脳腫瘍に白血病。短い期間で2度、生死の境を彷徨い、見事に病に打ち克ち生還したノリ山さんこと高山知朗さんが、2016年9月8日にめでたくも「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」を出版すると聞きました。本当におめでとうございます。高山さんの闘病経験が、書籍となって広まる‥‥これは同じ病にある人、違う病かもしれないけれど闘病する人にとって、役に立つ、参考になる、心の支えになる書籍なんではないかと推察します。
1971年、長野県伊那市生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループにて各種コンサルティングプロジェクトに従事。その後Web関連ベンチャーを経て、2001年、株式会社オーシャンブリッジを設立し、代表取締役社長に就任。現在、同社代表取締役会長。海外のソフトウェアやクラウドサービスを発掘してローカライズ(日本語化)し、日本企業向けに販売する事業を展開。11年7月に悪性脳腫瘍(グリオーマ)摘出手術を受ける。13年5月には白血病・悪性リンパ腫を発症し、7ヶ月間の入院による抗がん剤治療を経て、現在維持療法中。2度のがん闘病の記録をつぶさにつづったブログは、がん患者とその家族から「勇気と希望がわいた」「冷静で客観的な文章で分かりやすい」と反響が大きく、全国の医師からのアクセスも多い。
高山さんの闘病記は「オーシャンブリッジ高山のブログ」で綴られています。高山さんが向き合った脳腫瘍、白血病という2度の闘病記をこちらで読むことができるのですが、同じ病の人、家族が検索でたどり着き、隅から隅まで読み、コメントを寄せ、高山さんと交流し、病院で対面する‥‥そんなことも起こっているそうです。
母が肺がんで闘病した2006〜2007年当時も、ネットで検索して何を信用したら良いのか、元気な時だったら全く気にもかけないような怪しい情報にも惑わされ、とにかく病気の情報を求めていた、治療方法を探すことに飢えていたことを思い出します。
もしかすると、あれから10年が経過した今でも、その状況は変わっていないのかもしれません。藁にもすがるような思いで、ネットで検索している人たちがいるのではないでしょうか。
30歳でIT企業を興して経営者となった著者は、猛烈に働いていた40歳の時に脳腫瘍、さらに42歳の時に白血病と、2回の異なるがんを経験した。5年生存率はそれぞれ25%と40%、かけ合わせると10%だった。
「幼い娘が成人するまでは絶対に死にたくない」、その一心で少しでも治療成績のよい病院を探し、辞書を引きつつ海外の論文を読み、医師ととことん話し合った。そうして心から納得して選んだ手術、放射線治療、抗がん剤治療の西洋医学のみで寛解し、45歳の今日まで生き延びている。
高山さんの闘病をぼくは離れたところから見守ることしかできませんでしたが、確実に言えることは、高山さん自身が生きることを引き寄せたんだと思います。
「生きるためにはどうしたら良いのか?」を徹底的に考え抜き、良いと思われることは試し、考察する‥‥海外の医学論文まで読み、医師と議論する‥‥これは高山さんならでは、高山さんでないとではきなかったことかもしれませんが、医師から告げられる治療方法だけでなく、自分の生きる可能性を自分で見出すことができるという、選択肢の幅が広がると感じられた高山さんのブログの読者も多かったのではないでしょうか。
高山さんは、遠くに見える光明を何度も、何度も自分から掴みにいきました。書籍では、そんな高山さんが培った「病を生き抜くヒントを丁寧に解説」しているそうです。
<目次>
○選ぶべきは命の長さか、QOLか
○病院選びは患者数の多さが参考になる
○早期発見は必ずしも重要ではない
○名医に診てもらうのに「コネ」は必要ない!
○主治医に「心付け」は渡すべきか?
○手術の方針を決めるときに大切な4つのこと
○抗がん剤治療中はがんが消えるイメージを持つ
○がん治療費の実際
○「極論」に惑わされない
○身内の余命告知に2回直面して思ったこと
○間違った思い込みががんを引き寄せた
○がんにありがとう など
ああ、でも、思い返すと2度目の白血病の告知の時は、どんな気持ちだったんだろうと思います。なんで、なんで、なんで‥‥なんで高山さんが2度も、しかも短期間でそんなにつらい目に合わないといけないんだ、と思いました。
本当は病気にはならない方が良いと思います。小さい家族がいれば、こんなに辛いことはありません。でも、もし、あえて高山さんが病気になったことの意味を考えるならば(本当は病気に意味はない方が良いのですが)、新しい闘病の方法があるということを、同じように病気でつらい思いをしている人たちに、指し示すためだったのではないかと思います。
高山さんが本を書き始めたと聞いた時、闘病記のような、自伝のような内容になるのかと思っていたのですが、実際に出版される内容は少し違っていました。いえ、予想とはかなり違っていたと言うべきでしょうか。でも、多くの患者さんが必要としている情報は、病を生き抜くためのヒントだと思いますから、やはりこの形がたどり着くべきところだったのだと思います。
いつもは「話が長いから短めでお願いします」なんて、ほろ酔いで長話をしているノリ山さんにツッコミを入れるのですが、本なら仕方ない、長くても最後まで読むしかないですね。
高山さん、出版おめでとうございます。発売のその日を心待ちにしています。
↓高山さんご本人による告知です
▼本を出版します。「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」幻冬舎より9月8日発売、アマゾンで予約受付スタート|オーシャンブリッジ高山のブログ
この本は闘病記ですがハッピーエンドです。私が実際に闘病の後にがんを克服した記録です。がんを告知され、落ち込んでしまいがちな患者さんには、将来の希望を取り戻し、前向きな気持ちで病気に立ち向かうためのお役に立てるのではないか思います。