【Six Apart 10周年】「ネタフル、ニューヨークへ行く!」 関社長にSkypeインタビュー! #SA10th

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※「ニューヨーク」に旅行記の一覧があります。

2013年11月某日、ニューヨーク行きを控え、シックス・アパートの関社長にSkypeインタビューを行ないました。シックス・アパート設立10周年を迎える思いなどを伺っています! ぼくも聞いたことがなかった裏話などもあり、興味深いお話を伺うことができました。

ネタフル:シックス・アパート設立の10周年を迎えていかがですか?

関社長:あっという間でした。最初、ジョーイ(MITメディアラボ所長・伊藤穰一氏)から話を貰ったのが、10年ちょっと前の夏でした。その時は、日経BPで別の企画を立ち上げていました。そのため、それを抜けるのは無理だと思い、断ったんです。しかし、その話の2、3週間後に突然、プロジェクトが中止になったんですね。6月に無理といったら、7月の頭には中止に。「あの話、やっぱりやるわ」と(笑)その週のうちにミーティングして、その時、初めて平田(シックス・アパート執行役員CTO)にも会いました。当時、平田はネオテニーの社員でした。Movable Typeの日本語化をしているということで、名前は知っていました。

ベンとメナ(Six Apart創業者夫妻)は1月に日本に来ていました。しかし、それは行けませんでした。代わりに翌日のネオテニーの社内勉強会に呼んで貰いました。その時に、ネオテニーやSix Apartの人たちといろいろ話しました。このことは誰か取材するだろうと思っていたのですが、メディアには掲載されませんでした。しばらくしたらネオテニーが出資するというニュースがあり、そこで自分で「ブログがくる」という記事をIT Proで書きました。

Movable Typeは、ジョーイの話の前にも使っていましたよ。1994年頃、日経BPでの最初の仕事がインターネットの記事ばかり書くことでした。NetscapeやAOLばかり取材していました。次はこういう未来がくるのでは、と。そんな中、ブログはブラウザと似ているな、と感じました。ブラウザでは誰もがネットを見ることができる。ブログは誰もが発信できる、と。これは10年ぶりの大きなレボリューションだ、と感じ、今度は見る側ではなくやる側に回れたら、と思ったんです。それでMovable Typeのプラグインなどを作っていたんです。

そういうことがあり、ジョーイから声をかけて貰うことになったんですね。友だちになってから、9年くらい経っていました。初めて声をかけてもらったのに、それを断って気になっていたところでした。手掛けていたプロジェクトが中止になったのも運命。流れに乗りました。

10年という月日には感慨深さはありません。むしろ、5周年が感慨深いものがありました。5年もやれると思っていなかったですから、自分も、会社も。3年で会社がなくなったりすることも多い中、それが5年できた、記念イベントにはスポンサーもたくさんついて感慨深かったですね。

5周年の時は、会社が立ち上がったり、他の会社を買収したり、大きくなることを経験しました。その後は会社を売ったりといったこともやりました。2年前にアメリカのシックス・アパートを売り、一回終わった気がしました。一回りしたという感覚です。今は2週目に入っています。2011年から新しい会社組織になっています。それから2年と10ヶ月。途中に震災もありました。

そういう中で、アメリカに進出します。10年前は日本進出。0歳が日本進出1日目、今回はアメリカ進出の年と位置づけています。

ネタフル:普通の海外進出とは違いますか?

関社長:アメリカは世界で大きい市場ですし、日本と比べても市場としてはアメリカの方が大きいですから、大きい市場に主軸を据えるということは、絶対にやらないといけないことだと考えています。今まではアメリカの会社はアメリカ、日本の会社は日本、とやっていましたが、アメリカの会社はなくなりました。しかし日本より大きい市場に人がいないのはもったいない。2年も会社がない状態が続くと、アメリカでも知られなくなってしまいます。現状はアメリカと隔絶してしまっています。

創業から8年間はアメリカとやり取りしまくって、大阪より近い感覚でした。大阪出張よりサンフランシスコ出張が多かったですから。でもそれがなくなり、メディアやブログでして情報が入ってこなくなってしまいました。日本もいろいろ起きているが、アメリカでも起きています。アメリカで起きていることも消化していかないと、日本以外向けの国の商品が作れなくなります。それは組織として知らなくてはならないと思いました。

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ネタフル:個人ユーザは変わりましたか?

関社長:10年前と一番違うのは、ブログの個人ツールは誰でも使えるということです。もともとMovable Typeは、それよりも簡単なブログツールがあったにも関わらず、デザインをよくしたいとか、ハイエンドなツールでした。逆に、誰でも使えるものではない、知識が必要であったり、高機能なものになってる。ブログに対してある程度の時間などを投資してよいと思っている人のツールで、それは今も昔も変わっていないと思います。

Movable Typeは、CMSとして使われることが圧倒的に多いです。簡単に、ウェブページもブログも持つことができます。サイト全体でコミュニケーションしようとしているツールであり、ハイエンド向けであることは変わっていません。ブログをやりたい人の裾野が広がって、最初はMovable Typeは難しい場合もあるかもしれないが、Movable Type自体のハイエンド向けというDNAが変わっていないからだと思います。高機能なことをできるようにしていく、というのはこれからも継続します。

ハイエンドの人、真剣なブロガーに多い共通点は、トラフィックがきたら落ちる、システムのトラブルがあるとページがアップされない、といったことは困る訳ですね。コンテンツが増えると600記事くらい消さないといけないとか、色々なバッチのオペレーションであるとか、そういったシーンが必要な場合があります。ハイエンドなブロガーにも同じようなトラブルがあると思いますから、そういったブロガーにも満足して貰えるのではないでしょうか。WordPressでアクセス急増して急激な負荷で落ちるとか、そういう人からの問い合わせもあります。「負荷では落ちないと聞いたがランニングコストは?」などです。生活ではランニングコストが大事です。実はコストが抑えられますから。

ネタフル:これからの10年は?

