ヤマハの新型・電動二輪車「EC-03」発表会に参加しております。そのレポートをお届けします。
代表取締役社長・柳弘之氏より挨拶。
新興国低価格モデル、アセアン二輪車、次世代環境対応エンジン、スマートパワーに620億円を投資していく。世界の潮流は低酸素社会へ。
これまで、電動車イス、電動二輪車、電動ゴルフカー、電動船外機などの取り組みをしてきた。電動二輪車市場、2010年は1万台、201X年に30〜50万台、将来はトップシェアを。
今後の電動二輪車は高出力化、高性能化、低価格化などの展開を構想している。そのためには普及活動が欠かせないため、地方自治体との連携や試乗機会などを強化したい。
続いて、執行役員・小林正典氏より「EC-03」の説明。
コンセプトは都市内の単独移動には電動二輪車、電動自転車、自転車などを活用してもらい、長距離は鉄道や四輪車を利用してもらう。半径5kmの移動のために開発したのが「EC-03」である。
月間300km以内の利用が80%以上であり、1日あたりは5〜15kmの利用が大多数となっている。そのため、近距離移動はEV化に最も適した乗り物と言える。
キーワードは、
・スマート:プラグイン方式
・クリーン&サイレント:給油、オイル交換不要、深夜でも静か
・ライト 駐車が簡単
である。
新開発の50Vリチウムイオンバッテリーを搭載。電池容量は従来モデルの10%増。プラグイン充電方式により、家庭、外出先で容易に充電することができる。
時速30kmの走行で走行可能距離は43km、一波奈的な使い方であれば25kmほどの走行が可能。
フレームも新設計の軽量アルミフレーム。全長は1,565mmのコンパクト設計。同じサイズのガソリンスクーターと比べると3割ほど軽量化。
デジタル液晶メーターを採用。ボディカラーはホワイトとブラウンの2色。価格は252,000円。初年度販売台数は1,000台。
質疑&応答
Q:これからラインナップを増やすことを前提にデザインについて。見た印象では遊びがなく所有欲を歓喜するようなものが感じられない。環境とそういうデザインは両立できるのではないか。今のバイクが宮崎あおいだとしたら、黒木メイサのような扇情的なバイクが出てきても良いのではないか。
A:ぜひそういった商品を世に問いたいし、それが市場活性化に繋がる時期が来ることを期待したい。
Q:新しい販売手法というのは具体的には?
A:リテールについてはまだ具体的に説明するには詰められていないが、ウェブを前面に押し出した戦略をとる。二輪車店以外の販路についても検討を始めた段階。
Q:プラグイン方式の採用について。バッテリ取り外しではなく、プラグイン方式を採用した理由は?
A:社内でも議論があった。前回の販売の際にリクエストが多かった。今後、電動二輪車の航続距離を伸ばすには電池を大きくしなくてはならない。そうなると脱着式は必然的に無理が出てくる。そのため、バッテリは車載にした。次の世代に向けての新しい使い方の提案という意味合いである。
Q:バッテリについて。サンヨー製ということだが、モジュールタイプとして販売されているものか、それとも専用設計か。
A:サンヨーから発売されたモジュールとは別物。全体的に電動二輪車用の最適化したパッケージになっている。今回のモデルでは急速充電器の設定はしていない。市場の要望が強ければ検討してしていきたい。
Q:自由放電回数と使用に対する摩耗についての考え方は。
A:一般的な使い方として0からフル充電を1サイクルと考えた場合、およそ500回で初期から70%程度に劣化してくれる。500回で70%劣化がおおよその目安となる。
Q:EVに関してはインフラが重要だが、それまでの自治体との連携も含めて今後はどのように進めていくのか。駐車場がないということで二輪の利用環境が大変になっている。メーカーサイドはどうしていくのか。
A:自治体との連携が重要になるのは認識している。浜松との協議は始まっている。街作りの構想を作っていきたい。他にも2〜3の自治体とのプロジェクトは決まっている。今回のようなイノベーションが市場の活性化に繋がると良いと考えている。今まで二輪を使っていなかった人にぜひ使って欲しい。
Q;個人ユースで考えるとバッテリが気になる。500回だと少ないという印象がある。何%まで下がると実用に耐えられなくなるのか。その際、交換するといくら位になるのか。
A:70%まで充電量が劣化しても使えなくなる訳ではない。お客さん個々により使い方でご判断頂きたい。交換については電池交換かなと思われた時期にヤマハの取扱店に持ち込んでもらい交換となる。手数料含めて75,000円を見込んでいる。
Q:「EC-02」から5年間、ちょっと空いた理由は。
A:バッテリの問題が生じたので、その対策を進めてきた。対策は済んだが、その間には市場からは注目を集めることができなかった。今のように環境に対する意識が高まっていなかった。そのため、事業として採算ベースに乗りにくいということで、2007年に一度中断を決定した。それから一気にCO2削減という大きな課題が浮上し、意識が高まってきた。まさに機が熟したため再投入を決定した。
追記:ヤマハ電動二輪車「EC-03」試乗会レポート(写真&動画)も書きました。