「庄や」と聞くと、昭和を懐かしく思い出す人も、アラフィフ世代には少なくないはず。かく言うぼくも、リーズナブルに飲める居酒屋として「庄や」にはお世話になりました。
あちこちに店舗があって便利な一方で、どうも居酒屋チェーンに染み付いてしまった古い昭和のイメージ。青春時代を過ごした大衆居酒屋は、時を経て今では奮わなくなった‥‥と感じる人もいるでしょう。でも、年を経たのは、ぼくらも同じなんですよね。
ぼくらだって“オワコン”と言われたくないように、居酒屋チェーンだって“オワコン”じゃない! まだまだ頑張ろうぜ!
ってことで、大手居酒屋チェーンの「庄や」が、コロナ禍を経て変わろうとしています。8年ぶりに新しい場所にオープンした「庄や 田町店」のオープニングレセプションにご招待頂き、昭和から変わらぬ板前さん直々の美味しい料理を味わってきました。
※オープニングレセプションに招待して頂きました。
なぜ「庄や」の売りが料理なのか
田町には行ったことがあるけれど、この路地裏を訪れたのは初めてでした。大通りから、1本かな、2本かな、裏手にあります。小さな店が軒を連ねる細い通りは、はしご酒したくなる雰囲気に満ちています。
1軒目は「庄や」にしましょうや。
あまり知られていないかもしれませんが「庄や」には板前さんがいます。各店舗にいるのです。電子レンジでチンして終わりではないのです。それぞれの店舗で、板前さんが腕をふるっているのです。
それぞれの店舗に板前さんがいるから、チェーン店でありながら「庄や」にはセントラルキッチンがありません。どこかでまとめて料理を作り、それを配送するのがコスト的にも効率的にも間違いなく良いはず。しかし「庄や」は板前さんの料理にこだわるのです。
「庄や 田町店」の料理長の斉藤さんは新入社員として入社し、28年間の長きに渡り、腕を磨き続けてきたそうです。それまでは料理をやったことがなかったそうですが、もはや一流の料理人です。そんな腕利きの板前さんが「庄や」にはいます。どこの店舗にも。
「庄や」がチェーン店であるメリットは、恐らく仕入れにあるのだと思います。食材は種類ごとに全て検査し、良いものを提供しようと努めています。鮮魚に関しても良いものを仕入れようとしているため、日によって届く魚は違うそうです。それこそ板前さんの腕の見せ所です。
オープニングレセプションには、能登から大きな鰤が届いていました。目の前で斉藤さんが逐一部位などを説明しながら、解体ショーをしてくださいました。
多くの人の注目を集めながらの、鮮やかな包丁さばき。あっという間に解体され、出てきたのがこちら。
鰤のお寿司です! 脂乗りの良い美しい鰤が、テラテラと輝いています。この日、一番美味しかった料理かもしれません。これだけ10貫でも20貫でも食べられそうな美味しさでした。
つまり「庄や」には板前さんがおり、店ごとに美味しい料理が提供されているのです。カウンター席に通えば、板前さんが味の好みを覚えてくれたりするかもしれませんね。まさに「庄や」は、チェーン店の皮を被った個人店のような趣なのです。
ちなみに「庄や」に板前さんがいる証は、メニューにもあります。
なんと、食材の持ち込みができます。釣った魚や季節の野菜などを持ち込むと、板前が500円目安で調理してくれるのだそう。500円て安くないですか!?
実際に自分で釣った魚を持ち込む人がいたことから、生まれたサービスだそうで、これは確かに板前さんがいないと成り立ちません。いつか持ち込んでみたい、釣りたての鮮魚。
「庄や」の若返る店内
せっかくなので「庄や 田町店」の店内もご覧になっていってください。
落ち着いた雰囲気の店内です。「あれ? 思っていたのとちょっと違う?」と思いませんでしたか?
昔、通っていた「庄や」のイメージというと、民芸品とか水車小屋のようなイメージだったのですが、昭和レトロというか、ネオ大衆酒場のような雰囲気のデザインになっているではありませんか!
しかも、ただ新しいだけではありません。これはまさに温故知新です。懐かしい「庄や」のイメージを保ちつつ、それでいてフレッシュな若々しさも感じます。店内を見回し、自分の中の「庄や」のイメージがガラリと変わるのを感じました。
カウンター席で一杯。浦和駅チカの「庄や」は閉店してしまったのですが、また出店して欲しいなぁ! 実は浦和は個人店が多い土地柄なので、まさに「庄や」向きなのではないでしょうか。
壁に描かれたイラストは、昔ながらの「庄や」のイメージですね。
なお、この新しいデザインにリニューアルした「庄や」の見分け方は、看板が白くなっていることで分かります。社内では、通称「白庄や」と呼ばれているそう。
あくまでも店内がリニューアルしているだけで、料理などは同じなのですが、どうせなら新しい「庄や」を体験してみたいという人は、ぜひ「白庄や」を探してみてください。
板前料理を食べたり飲んだり
オープニングレセプションで食べた板前料理を紹介します。
生ビールは「マルエフ」が選べます。お通しは、大きな「白子ポン酢」です。クリーミーで美味しいのなんの!