関社長:形からいうとアメリカ、ニューヨークに積極的に投資をしていきます。日本だけ、アメリカだけでなく、より多くの国、世界中で使いやすいようにしていきます。今までもそのように作ってきましたが、今は日本のオフィスしかなく、日本のマーケットしか捕捉できません。これからの10年はグローバルです。

アメリカでもスタッフはどんどん採用していく予定です。ニューヨークは現在は一人です。後はテクニカルサポートが、カリフォルニアに一人。役員が二人、社員が二人。これを早々に二桁にしたいと考えています。ニューヨークオフィスが中心になっていくでしょう。

私は、来年からニューヨークに行く予定です。日本とアメリカ、どっちにより多くの時間を使うか? ニューヨークに住んで、本気でやりたいと考えています。アメリカに住むのは12年ぶりです(笑)

超本気ですよ。向こうでうまくいったらいいな、ダメだったら諦めよう、ではなく、本気で立ち上げたいと考えています。当然、それが日本にいい影響があると思っています。ブログもそうだったし、SNSも、スマホも、やっぱり色々なものが、どっちではじまったかということではなく、貪欲に取り組むということが大事ですから。国によって得意不得意のジャンルがありますから。良いところをうまく選んで載せていくということに関しては、Movable Typeは正にそんな感じでした。TypePadもリリースからケータイ連携機能がありましたが、アメリカではSNS以外にケータイはありませんでした。日本発のケータイのメールを使ってモブログするという機能は、いち早く取り入れました。

日本はブログの定義にトラックバックが入っていたので全てのベンダーが取り入れましたが、そのあたりの足並みを揃えるのは日本はうまいと思います。だから、サービス間の連携が重要ですね、ということで「OpenID」ができました。実は「Google ID」は「OpenID」に準拠しているんですよ。ある意味、日本とアメリカがうまくシームレスになるといいな、と。

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ネタフル:日本の全てのMovable Typeユーザに向けてメッセージをお願いします。

関社長:今年はバージョン6をリリースします。1,2,3,4,5,6と、バージョンアップでどんどん機能拡張してきました。「Movable Type 6」のコンセプトは”エンドユーザが使いやすいツール”ということを改めて指向し始めました。4,5はCMSとしての位置付けが強かったと思います。制作者、ウェブマスター向け機能が増え、結果としてエンドユーザが使いにくくなってしまったというメンもありました。しかし、高機能なら使いにくくてもいいという時代ではありません。高機能だけど使いやすい、を目指します。

あるものは日本から、あるものはアメリカから、色々なパターンがあるが、常に良いものを取り入れていきたいですね。もしかすると、日本の実状に、現実はあっていない、使いにくいと思われるものがあるかもしれません。例えば、Facebook。最初は使いにくいと思われ、理解されませんでした。これはこない、と。でも実際に使ってみると、使いやすい。スマートフォンのようなシンプルブラウジング環境がきたら急に使いやすくなりました。それはタイミングの問題だと思います。きっといつか必要になる、使いやすくなる、そういう時に向けて、これからはそういうもしかしたらちょっと早すぎるものも含めてMovable Typeに実装していきたいと思います。

エンドユーザに使いやすいものを目指しつつも、もしかしたら先取りになってしまう機能も実装もあり得ます。最初は戸惑うかもしれませんが、そういう方向で改めて進化していきたいですね。

今まではAPIも作りっ放しのところがありました。アプリを作るのはウェブサイト制作の人のビジネスでした。デフォルトのテンプレートも殺風景でした。インストールしただけだと十分に使えない、どういうものができるか分からない、といったこともあり、今回はサンプルアプリをつけたり、エンドユーザが使いやすいようにインストールだけで使える、機能拡張ができるようにしています。

これまでのMovable Typeは自作パソコンの部品があるだけの状態でした。自作する人には良いが、そうじゃない人にはどう使っていいのか難しいところがありました。今後は、あらかじめ組み上げてある、でも外して自分の好きなパーツに変えられるような、糊付けしてあってはがせない、ではなく、そんな方向を目指しています。

ネタフル:ブロガー勉強会はいかがですか?

関社長:企業向けにはやっていますが、ブロガー向けのニーズがあるとも考えています。そういうことも精力的にやっていきたいですね。

ネタフル:ぜひお願いしたいです。Movable Typeブロガーで繋がりたいです。ありがとうございました!

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エンドユーザが使いやすくなる、というところに期待していますし、個人ブロガーとしても、よりシックス・アパートともっと対話をしたくなるな! というお話の内容でした。

ぼくはMovable Typeがベストのツールだと思って使っていますけど、やはり仲間が多い方が楽しいじゃないですか。相談したり。関さんの話にもありますが、CMS色の強くなっていたMTが「高機能だけど使いやすい」方向を指向するのは大賛成です!

つか、関さん、ニューヨーク在住になるんですね‥‥肉の食べ過ぎでふとましくならないといいですね!!