2009年8月10日に埼玉会館で開催された、浦和レッズ主催のトークイベント「Talk on Together 2009」のレポートをお届けします。
今回は初めてTwitterを利用したテキスト中継ツール「スポルタァァァ!」を利用し、ほぼリアルタイムに更新した内容をまとめました。
■第一部
橋本社長が登場。こんばんは。本日は天候が不安定な中をありがとうございます。最初にクラブ、チームの現況を報告し、経営の基本スタンスを話す。
清水エスパルスのホームゲーム。残念ながら敗戦したが、この試合でスタジアムにかけつけたファン、サポーターのPOUのロングコールは、改めてクラブの位置付けとサポーターの思いを認識し、責任を痛感した。
試合中、用意されたシートに座ることができず、2時間、立ってピッチを見つめた。
改めてレッズを支える人たちのパワーを感じている。スタジアムの声援は、クラブに対するサポートでもあり、私自身の背中を押してくれる暖かい激励と受け止めている。4月の就任会見で、より地域に目指すという方向性を間違っていないことを確認した3ヶ月となった。
世界に浦和を発信できるよう、微力ながら役立ちたい。引き続きよろしくお願いします。みなさまからのサポート、激励を受けながら、新聞報道やウェブを通じて届けられるメッセージの中で、みなさまにご心配をおかけしていることを深くお詫びします。
チームの現況。マネジメント体制を変更し、信藤TD、フィンケ監督を迎えた新しいシーズンとして位置づけてスタートした。ピッチでの変化は感じ取って頂いているはず。レッズスタイルの構築は一朝一夕ではできず、勝敗に関わらずサポーターには暖かく見守って欲しいと申し上げた。
今年度は数値ノルマをかしていないのが実状。もちろん勝ちにはこだわる。可能性があれば一つでも上を目指す。優勝を目指して随一のクラブになる目標は変更していない。もっとも重要なことは、直近の試合結果で軸がぶれることがあってはならないと考えている。
繰り返しになるが、強くて魅力のあるチーム作りを続ける。社長、監督、TDで協議する場をもうけている。言葉の問題、メディア対応で試行錯誤しているが、試行錯誤して今後もコミュニケーションをとり、チームをサポートしていく覚悟である。
アレックスの移籍に付いても三者で協議した。本人の希望だけでなく、本人にとってよりベターになるよう信藤TDが交渉、最終的には三者で協議して決定した。寂しい部分があるが、本人の希望がかなったと期待している。
クラブ全体の経営状況は経済環境の悪化で厳しくなっている。収入は昨年に比べて若干減少する見通し。収支面では前年並を目指している。さらなる収入の増大と費用の抑制に取り組んでいる。
とはいえ、チーム強化費は前年並を確保している。ヨーロッパ代表並の選手の獲得は難しいが、レッズスタイルの構築に必要な、戦力アップにふさわしい選手の獲得はTD中心に継続している。
入場者数。8/2終了時点で44,652人。昨年の同時期では、48,809人。マスコミは1試合平均5,000人減としている。入場者の減少についてはさまざまな要因が考えられるが、強くて魅力あるチーム作りとレッズワンダーランドの構築が必要と考えている。
トップに関して。トップとユース、ジュニアユースとの連携を強化するためにTDのもとにおいた。スカウト部分も。TDの役割を明確に。地域での取り組みを推進するために、ホームタウン推進部門を新設。レッズランドなどを集約。浦和レッズが地域に根ざすために中軸となる業務。
経営基盤の強化。特にマネジメント機能強化が必要と考え、営業部門を分割。1部はパートナーとの付き合いを強化する部門。マーチャンダイジング、グッズ担当が2部。
トラブルに関して報告。埼玉スタジアムでのテレビクルーとサポーターとの暴力事件、アウェイでのサポーターの横断幕で広告看板をおおう事件。いかなる場合でもスタジアムのルールを破ることや暴力は許されないことを再確認したい。
テレビクルーとサポーターの事件に関してはサポーターの大切な旗が破れたことが発端だが、開催者として不十分な点もあったので責任を感じている。改めて関係各位にお詫びを。事件は警察で捜査中のため、詳細は把握できていない。再発防止のアクションはとっている。
7月に相手サポーター還元とでたことについてウェブで説明した。山形戦のホスピタリティは地域の特長を存分に示していたが、それぞれの状況が異なり、浦和レッズに適用できるとは考えていない。Jリーグの最大の特徴はホームタウンせいである。
