パナソニックが三洋・パナソニック電工の完全子会社化で手に入れようとしたもの

解説:パナソニックが三洋、パナ電の完全子会社化で手に入れたかったものという記事より。

かつてのパナソニックの競合相手は、国内メーカーだった。だが、それはいまや一部でしかない。欧米、さらには韓国、台湾、中国企業などとの競争が、デジタルAVCネットワーク分野にとどまらず、二次電池や太陽電池、電気自動車関連などの分野においても激化している。

パナソニックが7月末に三洋電機とパナソニック電工の完全子会社化を発表しましたが、その狙いは「スピード感」だそうです。

「これまでのように3社がお互いを尊重し、独立性を意識しながらコラボする体制では、致命的な遅れが出ると感じた」と大坪社長。

世界の同業他社が100m競争のスピードで事業拡大しているのに対して、自分たちは中距離競走のスピードで戦っていたのではないか、という話は分かりやすいです。

今回の完全子会社化により、ブランドも「Panasonic」に統一されていくということです。

電池などの一部事業や地域に関しては、「SANYO」ブランドを継続するが、「白物家電、デジタル機器などは、できるだけ早くブランドを一本化した方が利益の最大化につながる」(三洋電機社長の佐野精一郎氏)として、コンシューマー向け製品からは、今後「SANYO」ブランドが消えることになる。

充電池の「eneloop」や、洗濯乾燥機の「AQUA」、空気清浄機で利用される「ウイルスウォッシャー」なども「Panasonic」に一本化されるとのことです。

パナソニックは一度、ナショナルブランドをパナソニックブランドに統一したことがあるのですが、その効果は‥‥

実際、パナソニックブランドへの統一から1年後には、各種調査でパナソニックブランドの認知度が世界的に高まり、国内での白物家電のシェアが上昇するなど存在感を高めることに成功している。

きちんと出ていたようですね。今回の「Panasonic」統一で、さらなる相乗効果を、ということです。

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「今までも企業コラボという形で事業に取り組んできたが、独立性を意識しながらコラボを図るのでは、今の時代の経営スピードに致命的な遅れが出ると実感した。完全子会社化することで、新たな事業展開に一丸となって取り組めると考えている」

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公開買い付け価格は、パナソニック電工が1株当たり1,110円、三洋電機が1株当たり138円。本公開買付けにおいて、パナソニックが両子会社の株式の買付予定株数すべてを買い付けた場合、最大買付総額は8,184億円となる予定。

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大坪氏: 株主総会が終了した後にお二方に話した。その場で前向きな返答をもらい、7月以降に具体的な話し合いに入った。また、グローバルな競争相手を見れば見るほど、成長や革新があることがわかった。こうした変革には、3社のコラボレーションでは太刀打ちできない。世界の同業他社のスピードを100メートル走とたとえるなら、われわれは中距離走のスピードと言える。世界の競合に勝つには、思い切った策を打つしかなかった。

パナソニック、2010年度第1四半期は増収増益 – 売上は前年比35%増

同四半期の業績は、売上高が前年同期比35%増の2兆1,611億円、営業利益が前年同期の202億円の損失から838億円の黒字へ、前年同期の税引前利益が518億円の損失から843億円の黒字へと、前年同期の純損益が530億円の損失から437億円の黒字へと、すべて黒字化を達成し、上期および年間の業績見通しを上方修正した。