ブログを書くことは商売になるのか?

切込隊長BLOG(ブログ) 〜俺様キングダムブログを書いて商売になるかどうかは成功者待ちという興味深いエントリーが。さらにその中でネタフルを取り上げて頂いています。

さて、日本においてブログの書き手(ユーザー)は商売になるかという命題が掲げられている件について、何だか知らないがむなぐるま氏のところで取り上げられて以降考えるようになったのだが、商売的なカラクリはともかく周辺事情を見る限り「既存の出版事業に対する登竜門的な位置づけ」の機能を持つツールを経て、フリーペーパー的なモデルの発展形態を遂げていくのではないかと考えている。

「フリーペーパー的なモデルの発展形態を遂げていくのではないか」という考察は興味深くかつ、なるほどと思いました。要するに広告掲載というビジネスモデルですが、単純にバナーを掲載するのではなく、それが情報として価値を持つ形で読者に提供されていくと理解しましたが、ブログの場合にはエントリー毎にテーマが違いますので、そういう方向性はあるのではないかと思います。

ちなみに、ネタフルをどのように取り上げて頂いたかというと、

個人的に取り組みとして面白いなと思ったのが木村剛氏のゴーログと、その点対称としてのネタフルである。前者は、「降りてきた」著名人が、あれほどの熱意を持ってネット社会に闖入し、ときとして物笑いのタネに、また別のときはネット社会でよい議論のネタ振りにと機能し始めた。後者はまったく逆で、まぐまぐで殿堂入りしたメールマガジンという底辺からスタートし、ブログの興隆にいち早く気づいてメルマガからシフト、日本有数のアクセスを集めるブログにまで成長した。

なんと! 週刊!木村剛の「点対称」として、でした。ビッグネームと並べて頂いて恐縮です。

では、その商業的な取り組みを行うにあたって、両者が取っている道はどうなのかというとこれまた180度違う。前者はインフォバーンと組んで冊子を商業ラインに乗せ、後者は広告ベースのビジネスに展開していこうとしている。そして、両者とも人気サイトであるにも関わらず、これが理由でおおいに儲かっているようには見えない。

「おおいに儲かっているようには見えない」(笑)  ちなみに、儲かっている基準はどの辺におかれているのだろう、と思っていたのですが、「アメリカで10万ドルを超える所得を得始めるBloggerの出現」という行がありましたので、日本でも年収1,000万円を超えればブロガーが職業として成功体験として認められるようになるでしょうか。

さらに、切込隊長のところからリンクされていたむなぐるま氏のブログを書いて商売になるかどうか、についてでは、「私がブログなりを自分のジョブベースに移行できるのか?」という視点が取り上げられていました。そう考えると年収1,000万円はなくても、例えば500万円であればそれをブログから稼ぎ出せるようになれば、好きなことをしている分だけ幸せかもしれません。1,000万円、ジョブベースは視点こそ違いますが、どちらも“本人にとっては”成功でしょう。

ということで翻ってネタフルなのですが、将来的にいつかは職業ブロガーになってみたいという思い(願望?野望?)はありますが、とりあえず今すぐにどうこうしようという気持ちはありません。そういう意味では、

アメリカのBLOGの場合は、BLOGがインターネット上のメディアとして商業的書き手を志向し精力的に書き綴るBloggerが続出しているのに比べ、日本のブログについてはむしろ書きたいから書く、面白いから書くといった情緒的な動機と、書くことが苦にならない継続性が更新頻度を産み、それが日時の積み重ねによって成長して著名ブログにいつのまにかなっているという状況があるように思えるのだ。

まさに「日本のブログについてはむしろ書きたいから書く」という分析にずっぽりとハマっています。昔からそうなのですが、毎日書き続けることはあまり苦にならないんですね。誰かに「面白かったよ」と言って貰えれば、それがご褒美的なところがありましたので。もちろん、ブログになってからは収入が入る仕組みが確立されてくる訳ですが、それ以前にも日刊のメールマガジンを配信していたこともあるので、必ずしもお金だけがモチベーションになっているという訳ではありません。

しかし、日刊のメールマガジンをやっていた時にも、なんとか収益を確保できないかと試行錯誤してみたことはあります。その仕組みはシェアメールというもので、シェアウェアのメール版でした。メールマガジンを気に入って下さった方からドネーションを募り、代わりに号外や無料のメールアドレスを提供していました。ニューヨークまで取材に行っちゃったりしていたので儲かりはしませんでしたが(笑)

