性同一性障害で男性から女性になる性別適合手術を受けた一部始終が綴られた、平沢ゆうな「僕が私になるために」

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性同一性障害(GID)である著者が、性別適合手術(SRS)を受け男性から女性になるまでの一部始終を描いたマンガ、が「僕が私になるために」です。優しい絵柄なので深刻な雰囲気にならず読み進めることができたのですが、それでも身体の変化、法律的な変化など、簡単には進まない現実があるのだな、ということが分かりました。

身体的にも法律的にも女性になるために、主人公・平沢ゆうなは性別適合手術(SRS)を受けにタイへと旅立つ。しかし、女性への道のりは想像していた以上に”痛かった”!! 性同一性障害(GID)当事者の作者が男性から女性になる過程を詳細に描いた実録エッセイ!

実はこの本を読んでもなお、性同一性障害(GID)というものがどういうものであるか、というのことが深く理解できていなかったのです。心と身体が別である、ということは頭では理解できても、心からどういう状態であるか分かっていなかった、といった感じでしょうか。

それがはっきりと腑に落ちたのが、週刊モーニングの電子版である「Dモーニング 6月23日号」に掲載された、単行本発売記念の番外編「僕が私になるためにextra 性の境界線」を読んで、です。

ここで「性自認は出生後の環境によって決められるのではない」という、性同一性障害(GID)の根拠の一旦を担う「双子の症例」が紹介されています。医療ミスによって男性器を失った男の子の赤ちゃんを、女の子として育てたという話‥‥そんなことがあったのか、と驚いたのですが、今から50年ほど前の話です。

当時、2歳半から3歳に性の自己認知の門があるという持論を持った学者から「ゲートをくぐる前であれば女性として育てることができる」と言われ、双子を男の子と女の子として育てることを夫婦は決意します。

しかし、女の子として育てられた男の子は、乱暴な問題児として育ちます。女の子は成長するに従い、自分への違和感を拭えなくなっていきます。そして15歳の時「自分が何者か知りたい」という女の子に、父親は真実を語ります。女の子は「心底、ホッとした‥‥」と思ったそうです。

性別というのは誰かによって変えられる後天的なものではなく、生まれつきのもの。性同一性障害(GID)は、その心と身体が別になってしまっている、というのがすっと腹落ちしたのが「僕が私になるためにextra 性の境界線」でした。

僕が私になるために」を読むならば、ぜひとも「僕が私になるためにextra 性の境界線」も読んで欲しいと思う思うのですが「Dモーニング」は購読期間外のバックナンバーは読めない仕様なんですよね。

追記:作品の編集者の方からモアイで無料で読めると教えて頂きました! みなさん、ぜひ!

この作品だけ、Kindleで発売されたらいいのになぁ、と思いました。