「白子ポン酢」をひと目見た瞬間に「いきなり豪速球がきた」と言った奥野さんは、慌てて日本酒を注文しました。ハウスブランド「庄や」の大徳利は一合六勺で650円です。美味しい日本酒がリーズナブルなのは嬉しいです。
「庄や」の三大名物の1つ「煮込み」は350円。
「庄や」の三大名物の2つ目は焼鳥。お任せの塩。5本盛りで700円。
「庄や」の三大名物の3つ目は刺身盛りです。1人前1,200円の「沖盛り(八種盛り)」を2人前で。8種盛りの2人前は食べごたえもあります。
刺身はエッジ立ちまくりの鮮度です! アジとカツオが旨い!
低温調理された鶏レバーの「トロレバー刺し」は390円です。
ふぐの唐揚げは680円。
あんこうの唐揚げは680円。
ふぐとあんこうを食べ比べするなんて!
「本日のなめろう」は550円ですが、この日はスズキでした。なめろうというと青魚のイメージでしたが、まさかの白身です。ねっとりした食感のなめろうは初めて食べた気がします。これぞ板前の工夫ですね。日本酒が進みました!
茹でたて豚しゃぶサラダは680円。野菜を食べたい人にオススメです。
チューハイは350円ロープライス。
スタミナ鉄板焼は580円で、町中華ぽくてグッド。和洋中を取り込む、大衆酒場ぽいメニューですね。
日本酒は一合を頼むと枡に入れたグラスに注がれるのですが、これが並々ならぬ波々なのです。グラスも枡も表面張力です。ほぼ大徳利の一合六勺と同じなので、お得だと思います。
少しでも動かせばこぼれるので、口から迎えに行かねばなるまい!
日本酒の品揃えが良いのも「庄や」らしさだと思います。もし飲むのに迷ったら、店員さんに質問すると詳しい方がアドバイスしてくれると思います。
だし巻玉子は、出汁がきいたものと砂糖がきいた甘いものを食べさせてもらったのですが、甘い玉子焼きの懐かしいこと! 子供の頃を思い出してしまいました。この甘い玉子焼きは行ったら絶対に食べたいメニューです。
こんな“わがままメニュー”が通用するのも、板前さんがいるからこそ、ですね。
最近はチューハイばかりだったのですが「庄や」の肴を食べていたら、無性に日本酒が飲みたくなってしまい、久しぶりに色々な日本酒を飲んだ夜となりました。
アスパラの火の通り具合が絶妙だった「アスパラ肉巻フライ」は680円です。
玉ねぎの食感が強く残った「ポテトサラダ」は一同絶賛。290円です。これもまた日本酒でした。
奥野さんが日本酒メニューの端っこにあった、高清水の生貯蔵酒を発見。300mlで850円。かなりお客さんにとってお得な値段設定になっているそうで、お得なの見つけちゃったねと盛り上がりました。
「庄や」では誕生日の人向けのサービスがあるそうで、田町店では“寿司ケーキ”が出てきました。季節や店によって内容は違うそうですが、それぞれの店の特徴が出るメニューだと思います。誕生日は、ぜひ「庄や」へ。
この“寿司ケーキ”が美味しかった〜〜〜!!!
つまみ寿司の「あて巻き三種盛り」は780円。巻きずしを肴に日本酒を飲むの、最高ッス。
いい感じに酔っ払ってきた奥野さんが注文した「あおさ味噌汁」は200円。気持ち的に〆に近づいてきたようです。しかし、大きい味噌汁だなぁ。
海鮮たっぷりの「長崎皿うどん」は750円です。
屋台のソース味「焼きそば」は680円。焼きそばも皿うどんも、町の居酒屋の〆という感じで、とても良いです。
デザートには「白玉信玄アイス」で350円。
「庄や」の板前さんに会いに行こう
「庄や 田町店」のオープニングレセプションに参加したレポートをお届けしました。記事を書きながら、自分も再訪したくなってきました。斉藤料理長に、鰤刺し、鰤寿司をお願いしたいです。またあの鰤を食べたい!
こうして、会いたくなる人がいるというのが、板前さんのいる“顔”が見える居酒屋の魅力なのだと思います。
旅に出たり店に行ったりする理由は、突き詰めると人なのだろうな、と勝手に思っています。旅は人なり、食も人なり。
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「庄や 田町店」住所と地図
>>庄や 田町店 – 三田/居酒屋/ネット予約可 | 食べログ
住所:東京都港区芝5-23-11 田町ビル 1F