少し前ですが、IIJからMVNO事業の強化に向けた「フルMVNO」への取り組みについてというプレスリリースが出ていました。これはSIMカードを管理するデータベースであるHLR/HSSを自社で構築し運用することで、より自由なサービス設計を行えるようになるというものです。IIJ独自のSIMカードの発行が可能になるとしています。IIJmioユーザーとしても興味あるところです!
具体的には次のようなことが可能になります。
・海外のMNO/MVNOとの提携により、海外へのローミングの際に最適な通信サービスを提供する。
・組み込み型SIM(eSIM)や、耐振動性、耐候性を備えたSIMカードを提供する。
・機器の製造ラインでSIMを組み込み、出荷後、必要なときに通信サービスを開通し利用可能にする。
後半の2つはIoT分野での活用ですね。個人ユーザーに関係するのは「海外へのローミングの際に最適な通信サービス」といったあたりでしょうか。
「MVNOは、異業種を含め200社を超える事業者の参入により価格競争が進み、サービスも同質化」しつつあるということですが、確かに料金プランでの差別化ばかりになっていたところはありました。
最近では、海外どこでも均一料金のプリペイドSIMカード「IIJmio海外トラベルSIMサービス」というニュースもありましたが、日本国内で使用しているSIMがそのまま海外でも安価にローミングできるようになると、個人的にも嬉しいです。
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▼IIJが2017年に「フルMVNO」提供、HLR/HSS連携で加入者管理機能を自社運用 – ケータイ Watch
現在の一般的なMVNO方式の通信サービスでは、SIMカードと携帯電話サービスの加入者を紐付ける情報(加入者情報)を、NTTドコモなどの大手キャリアが一元的に管理している。今回の合意はこの加入者情報を管理する設備をMVNOであるIIJ自身が管理すること。
▼IIJ、ドコモと連携強化で“格安SIM”を「より柔軟に」 自社管理でIoT向けも – ITmedia ニュース
HLR/HSSとはHome Location Register/ Home Subscriber Serverの略で、SIMカードにひも付けられているユーザー情報を管理するデータベースのこと。
▼IIJ、SIMカード独自発行 IoTに布石 :日本経済新聞
加入者管理機能はSIMを管理するデータベースで、ユーザーの電話番号や位置情報を管理する。どの携帯端末がどの基地局を使うかを決めるためネットワークの司令塔にあたる。この機能を握るメリットはドコモに頼っていたSIMを自社で発行できる点にある。そのための設備投資は50億円前後と見られる。
▼ニュース – IIJが「フルMVNO」を17年度下期に商用化、独自SIMでIoT時代に対応:ITpro
「インフラを持っている事業者が参入してきたらどうするのかと、インターネット事業を始めた頃にも危惧された。(インフラを持たない)我々がワイヤレスで新しい形のR&Dやサービスを将来にわたって作っていけるのか、長い間考えてきた。ようやくこういった形でみなさんにお見せできるところまできた」
個人向けの格安スマホでデータ通信サービスを拡充するほか、自動車や工場など法人向けのIoTサービスを本格化させる考えだ。
▼いよいよMVNOの新時代来る! IIJがフルMVNOサービスの開始を発表 – ユーザーのメリットは? | マイナビニュース
今後IoTの世界では、SIMカードの形ではなく、SIM機能を持ったチップが直接機器に埋め込まれたり、1つのSIMに複数の(例えば日本と米国のキャリアの)プロファイルが書き込まれたマルチプロファイルSIMが要求されることが予想される。現状ではMNOがこうしたSIMを用意してくれなければMVNOにとっては販売しようがなかった
▼IIJ、自社で直接SIMカードを発行–ドコモと連携して「フルMVNO」に – CNET Japan
1つは「リプログラマブル」、つまりSIMの内容を状況に応じて書き換えられるようになることで、SIMを入れ替えることなくキャリア情報を変えることができるようになる。2つ目は従来のSIMの形にとらわれることなく、基盤の中に直接SIMを埋め込むなど、機器の条件にに応じたスタイルでSIMを提供できるようになる「エンペデット」