀神が加わり、そして鈴木啓太や田中達也も戻ってくる訳です。ワクワクしない訳にはいきませんよ!?
短期的な補強を繰り返し、チームが瓦解するのを、ぼくは見ました。そうではない、浦和レッズらしいサッカーを、選手が入れ替わっても変わらないサッカーを、ということでフィンケ監督がやってきた。
例えば、鹿島戦を思い出してみてください。本当ならば、私たちが勝利を収めてもおかしくない、十分なパフォーマンスを見せていたにもかかわらず、最終的には追いつかれてしまいました。こういうきわどい状況で、しかも試合終了間際になって大切なのは、選手たちがピッチの上でしっかりお互いコーチングをすること、お互い助け合うこと、最後の最後まですべての選手が走りきること、リーダーシップを持った選手が出てくること、そして、彼らが他の選手を引っ張ることなのです。
FC東京戦では、ここを乗り越えることができました。少しずつかもしれませんが、体感できない人もいるかもしれませんが、しかし浦和レッズは着実な成長を遂げています。
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待望の先制点は65分。ペナルティーエリア内でエジミウソンのパスを受けた原口が倒され、PKをゲット。これを、レッズが誇るPK職人、ポンテが難なく左隅に蹴り込み、1-0とした。
レッズは、56分に山田暢久が坪井慶介と、78分にエジミウソンが堀之内 聖と交代し、守備陣をリフレッシュ。また、79分に原口が今シーズンリーグ戦初出場の高崎と交代して、退く際にはスタンドからねぎらいの拍手が起きた。
20歳の高橋も負けていない。サイドバックでの出場が多い中、FWの位置で今季初のフル出場を果たした。サイドから中へ切り込む動きで攻撃の起点となった。高橋は「鹿島戦はロスタイムにやられたから絶対守る気持ちだった」と話せば、原口も「若い選手でも勝てることが証明できた」と言い切った。
浦和FW原口元気(19)がチャンスをしっかりものにした。田中、エスクデロといったFWにけが人が続出するなか、8月28日鹿島戦に続く先発出場。ドリブルで持ち上がり、相手守備を切り崩した。後半21分にはペナルティーエリア内で倒されPKを獲得。PKを決めたFWポンテから指をさされ祝福された。
浦和は各国A代表に招集されていたMF細貝、DFスピラノビッチ、サヌがそろって先発した。前半21分にMF柏木がこぼれ球をペナルティーエリア内でシュートに持ち込むも相手に阻まれた。29分には左からのクロスをサヌがノーマークでヘディングも枠をとらえない。守っても東京のカウンターに冷静に対処。前半は両チーム無得点で折り返した。
後半23分にドリブル突破から右足でシュートを放つなど果敢にゴールに迫った。ベンチスタートが続いた時期はプレーに迷いが生じていたが「何回かイメージ通りのプレーができた」と調子は上向き。
ピンチでチャンスを得たのが原口だ。前節・鹿島戦に続いて今季2度目の先発。幼少時から「怪物」の名をほしいままにしてきた19歳にとって、今季のようにベンチ要員に甘んじるのは初めての体験だった。戦況を見ながらの試合中のアップのコツも、「もうつかみました。つかみたくはないんだけど」と慣れた。「試合に出ている人より体を動かさないと」と休日返上でクラブハウスに通い続けた。
フィンケ監督は「細貝、原口ら若い選手はこのチームの柱になって、長年活躍するだろう」と笑みをのぞかせた。