日曜日に埼玉スタジアムで開催された清水エスパルス戦の観戦レポートを。先制されて追いついたけれど、攻めている中でカウンターを食らって1-2で敗戦という、やはり今シーズンを象徴するような試合でした。
「前半は眠っていた」
オフトがいれば、間違いなくこう評したでしょう。
コンサドーレ札幌戦でも調子の良かった4-2-3-1の布陣を採用するも、この日、初めてとなる細貝の右SBなど、選手たちも慣れないポジションに戸惑ったようです。
3日間の非公開練習をしたのに、その期間中は一度も練習していない布陣をいきなり試すなんて、さすが奇策好きのゲルトです。
4-2-3-1となると闘莉王を中盤に上げることになるのですが、ボランチに位置した闘莉王も代表戦の影響による疲労なのかサボりまくり。アリバイ守備すらしません。
好きなようにトップの位置に上がっては、ゆっくりと戻ってきて、パスコースも作れずに中盤はガラガラです。
途中、選手交代して平川が右SBに入って細貝をボランチにしてチームとしても復調しましたが、だとすれば、最初からその布陣でも良かったのでは‥‥。
無理して闘莉王を使うならば、正直なところ3バックでCBか、もしくはFWしかないような気がします。得点する能力は非常に高いですから。
(だとすれば、エジミウソンや高原の補強はなんだったのか、という気もしてきてしまいますが)
いずれにせよ今の浦和レッズは、チームとしての機能はほとんどなく、残念ながら個人の能力に頼り切っているチーム、ということになるでしょう。
選手が挨拶にまわったゴール裏は、無言でした。ブーイングもなく、拍手もなく。どこに気持ちをぶつけていいのか分からない、といった風情でした。
勝利すれば優勝戦線に残れたのですが、敗戦により4位に交代。首位の鹿島が勝ち、連覇に一歩近づきました。3位以内がACLの出場条件となります。
試合のあった日の夜には、テレ玉で浦和レッズの検証番組が放送されたのですが、どうもリスクを冒すチャレンジをすると非難されるような雰囲気になってしまっているみたいですね。
リスクチャレンジしまくる梅崎に出場機会がなかったり、反旗を翻した永井が外されたり、平川がすぐにバックパスしたりするのも、そうしたあたりに原因があるのでしょうか。
見事に浦和レッズが崩壊したシーズンとして、2008年は記憶されそうです。選手たちの気持ちも、バラバラのような気がします。
監督候補のフィンケ氏の去就はどうなるのでしょうね。試合観戦はしましたが。
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痛い敗戦に闘莉王は「勢いづけたようなゴールだったけど、負けたら意味がない。悔しい」と厳しい表情のまま。エンゲルス監督も「いい時間帯で1点を取れたが、2点目を取れなかった」と淡々と振り返った。
元ドイツ2部フライブルク監督で来季監督候補のフィンケ氏が見守るという異様な状況下で、エンゲルス監督は疑惑の采配で自爆した。田中達の1トップ、細貝の右サイドバック、相馬の左FW起用は今季初。前日までの3日間で敢行した非公開練習でも試していない。
“奇襲”が裏目に出た。センターFWに田中達を置き、左の攻撃的MFに相馬、右DFに細貝を配した。指揮官が「2日前(21日)に決めた。清水が速いDFラインではないので、積極的に行く」という秘策だったが、練習でも組んでおらず、準備不足を露呈。
MFポンテは「戦うだけではダメ。サッカーをしないと勝てないんだ」と嘆いた。
フライブルク(現ドイツ2部リーグ)で長年監督を務めた同氏は、育成に定評のある理論派。浦和側は交渉の事実を認めていないが、この日の敗戦でリーグ優勝が厳しくなり、急展開する可能性もある。
また浦和の藤口光紀社長は試合後、クラブ幹部との会議を開催。来季まで契約の残るゲルト・エンゲルス監督の去就については「シーズンをやっているうちは…。終わるまでは来季の判断はしない」と言うにとどめた。
1948年3月24日、ドイツのニーエンブルグ・ベーザー生まれ。選手として69年にTSVハーベルゼに加入。同年途中にハノファーシェンSCに移籍して74年までプレー。74-75年シーズンから86年までTSVシュテリンゲンで選手兼監督を務め、当時10部から5部まで昇格させる。
「田中達は素晴らしい。相手DFに危険なプレーを続けた。他の日本人FWにも見習ってほしい。身長差で結果はもたらされない。クラウチやヨンセンを探す必要はないのかもしれない」