水門やダムが下流域を守っていたことを知った台風19号

水門やダムが下流域を守っていたことを知った台風19号

今回の台風19号は特に自分が住んでいるエリアを直撃&これまでにないレベルの台風だということでアップデートされていく情報に注目していました。

その中でいくつか初めて知った&驚いたことがあったので、メモとして残しておこうと思います。

荒川と隅田川の成り立ち

まず、荒川の成り立ちです。埼玉県民なのに忘れてしまったのか! と怒られてしまいそうですが、その点に関しては申し訳ありません。

もともと荒川は今の場所にあったのではないのですね。荒川の昔 | 荒川上流河川事務所 | 国土交通省 関東地方整備局を見ると分かりやすいです。

1. 江戸時代より前は、東京湾に流れこんできた利根川の支川で、現在の元荒川の流れでした。

元荒川というのもあるけどなんで元と現があるのだろうと思っていたのですが、荒川は江戸時代以前には元荒川のところを流れていたんだと。

2. 江戸時代になると、熊谷市久下あたりから新しく川の道がつくられ、和田吉野川と合わせて入間川と繋(つな)がれました。

江戸時代から大正時代には、入間川と繋がりそれが荒川となります。ほぼ現在の荒川の場所です。

3. 昭和になると荒川放水路(ほうすいろ)をつくったり、まがりくねった川の流れを直線的になおしたりしました。

治水のために改修され、現在の荒川となります。

このときに赤羽岩淵から、大洪水の被害を二度と繰り返さないために人工の川「荒川放水路」が計画されます。

上流から流れてくる荒川の水を、隅田川と放水路に分けることで、隅田川に集中していた洪水を分散(ぶんさん)させました。

実は隅田川って、この赤羽岩淵からはじまっているんですね。これも知りませんでした。そういえば隅田川の源流がどこかとは考えたことなかったな、って。

そして赤羽岩淵には岩淵水門が設置され、隅田川へ流れ込む流量を調整しているというわけです。

岩淵水門が都内に水が溢れるのを防ぐ

地図で見ると一目瞭然ですが、新岩淵水門を閉じる、荒川から隅田川への流入は止まります。

これで隅田川が氾濫するのを抑え、墨田区や江東区が浸水することを食い止めました。

最近、知ったのですが、墨田区というのは都心を守るため、浸水する前提になっているようです(隅田川が氾濫すると墨田区側に流れ込むような高さになっている)。

2019年の春先に江戸川区:ここにいてはダメです 区から配られた水害のハザードマップに「これはひどい」と話題になっていました。

これは正直というか、本当にもうどうにもならない時は区内は危険だと知らせているわけです。今回も既に電車などが停まってしまった後に「もう東西に脱出することは不可能だからできるだけ上階へ」と呼びかけているTwitterアカウントもありました。

と、このように細かく都内への水の流入は調整されていました。さらに上流でも。

八ッ場ダムの放水の調整

夕方くらいから、関東地方のダムが緊急放水を開始する、という話題が増えていきました。

下流の河川に流れる水量を調節し、なんとか氾濫しないようにしてきたものの、そろそろダムの容量が限界です‥‥というサインでした。それ以上になるとダムが決壊し、甚大な被害を及ぼします。

そのため「○時間後に放水します」というアナウンスをしていたわけです。これも、時間を予告することで、万が一、河川の氾濫があったときのために避難できる時間を確保しているのです。

そのまま放水したダムもあれば、流入が予想を下回ったために放水せずに済んだダムもあります。いずれにせよ、上流で水量を調節することで、人口の多い東京都内での河川の氾濫を防いだことになります。

「完成したてで全力とかガンダムかよ」試験運用状態だった八ッ場ダムがぶっつけ本番で利根川を守った姿に八ッ場ガンダム爆誕 – Togetter

八ッ場ダムが利根川を守った一つの要因となっていました。

様々な方法で水害から守られている

他にも荒川では土手の内側に公園、レッズランドなど様々な施設が整備されているのですが、それらが全て沈むことで貯水力を発揮したことが、大きな水害を抑えたと言えるでしょう。

復旧は大変だと思いますが、こうした備えがあってこそ、街が守られているのだと痛感しました。

一方でさいたま市も西側では1m以上の水で住宅街が浸水したと聞きますし、箱根、長野の千曲川、栃木県佐野市の被害なども甚大だと聞きます。

被害復旧するまでにどれほどの時間がかかるのか分かりませんが、自分にも協力できることを粛々とやって参りたいと思います。

ダムや水門で水流をコントロールし街を守る‥‥というのは素晴らしい技術ですが、他方、どこかの街が犠牲になる可能性もある‥‥ということだと思います。

最大限のコントロールをしていても、自然が相手ですから、どうしてもどこかに影響が出てしまうということはあるでしょう。そのために自治体は防災のためのハザードマップを出していますから、それをよく見て、どこに住むかを決める必要がより一層高まっていると言えます。