ホーム/アウェイでサポータを育ててきたと認識しており、スタジアムはレッズワンダーランドを徹底的に追い求めるし、それが強みだと考えている。真っ赤になって選手と戦うことで実現し、そこで勝利への執念が芽生えると思う。浦和美園の周辺を赤くそめてきたのもワンダーランドの一部だと思う。
公平な安全の提供という意味で、相手サポーターへのもてなしは必要であると考えている。ホスピタリティの向上が入場者数の増大を考えている、というのが発言の真意である。
サッカーが未経験でプロスポーツの経験もなく、長年メーカーで育った私に対して、浦和レッズの将来に対して不安視をするという声も聞いている。3ヶ月だけだが、浦和レッズの大きさを実感した。みなさんの声を真摯に聞き、浦和レッズの発展につくしたいのが素直な気持ち。
来年までにはポストAAAプランを策定し、再びアジアナンバーワンを目指す。残された期間で、チームはレッズスタイルをどん欲に、勝利を目指した戦いに結びつけること、地元に軸足をおいて安定した基盤をつくることを目指す。ぜひ一緒に強い浦和レッズを作ることにご協力ください。
■第2部
清尾:こんばんは。MDPを作っている清尾を申します。よろしくお願いします。
信藤TD:みなさんこんばんは。いつも熱い応援をありがとうございます。時間がどのくらいあるか分からないが、将来も含めて話したい。
清尾:みなさんが聞きたいだろうというところをまとめてみた。フィンケ監督も決して話が短いわけではないので、なるべくまとめていきたい(会場笑)
信藤TD:今年がどういう年なのか。ファンのみなさんにずっと勝ち続けて優勝争いをするのは臨まれている。しかし、何をしなければならないのか。礎を築くことを忘れてはならない。フィンケ監督がきて若い選手を投入した。ベテランの選手たちとうまく融合した。
開幕は悔しかったが、その後はみんなが必至にトライしてここまできた。立ち上がりからやってきたサッカー、選手の活躍、パフォーマンス、代表選手がいない時の若い選手たちの頑張りは十分に評価できる。
昨年と同じことをしていたら山田直輝は代表になっていないでしょう。原口元気もここまでになっていない。高橋も永田も。多くの若い選手たちがフィンケ監督のもとで実戦で力をたくわえることができた。補強はどうだ?と聞こえてくるのも事実。
シーズン前に監督と話した。ヨーロッパの一流の選手をとってくれるには、レッズの予算は桁が違う。現実をみたときにリストアップしたところで、今シーズンの最初は若い選手たちを利用しながら、いる選手のあるゆる面をかえていこう、と。
生活、トレーニング、回復、休息を含めて大幅にかわった。そしてここまできた。ぼくはここまでのことに対して全く不安はない。ある意味はなやかで、見ているものがみんな楽しんで、将来的に勝ち続けていくベースだと思っている。
清尾:必ずしも誰かとらないといけないというものではないと思うが。
信藤TD:ずーっと調査は続けているものです。予算などを考慮しながら。補強するということはタイミングを間違うと、今までいた選手を消すことにもなる。プラスもあればマイナスの材料もある。そうしたことを考えた時に、今は補強がないということでして、ずっとない訳でもない。
清尾:みなさんが聞きたいのは左SB。補強の予定はあるのか?
信藤TD:平川が帰ってきた。永田もいる。細貝というユーティリティーな選手もいる。そういう状況の中で左SBが薄いといわれる。必要なポジションだとは分かっているので、リストアップはしている。しかしどういう動きをしているかは話せません。
清尾:アレックスの移籍から急に探し出したと報道されたが?
信藤TD:メディアから聞かれたときにアレックスが名古屋に行くことが決まっているときに、ぼくが補強は必要ないといったらアレックスはどう思うでしょうか?記事が出ることで選手にどんな影響が及ぶか考えなくてはならない。
これからも契約の話などをメディアにすることはない。クラブとして将来についてどう考えているかはしっかりという。信藤TDと出ているのはぼくの発言として安心してほしい。
清尾:目標について橋本社長から明確な話があった。一つは数値ノルマはないというのは分かったが、優勝はしなくていい、今年はもう諦めた、ということではないですよね?
