八丈島滞在の2日目は、いよいよ今回の1泊2日の旅のメインイベントである「八丈富士」に登ります。八丈島には八丈富士と三原山の2つの山があり、それぞれ標高は854m、701mです。今回はより標高の高い八丈富士への登山となります。島の中では八丈富士は北西に位置し、三原山はその対極となる南東となります。854mの八丈富士は、伊豆諸島で最も標高の高い山となります。
#東京都の観光PR事業の一環で八丈島を旅したレポート記事です。
今回の旅の行程は1泊2日です。このレポートでは2日目をまとめます。
ホテルで朝食を
前夜からお世話になっている八丈ビューホテルで朝食を頂きます。オーシャンビューの朝食です。朝から天気もよく、登山には最適そう!
なんとなくカレーがあると食べてしまうんですよね〜、朝でも。朝からカレーを食べて、パワーアップして八丈富士へ向かいましょう!
八丈島には何軒かホテルがあるようですが、八丈ビューホテルの特徴は高台にあるところ。海へ続く景色、これもまたホテルの絶景ですね。
夏はプールも良さそうです。
八丈富士の登山口から山頂へ
前日、登山でお願いしていたガイドさん(椎さん)より電話を頂きました。ホテルまで迎えに来て頂けるとのことだったのですが、レンタカーで移動していたので、自分で登山口まで行くことにしました。待ち合わせの登山口までホテルからレンタカーで移動。時間にして15分もかからないくらいでしょうか。
登山口には駐車場はありますが、駐車できるのは10〜15台くらいでしょうか。繁忙期にどのくらいの混雑になるのか分かりませんが、もしかるすと少し離れたところに駐車する、なんていうこともあるかもしれません。
登山道の入口はキレイに整備されています。お鉢めぐり分岐点、つまり山頂付近までは50分となっています。観光で八丈島を訪れ、軽く登山をしたいと思ったら体力的にもちょうどよいくらいの運動量ではないでしょうか。
ただし、仮にも登山ですから装備はきちんとしましょうね。特にトイレがない、飲料水を入手することができないのは注意です。
山頂付近までは整備された道が続きますが、たまに藪の中を歩くようなところがあるので、長袖・長ズボンが良いと思います。ぼくは11月中旬の登山でしたが、山頂まではトレーナーで大丈夫ですが、その先は風も強くウインドブレーカーを使用しました。
八丈富士は標高854mで伊豆諸島の最高峰です。ゆっくりとガイドさんの話を聞きながら登って小一時間ほどでした。
登山口からの景色です。
これは登山口から山頂を見上げたところです。けっこう遠くに見えます。
ガイドさんと合流し、八丈富士登山開始です!
この日は、ぼくの他に一緒に登山される方が1人いました。
柵があるのは野生の山羊が出たり入ったりしないようにするためだそうです。そういえば、八丈島といえばキョンがいましたが、現在は野生のキョンはいないそうです。
登山道の8割くらいには、このようにスロープが整備されています。階段を登るより、自分の歩幅でスロープを登る方が登りやすいです。
ガイドさんによると、唯一、八丈島に自力で辿り着いた哺乳類はコウモリだそうです。縄文時代から人は住んでいたことが分かっています。
モノがない時代にはトイレットペーパー代わりに紫陽花を利用していたことや、八丈富士は1万年前に、三原山は10万年以上前に噴火したことなどを教えて頂きました。
自分一人でも十分に登ることができますが、こうした勉強になる話を聞けるのはガイドさんをお願いする魅力です。分からないことがあればすぐに聞けますし!
ときどき振り返り絶景を確かめながら、少しずつ、ゆっくりと歩みを進めていきます。こんなにゆっくりで1時間で辿り着くのかな? と思ったのですが、確かに一時間くらいで山頂に着きました。
これは特産品である黄八丈の黄色を染色するためのコブナグサです。コブナグサを使って染色するのは、中国の四川省と八丈島だけだそう。煮出したコブナグサは牛の餌になるそうです。
黄八丈は普段着の高級品だそう。茶色はタブノキ、黒色はスダジイで染色するのだそうです。
振り返ると、海も大きく見えるようになってきました。最近はクジラもやってきているそうです。運が良ければ見られるかな!?
斜面が急なところは手すりがつけられています。山登りというよりは、ハイキングに近い感覚でしょうかね。
ゆっくりと登っているので、後から来た人たちにもどんどん追い越されていきます。でも、これだけゆっくりでも大丈夫というのは、誰にでも安心な山だと思います!
中間点からの景色です。
八丈島の花の話を聞きながら。
もう一度、扉がありました!