ただ思えば年間ピザ1枚分というキャッチフレーズで、2,400円で400人以上集まっていました。1,000人くらいのコミュニティが出来上がれば、一人くらいは何とか生活していけるレベルになるのではないでしょうか。ブログを書いて共感を得て、寄付を募って独自情報を提供する、というのはあり得るかもしれません。ただそのためには、後から出てきますが、情報の行き渡りが早い現在においては「一次情報である」ということが重要になるでしょう。

最後に「ネット論壇みたいなもの」について触れるが、ブログについていうとやはり一次情報を自分の足で集めて掲載できる書き手の割合が絶対的に不足している。良質な書き手という言い方が適切かどうかは分からないが、いわゆるネタ元については既存のウェブ素材から適当に引いてくる流れが大きい感じだ。このBLOGについても、一次情報、特に私が仕事や生活のなかで見聞きしたものを問題のない範囲で(問題をたまに起こすが)記載するほうが明らかに訪問者数が多い。

一次情報を集めることで、寄付、もしくは有料化の流れが探れると思います。週刊!木村剛などを考えるならば、書籍化という方向性もあるでしょう。一方で、ネタフルのようなスタイルのブログの場合は、その対象として、アフィリエイトの方向に流れていくと思います。もし本気でネタフルをするならば、やはり取材する必要性も感じますから、それはサラリーマンを続けている限りは難しいことです。

アフィリエイトやGoogle AdSenseでもそこそこ行くと思いますが、波があったり、ASPがなくなったりすれば共倒れしますので、危険性は常に感じています。それを回避するには、一次情報を提供するといった取り組みも必要、でしょう。もしくは、ネタフルで得られた知見を情報ビジネスとして販売するか。でもそうなるとブロガーというよりは、ブログコンサルタントとかブログアドバイザーみたいになってしまうのかもしれません。コンサルタントとかアドバイザーは、セミナーしたりビデオ作った販売したり本を書いたりするんでしょうが、それが“ブロガー”なのかどうかという微妙な境界線を超えていくような気がしますが、いかがでしょうか。ブログだけで生活できるのか、とはちと違うか。

現時点では、週刊!木村剛や切込隊長blogのようにリピーターの多いサイトは有料、ネタフルのように検索エンジンからの訪問者が多いサイトはアフィリエイト(広告)、というビジネスモデル(?)になりますでしょうか。

そうなると、やはりブログで継続的に価値を持ちうるのは一次情報の創出をコンスタントに行える体制を整えた書き手(ユーザー)であって、商業化においても頒布するに耐える話題性や品質を持つものということになるだろうと思う。その場合、上記の「高尚な」議論は市場に沿わない。なぜなら、その「高尚な」議論によって構成される一次情報を切磋琢磨するべきブログ群が絶対的に不足しているからである。

そして今一度、ブログを書くことが商売になるのか? という視点ですが「なるだろう」と言っても良いと思います。現時点ではアフィリエイト、Google AdSenseなどがメインの収入となっていますが、近いうちにアメリカで行われているBlogAdsのようなブログを広告媒体とするサービスも増えると予測されます。月に50万PV、100万PVというブログも増えるはずですし、そうなれば自ずと広告掲載したいという機運も盛り上がるのでは‥‥ないか‥‥と。まあそうでなくとも、月間100万PVもあれば、十分にブログからの収入で暮らしていけるようになのではないでしょうか、きっと。多少、不安定な部分は差し引いて。

で、そこで常々、ぼくが思っているのは、現在職業としてライターをされている方たちが積極的に収入を得るためにブログを書き始めたらどうなんだろうか、ということです。隊長風に言えば「ライターが降りてくる」ということになりましょうか。物書きのプロが書き始めたら、非常に面白いことになるのではないかと。それは有料という方向性もあるでしょうし、Webの特性を熟知してアフィリエイターになる可能性もあるはずです(アフィリエイターって言い方が嫌かな)。ただ、すぐに難しいのは、無料で文章を書く、ということには抵抗があるのかもしれないということです。そのためには、どうやったら収入を得られるのか、というノウハウがもっと回る必要性も感じています。

目に見える成功事例としては「ブログで会社辞めました」とか、そのものズバリ言ってくれる人が出てくるか、「仕事を辞めたのにブログを書いているだけで一向に再就職する気配のない人」が出てきたら、というのではダメですか(笑)

追記:
後から思ったのですが、ブログから得られる収入も、ブログをステップとしてセミナーをしたり書籍を書いたりして得られる収入も、どちらも「不安定」かもしれませんね。むしろ個人的には、書籍を書いたりセミナーをするよりは、精神的にも収入面でもブログの方が安定しているかも、と思います。