橋本:例えば監督や信籐TDの評価をするときに、順位で評価することはない。ただし勝敗のあるスポーツをしている訳だから選手たちが勝つために取り組んでいるのは事実。一戦一戦は必ず勝つことを目標にしていく。いい試合をすることがサポーターに感銘を与えるだろう。
清尾:監督も同じスタンスなのか?選手もそうなのか?
信藤TD:監督はもちろんその通り。ある意味、目の前のことに対して何かをやっていく、それによって将来的にどうなるかがはっきりしていないと、レッズのためにならないと考えている。一番の負けず嫌いは監督だ。一戦一戦、緻密に構築している。
こういうところで話したことが選手にも伝わっていけばいいと思う。普段のやっているところから汲み取ってもらうことができなければ選手に話もするが、日々のトレーニングの準備、回復があって、改めて今年は‥‥として納得させるものなのか。
普段から接している中で選手が感じていくかはデリケートなところである。必要なことはこれからもやっていこうと思う。
清尾:みなさんが「え?」と思うのは、お金がないことでは。代表は金庫があいているというが、いくらあるのか。そこそこ以上の選手がとれるのでは?
信藤TD:現場で何をやらなければいけないかというと、みなさん、これだけは覚えておいてください。必死に勝つことにはトライする。しかしそれだけではだめ。1年後、2年後を見据えて、何年後かいかいかもしれない。人が変わってもチームが変わっては行けない。
清尾:左SBは日替わりになっているが、十分鍛えることができれば無理に補強することはない?
信藤TD:見極め中。
清尾:お金の問題はともかく財政規模が大きい中で予算がないと言われると違和感を感じる人が少なくない。超一流選手といった枕詞無しにお金がないという言葉が一人歩きすると違和感がある。ということは知って欲しい。
橋本:監督のコメントも全文を流すようにした。読んでいる人には理解頂けているはず。特別な選手を獲得するための予算を持っていない、ということを監督は話していると思う。その認識は三者で統一してもっている。
清尾:レッズはマスコミに取り上げられる頻度が高いが昨今、特にスポーツ誌で事実と違うと監督が言うことが少なくない。そういう場合はクラブから言うべきではないか。
橋本:一概にフィンケ監督がA4で10枚程度の内容を記者会見でいった場合に、その一部を新聞報道される場合に、これは嘘を書いている訳でもないだろう。そういう角度からものごとを捉えているのだろう。一概にマスコミに出たものにクラブ反論すべきかどうか。
ただし、レッズの広報部門の機能強化は必須のアイテムと判断しているのも事実。監督コメントに対して、レッズの追加コメントをのせることも必要だろう。5月の時点でなんとかサポートできないかということで、広報メンバーを増強した。
8/1の組織改正の中でも広報担当のメンバーを増やしている。今後、そういった部分についてクラブとしてしっかり取り組んでいく。記者とコミュニケーションとることをスタートしていく、と私は思っている。一方的に新聞記事を批判するスタンスではない。
信藤TD:今のフィンケ監督が日常で行なっているあらゆる手法において、このチームが大きくなる確信はもっている。慌てさせられるという状況は生まれる。中で信じて戦えるようにするのがわれわれの仕事。メディアにきちんと話すのは重要。メリハリをつけて。
できることなら前面にたってやりたい。批判もなにももってきてもらいたい。そうでないと、クラブの発信が遅れると誤解も生まれる。どんどん話していきたい。
清尾:監督の膨大なコメントに加えてさらに増えるだろうが、できれば読みやすくして欲しい(会場拍手)。これだけは聞いて欲しいとサポーターから言われたこと。クラブは今後もフィンケ監督の路線を支え続けると判断していいのですね?
橋本:けっこうです(力強く)(会場拍手)
清尾:今日の記事は訂正無しで良いのか?(日刊スポーツ)
橋本:けっこうです!