島天南星(しまてんなんしょう)の赤い実。根を食べるそうで、これが八丈富士の非常食のへごもちになるのだとか。
苦い葉っぱは、せんぶりです。噛んでみてと言われ噛んでみると、確かに苦い! せんぶり茶になったり、苦味が胃を刺激するので胃薬になったりするそうです。
かわいい白い花は、伊豆の島大文字草です。房総半島南部、三浦半島と伊豆七島に分布しているそう。
周囲の木立の高さも低くなってきたような?
ツルリンドウ。
そろそろ山頂も近くなってきたでしょうか?
すると、ガイドさんから「道の脇にある穴はなんでしょうか?」という質問が飛び出します。噴火した際の溶岩でできたなにかしらの穴なのでは‥‥と思ったら、違いました。
覗き込んだところ。実はこれは人工的に掘られた穴で、雨水を流すようになっているのだそう。雨が多いため、登山道に流れる雨水の回避用に作られたものです。
八丈富士は玄武岩の溶岩の山で、水を貯める能力がないそうです。一方、三原山は雨水を山の中に蓄える能力があり、川や滝になって出てくるそうです。三原山の湧き水は水道水として利用されています。八丈島は雨の量が多く水不足になりにくい島で、伊豆諸島で唯一、稲作をしているのだとか。
スロープもなくなったので、山頂まであと少しです!
振り返るとこれまでと景色が違いますね。
ヤシの木、フェニックスの全国生産の9割が八丈島で、園芸用の植物の生産が多いとか、多摩動物公園のコアラのごはん、つまりユーカリを生産しているのも八丈島、なんていうことも教えて頂きました。東京から近くて温暖で空輸できる場所として選ばれたそうです。
山頂付近でガイドさんが、まん丸の小石を拾って見せてくださいました。
これは溶岩が飛んできてある気象状況、それは雨が降ってたり、湿気が多いという条件なのだそうですが、それで丸くなる現象で火山豆石というものなのだそうです。これで当時の気候条件も分かるのですね。
ここまで小一時間。そして、いよいよ‥‥。
八丈富士の山頂へ
ついに八丈富士のお鉢めぐり入口までやってきました! カルデラになっているのがよく分かります。下に降りていくこともできますが、まず縁を歩いて頂上を目指します。
真ん中には池があり、なんでもアニメ映画「君の名は。」に登場するところと似ているよね、なんていうことも言われたりする昨今なのだとか。
八丈島は風が強い日が多いそうですが、この日もご多分に漏れず風が強く、登山開始前に「もしかすると風が強くて頂上までは行けないかも‥‥」とのお話でした。
が、とりあえず行けるところまでは行ってみましょう、とのことで、頂上までのお鉢めぐりのスタートです。
カルデラの内側です。自然て凄いな‥‥と身体の奥底から実感する瞬間ですね‥‥。自分の存在がとてもちっぽけに感じます。
絶景のパノラマを見ながら進んでいきます!
お鉢の外側は風が強くなっていきます。内側を吹き抜けた風が、ドーンと外側に向けて押し寄せていきます。風の津波のようです。
自然にできた風穴。
風穴の中。
草が倒れているのが分かるでしょうか。ゴーゴーと風が吹き抜ける中を歩いていきます。重いぼくも飛ばされそう(飛ばないですが)。
少し高いところに登ると「君の名は。ぽい‥‥」と言われる、カルデラの中の池が見えます。改めて神秘というか、自然の雄大さを感じます。
風は強いですが、なんとか進んでいくことができます。
あの先が山頂です! 八丈富士の最も高いところ!
15分くらい歩いたでしょうか?
着きましたー!
八丈富士の山頂、854.3mです。
さすがにここも風が強い! 写真を撮る際にもがっちりとiPhoneを押さえていたので指が写り込んでしまいました。
八丈島の最も高い場所からの景色。雲間から光のシャワーが降り注ぎます。これぞ絶景ですね。
本来であればグルリとお鉢めぐりをしたいところですが、風が強いので今回は断念しました。それでも山頂の絶景が見られたので大満足です。もと来た道を辿っていきます。
下りはずっと眼下に絶景が広がります。
下りいいですね!