信藤TD:今の時期連敗しています。この時期こそがつぎに繋がると確信している。確かに埼玉スタジアムで負けた辛さは分かる。しかし今を乗り越えていくことが、若い選手も多い現在大事なこと。実際にチームは変わっている。若手起用だけでない。
日々の生活、習慣、トレーニングの目的意識などが変わってきている。目先のことだけでなく。もっと努力していくので、フィンケ監督のチーム作りをぶれないでサポートしていくので、どうぞ応援してほしい。
橋本:成果を是非一緒になって見て欲しい。よろしくお願いします。
■第3部
大住:神奈川県横須賀出身で東京に住んでいるよそ者ですが、いじめないでください(笑)この頃、埼玉スタジアムで試合を見ると点が取れずに負ける繰り返しでやきもきしている。ある背番号4の選手とフィンケ監督の場外乱闘が始まったというのが追い打ちをかける。
酒井法子よりも気になっているので、まず最初に4との喧嘩しない方がいいですよ、あぶないですから、ということについてまずお聞きしたい。
フィンケ監督:コンバンハー。いくつかのスポーツ新聞で闘莉王と衝突することを願ったような書き方をしているが、そういう事実はない。
もちろん闘莉王は優れて大切な選手である。同時に意見を言うことができる選手。一人の選手でありながらクラブでおこっていることに意見をもっている。監督として選手と意見交換できるのは大切。彼らと建設的に話ができる選手が数人いる。
しかし現時点では闘莉王のことが大きく取り上げられたが、衝突していることは一切ない。今後もこのようなことは積極的に行なわれていく。
さまざまな意見を隠さずに質問できる、話ができることは大切。選手たちが疑問をもってきいてくる。選手としては大切なこと。全てにうなづく選手よりも仕事がやりやすいのでは? ですのでみなさん心配しないでください。浦和レッズが成功するために毎日努力しています。
大住:安心しました(会場拍手)闘莉王と何かあったら自分でせずにモラスさんを差し出してください。
今年のサッカーは見ていて楽しいが、反面、まだ途中なのかな、と思う。現在、どの程度の段階にきているのか?手応えは?
フィンケ監督:もちろかここ数試合の結果は私にとっても痛かった。そして非常に興味深かったのは、選手たちがどのような反応を示すか、だった。結果は残念だが、得点チャンスは作り出すことができていた。しかし決定力不足という問題に悩まされている。
みなさんも前回の清水エスパルスをスタジアムで観戦したと思うが、みなさんも前半0-0の状況の時に押していたときにエジミウソンに決定的なチャンスが訪れたのを覚えているでしょう。原口から質の良いパスがきたが決められなかった。披露が影響しているのでは。
6週間前のエジミウソンであれば、相手のゴールキーパーに右あるいは左、どちらに流し込んで欲しいか確認してからボールを流し込むことができたでしょう。
個人的な意見かもしれませんが、エジミウソンは去年よりも格段によいプレイをしていると思う。しかしここ数試合、疲労が貯まって全体的なプレイの質が落ちているのは事実。ここで回復するために田中や梅崎を起用したかった。しかし使わざるを得なかった。
実際にプレイの精度が落ちている部分的に集中が書けていたのも事実。忘れていけないのは敗戦が続いたのは事実だが、内容は悪くなかった。清水戦ではオウンゴールや坪井に当たってコースが変わってゴールになった。不運なこともあった。
しかし敗戦は事実であり、みなさんと痛みを共有できたと思う。そして残念なことはとてもたくさんのケガ人が出た。ケガしていない選手がフルで出ないといけなかった。
しかしケガ人が増えてくるという状況は去年もあったのでは。去年からケガ人が出てきたというのは聞いていた。これは文化の違いでもあると思う。
どうしても日本は選手たちがケガをしながら無理に試合に出て、ケガをしながら試合に出場した選手が英雄になっている。しかし、こういう状況は悪化も招くのでよくない。
あくまでこれは一つの例だが、今日の練習では阿部がケガした。韓国から帰ってきた時点で筋肉ではりが出ていた。それによって今日は練習を途中でやめないといけなかった。阿部もケガを理由に練習を回避しない選手であるが、私たちがストップかけないといけない。
私たちのスタメン、去年から続いていることかもしれないが、どうしても年上の選手が多い。通常ならば7〜9年プロとして活動している。すると古傷を抱えている。それによると離脱、再発が何度も起きる可能性が高い。
もちろんスタメンが若ければそんなことないだうろが、キャリアを積んでいる選手がケガしやすいことは理解しないといけない。
今の質問に対して最後の文章になります(笑)2006年に優勝したメンバーが数人残っているが、それから3年たっている。選手たちもその分年を取っている。疲労やケガがある。身体に無理をしてきたのが、これらの選手では。
そのため若手を投入して活性化しているのが現在です。
大住:怖い人だな、と思った。ケガ人のことについてきこうと思ったら、目が合った瞬間にケガ人の話をしていた。日本語で考えているはずなのに読まれている(笑)練習が厳しいのがケガの原因になっている?
フィンケ監督:このクラブで仕事している限りはファンでもありたい。ファンとしても監督に聞くでしょう、なぜこんなにケガ人が出ているのか?(会場笑)
去年のシーズンが終わった時点でチームの詳細な分析をした。全ての試合をDVDで観戦した。その時に気づいたのが、スタメンのメンバーを見ていると27〜33歳の選手が多いことが気になった。
もちろん彼らは経験豊富で素晴らしいが、どうしても、22〜26歳の選手がいないことに気づいた。クラブの責任者にそのことを伝えた。3〜5年プロとして活動したことがある、古傷がない、サッカー選手としては調子の良い年齢である。
その年代がいないことは非常に大きな驚きだった。28-33歳の選手たちが非常に優れていることはよくある。今いる年上の選手をせめたい訳ではない。しかしそういう選手たちは古傷があったりする。するとケガもしやすい。定期的に仕事できなくなる状況になりやすい。
もちろん年上り選手はこうしたことは聞きたくないはず。しかしこれが事実である。もちろん素晴らしい実績や個性、能力、経験も持っている。しかし、彼らだけでは勝てないという現実を彼らも知っているはず。若い選手が必要だということ。
ただし、年上の選手だからといって不公平に扱った事実がないことはいいたい。年齢でスタメンを決めるようなことは一切おこなっていない。
実際に練習で年上の選手が年下の選手を怒鳴りつけることがある。ミスをしたときに集中しろと怒鳴ることは建設的である。しかし場合によっていじめになってしまうことがある。
そのようなことがあれば、自分から選手に声をかけて、年下の選手の力を必要としていることを伝える。君たちの分も走ってくれる選手が必要だと伝える。年下の選手にも、年上の選手がいないと存在できないことを伝える。
これが一つの事実であり、監督の大切な仕事は年上の選手と年下選手をミックスすることではないでしょうか。
先ほどの練習が厳しいという質問ですが、私も浦和レッズのサポーターとして監督にぜひ聞きたいと思っていました(笑)
今年最初の体力測定が私の印象を裏付けました。もちろん選手を守らないといけないのでデータは一切発表しない。しかしあのような体力測定の結果があったからこそ、準備期間の練習を早く始めた。通常なら走ることがない距離を走った。
土台となる持久力を徹底的に鍛えなければならなかった。喜ばしいこととして、先週の体力測定の結果が全体的に改善されていた。土台ができあがってる感触を得ている。全ての数字が若干、良くなっている。
2回目の体力測定は希望を与えてくれた。あの結果が出たので、大きなグループを変える必要がないことが分かった。今いる選手たちを改善していきます。
大住:偉大なチームは練習から生まれるのですね?
フィンケ監督:私の満足度ですが、ここ3試合の結果がなければ満足度は高かった。しかしあの結果があったので、正直ところ満足できない私がいる。しかし諦めないことが重要。いま数試合負けたからといって選手が不安になることをやってはいけない。
選手たちがこの道が正しいと考え始めるとよくない。10年前に行なわれていたことを今になってやるのは間違った解決方法だと思う。
大住:10年前というと?