八丈富士の火口へ
続いて八丈富士の火口へと降りていきます。こちらは片道15分ほど。けっこう気軽に降りて戻ってこられますよ。底には浅間神社があります。
ずんずん。
ずんずん。火口に降りるところは風は吹いていません。
案内に従い進みます。
ずんずん。
ずんずん。道は平坦です。
ここが火口の底にある浅間神社です。よくぞ、こんな鳥居を運んだものです。
お願いするために石を運んでくる人もいるそうです。結婚した際に何十キロもある石を担いでくる人もいるのだとか。
浅間神社の横から、火口の奥を見ることができます(落ちないように気をつけて)。下の方にはヤマグルマという木が群生しているのですが、これは日本でも八丈島のここだけなのだそう。貴重な景観です。
神社の裏のご神木です。
八丈富士から下山
これにて八丈富士の登山は終了です。ゆっくりと下山していきます。
登山口まで戻って時計を確認すると約2.5時間でした。お鉢めぐりをしても3時間くらいで行って戻ってこれるでしょう。山頂を遠目に見ていた時にはそんなに早く登れるのかと思いましたが、思っていた以上に登りやすい山でした。
「富士久 厨」で海鮮ランチ
八丈富士の登山の後は、お楽しみの島ランチです! 「富士久 厨」に伺いました。
新しくてキレイ、清潔な店内です。スタッフの方も地元のお母さんといった感じで、とても居心地が良かったです。
3時間前までに予約できる定食ランチもあるのか‥‥と思いつつ‥‥
海鮮丼、鮮魚のづけ丼、島寿司などいろいろと気になるメニューはあったのですが、1,600円のおまかせ御膳をチョイス。もう、お母さんにおまかせします、八丈島のご飯!
お刺身に天ぷらに煮物に‥‥島の食材が使われて、なんとまあ、盛りだくさん!
ご飯もお代わりして超満腹に。もう午後は動きたくないよ〜、てな気分にもなってしまいましたが、最後の目的地にレッツゴーです! ごちそうさま!!
>>厨くりやは八丈島の人気郷土料理のお店です。【八丈ガイド】
八丈島歴史民俗資料館
1泊2日の八丈島観光、最後の目的地は「八丈島歴史民俗資料館」です。こちらでは八丈島の歴史や古い生活を知ることができるのですが、思った以上に興味深く、2時間近くじっくりと展示物を眺めてしまいました。
入館料は大人360円、子供170円です。
ちなみに建物は旧東京都八丈支庁庁舎です。
島を旅すると、いつも気になるのです。島の人たちは、いつどこからやってきたのだろう、と。陸続きではないですから、独自の文化があったり、どうやって本土と交流していたのか、そういうのも気になります。その全ての答えが「八丈島歴史民俗資料館」にはあったように思います。
八丈島には縄文人が住んでいたのですよ。習俗・建築に南方的文化要素が残っていることから、黒潮に乗ってマリアナ諸島や東南アジアからやってきたのでしょうか。歴史のロマンを感じます。
八丈島の女性は黄八丈という特産物があり、それを室内で作っていたため、色白で髪の毛も長く、近隣の島の女性と比べると特異だったのだとか。海を渡ってやってきた人には美女と賞賛されたそうです。
離島というと島流しや流人といった言葉も思い浮かべるところですが、必ずしも極悪人だけが流人になっていたわけではないのです。大名や御家人など身分の高い人もかなりいて、そうした人たちが伝えた文化も八丈島にとっては貴重なものとなっていました。
教育や文化に大いに貢献した人たちがいたのです。そうしたことに触れる展示もあります。
太平洋戦争に関する展示も行われており、人間魚雷の「回天」や水上特攻隊の「震洋」が配属されていたということも分かりました。島の中心部の良い場所に大きな飛行場ができたのも、実は戦時中だったのですよね。
八丈島の島酒である焼酎を伝えたのは薩摩から流罪になった人。流罪というと極悪人のイメージになりますが、政治犯だったり微罪だったりもあり、そういう人たちが伝えた文化というのも小さくなかったそう。これは佐渡島でも同じ話を聞きました。
こうした事実があってこそ、今の八丈島のあり方や文化、便利さがあるのだと分かりました。「八丈島歴史民俗資料館」は旅行ツアーのコースにもなっているようですが、ぜひ個人旅行でも訪れることをオススメします。
八丈島の二日目
レンタカーを返却し八丈島空港に送ってもらい、ほっと一息つきます。八丈島空港は離島の空港としては大きく、お土産屋さんも充実しています。特産品が色々とありますので、少し余裕を持って空港を訪れてゆっくりと買物するのもオススメです。
滑走路の見える席に座り、レストランで生ビールを一杯。こちらのレストランも大きいです。最後に島の料理を食べるのも良いでしょう。赤い顔で談笑している帰りの飛行機を待つ観光客もたくさんいます。みんな、楽しそうです。
初日は朝に到着してレンタカーで温泉に入りつつ島内を一周。二日目は朝から八丈富士を登山し、午後は島の歴史をじっくりと学ぶことができました。まだまだ見るべきところ、行くべきところ、入るべき温泉はありますが、まずは1泊2日でも大満足です。
いかがでしょう、今週末あたり羽田空港から八丈島に飛んでみては?
東京都の南国が待っていますよ。
>>八丈島観光協会 | ようこそ八丈島へ!八丈島観光協会では皆様のお越しをお待ちしています
>>羽田空港から飛行機で1時間かからず飛べる東京都の離島・八丈島の旅 #tamashima #hachijojima – Togetter