フィンケ監督:今日のイベントは公で行なわれているので、非常に高い確率で新聞社の人がいる。残念ながら全ての記者が友だちになったわけではない。日本でも既に友だちでない記者が何人かいる(会場拍手)。
一度も記者を傷つけたことはないし、日本語が話せないので傷つけることもできない。しかし、このクラブで仕事した前任者を傷つけることはない。
今日の練習に備えて2008年11月8日の試合を観戦した。この試合と見比べると改善されている。私が考えているサッカーができている。しかしそれは私の考えであって、前任者を否定するものではない。
私はいまこのチームが正しい道を進んでいると思う。決定力不足も改善され結果もついてくるのではないでしょうか。新しい時代を作り上げる期間は痛みを伴うもの。しかしこれらの経験でチーム力が改善され、素晴らしい時代を作りあげられるのでは。
このチームに所属している選手の中でもコアな選手たちは新しい道を応援している。新しい選手を入れなくてはならないことも彼らは理解している。浦和レッズの成功を理解している。将来的には再び素晴らしい浦和レッズを見ることができるだろう。
しかし今話したことは、去年の終わりにクラブの責任者にもはっきりと伝えた。彼らがいってきたのは改革の年だ、だからぜひきて欲しいと言われた。その時は彼らは優勝しなくても敗北者と言われないでしょう、といった。土台作りを期待している、と。
監督として契約書にサインする前に、全ての試合を観戦して分析した結果を当時の責任者に伝えた。年齢の件、多くの選手がハイライトを経験している、といったことを伝えた。それでも構いません、と。新しい時代を作らないといけない。
だからこそきてほしい。強い意志を感じた。だからサインした。お金をあげるから優勝して欲しいという話ではなかった。時間をあげるからクラブの基礎を築いて欲しいと言われた。
もし当時の責任者がお金をあげるから優勝を目指して欲しいと言われたら監督にはならなかったでしょう。日本を訪れたときに、情報わ得てドイツに帰国したのではないでしょうか。
もちろん私もできる限り優勝した。早い機会に優勝をもたらしたい。しかしそうするためにどうしても時間が必要です。忍耐が問われるのではないでしょうか。
大住:連敗した後もPOUでサポーターが選手に気持ちを伝えたのではないでしょうか。この辺で拍手を(笑)多くのサポーターがフィンケ監督を支持している。がまんするが、早くゴールに辿り着いて欲しい(会場拍手)
フィンケ監督:もちろん公の場でお約束することは気をつけなくては行けないのですけど(会場笑)さまざまなメディアを見ている限り、常勝軍団という印象を受ける、バイエルンミュンヘンのように。いろいろな人に質問した「常勝軍団なのですか?」
だれに聞いても答えは同じ。唯一、一回。浦和レッズが優勝したのは2006年、Jリーグができたのは1993年。最初の優勝は13年かかった。ここでみなさんにお約束するのは、2度目の優勝までに13年はかからない、と(会場拍手)。
大住:非常に力強い言葉をありがとうございます(笑)監督から直接メッセージがあれば?
フィンケ監督:間違った印象を生まれないためにもはっきりと説明したいことがある。実は数ヶ月感、ヨーロッパでプレイしていたレベルの高い選手と交渉していた。
この選手を獲得したかった。しもか若い選手だった。現在はモスクワでプレイしている。そして残念ながら獲得することはできなかった。彼がモスクワで稼いでいる基本給が、Jリーグを上回っていたから。
非常に厳しい現実かもしれないが、国際的なサッカー選手の市場を見極めなければならない。非常に完成された選手をJリーグにつれてくることは不可能になった。彼らは大金を求めてアジアの小国にいってしまうから。
チームにとってすぐに戦力になる完成された選手をつれてくることは不可能になっている。一人のサポーターとしても、この現実を理解しなくてはならない。ある意味では厳しいが、サッカー選手の値段はあがっていて通常のJリーグのクラブでは買えない。
しかしこのような状況があるからこそ、私たちが進む選手を育成する道は正しいものだと思う。アジアにも目を向けないといけなくなる。今後、選手を育成すること、アジアから優れた選手を引っ張ることが大切なやり方だと思う。
今後、日本のクラブはそうした方針にしないと長期的な成功は難しいのではないか。他のクラブにもいえるかもしれないが、ヨーロッパ出身の即戦力の選手を買うことは不可能だろう。
実際に18-22歳の若い選手をヨーロッパからつれてくるのも容易ではない。彼らは見て欲しいと思っている。浦和レッズはヨーロッパのクラブと提携している。そうしたクラブから若い選手をレンタルすることも考えられるかもしれない。
こうした提携関係がないと、優れた若手の選手を日本につれてくることは難しいでしょう。うまくいけば日本の若手選手にも良い刺激になるだろう。お互いに学ぶことができるから。Jリーグがさらにヨーロッパに窓を開けるのが喜ばしいと思っている。
大住:最後はフィンケ教授の国際サッカー論を聞くことができました(笑)モラスコーチの素晴らしい通訳を聞くこともできました。どうもありがとうございました。
フィンケ監督:(時間を延長してしまって)スイマセン